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もと神さま、新世界で気ままに2ndライフを無双する。  作者: 可燃物


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神さま、暗躍する。


浅葱(あさぎ)稜霓(ろうげつ)はカノンのサポートに向かって貰う。


なにせカノンは光精霊の術が使えない。



しかし村の中は今、 粉媒楢(クォルクス)の暴走によって滅茶苦茶になっている。

そのため、瑞基が作った光源の大半が失われているのだ。



天井に開いた穴からは土砂が滝のように流れ落ち、常に足場の様子を変えている。



僅かな光はあるので目が慣れればある程度は見えるようになる。

だが言い換えれば、結局はある程度止まりだ。



細い枝が忍び寄った時、足元が暗くて気付かずに踏んずけて、足を取られてしまったら危ないだろ。



しかも蛇のような柔軟性を持って自由自在、縦横無尽に色んな所から襲ってくる。


引っ張る力も締め付ける力も強いとなれば、防御壁で防ぎきれない場合もあるかもしれない。



そうなれば足でも腕でもソーセージのようにへし折り、引きちぎられてしまう。



照明要員とするには彼女は強過ぎるが、カノンとは契約を結んでいない。

しかも適性が全然無いから、自分の意思では光精霊術を使う事は出来ない。


だから稜霓(ろうげつ)はカノンがお願いをしたとしても、俺が命じた以上の事はしない。


戦力過多にはならないはずだから、彼の自尊心を傷付けるような事にはなるないだろう。



本当はカノンと一番相性の良い颯茉(そうま)を向かわせてやれれば良いのだろう。


しかしここら辺に転がっている人達を運ぶのには、彼女の力を借りるのが一番楽なのだ。


なので残念だがあげられない。



それならば次に相性の良い水属性の浅葱(あさぎ)を寄越してやれば、今よりも戦いが楽になる。


浅葱(あさぎ)の全ての力を引き出す事は出来なくても、ピンチに陥った時に頼る相手がいれば、心に余裕が出来る。


なので浅葱(あさぎ)は、万が一の保険要因だ。



ついでに二人が行けば、カノンに俺がオプスクリス開拓村に来た事が伝わるだろう。


何か指示があったら、伝言を預けてくれるはずだ。






意識が無い倒れている人達を、次々に風の保護膜に包みながら宙に浮かせる。


蔓のようにしなる枝が、次から次へと球体目掛けて襲いかかるが、その全てが保護した人に届く前に、つむじ風に絡め取られて霧散し地に落ちていく。



霊力はいくらでも持って行って構わないので、颯茉(そうま)にはこのまま怪我人の移送をお願いしようかな。


カノンの所へ送り届けてくれれば……と思ったが、カノンの元へ送り付けてもどうにも出来ないか。



死にかけている人の手当までしていたら、カノンの霊力が尽きてしまいそうだもの。


しかも手当てと言っても、カノンの優秀な回復薬も、ましてやカスのような治癒術も 粉媒楢(クォルクス)には効果がない。


そうなると、時の精霊(クロノス)の力を借りて、村人達の時間を、襲われる前まで戻さなければならない。



俺は時の精霊(クロノス)の契約の指輪を持っているから、その際の消費霊力は少なくて済む。



だが彼は俺より総霊力量が少ない上に、術を使う際の消費量も通常通りだ。



しかもずっと村人を守りながら戦い続けているんだろ。


霊力を温存させなければ、そのうち倒れてしまいそうだ。



霊力は枯渇しそうになると、眩暈や頭痛のような体調不良が起きる。


防衛本能によるものなので、無視して動こうと思えば無理矢理身体は動かせる。

しかしその動きは鈍くなるし、どうやったって誤魔化しきれない限界がくる。



そういう無様な状態にはなりたくないだろう。


カノンとて、年寄りではあるが男の子だもの。


弱った所は人に見せたくないと思うんだよね〜



旅の同行者としては、そうならないように気を使わなければなるまい。

俺ってば良いヤツだね。






「ぁ……あぁ、の……」


声に留まらず、全身を小刻みに震わせながら、セリアが話しかけてくる。


肉食動物を前に、プルプルと震えているウサギのようだ。



鑑定眼には動悸・震え・吐き気に喉の詰まり異常発汗と、極度の緊張状態によって自律神経が乱れまくったせいだろう。

よりどりみどりの症状が記載されている。



物語にある傍若無人な魔王その人だと認識しているが故にパニック障害の症状が起きているようだ。


それでも話しかけてくるとか、度胸があるなぁ。



「キミと俺は、赤の他人。

 そう言っただろ?」


素気無くセリアの言葉を目線で却下し、「スキル」を発動する。



颯茉(そうま)がヒトと判断して風の球体に閉じ込めた、樹冠まで生い茂っている木そのものにしか見えないモノも含め、球体の内部に「絶対再生」による時間の巻き戻しを行ったのだ。



時の精霊(クロノス)の力よりも、コッチの方が使い慣れている。


一度に複数の対象にかける場合は「スキル」の方がより確実な結果が得られる。



もちろん瑞基にも同様の措置を行った。



肉体の半分以上が変貌していたのに、成長を続けていた枝は伸びるのを辞めみるみる縮んでいき、硬い樹皮に覆われていた皮膚は肌色の柔らかな状態に戻っていく。



病室にいた 粉媒楢(クォルクス)の患者と比較したら早いと思ったけれど、それでも瑞基の侵食速度が一番遅かったようだ。


他の人達がすっかり人間の見た目に戻っているのに、瑞基の肉体は、まだ完全には戻っていない。



巻き戻る時間は、どの人も同じ速度に設定してある。


なのにここまでバラつきがあるのは、何故だろう。


「地のスキル」による耐性でもあったのだろうか。



……あぁ!


世代を経る毎に樹化病(ダプネー)の患者や重篤化する人が減ったと言っていたのは、瑞基の血を継ぐ子孫の割合が増えたからか!!



もちろん食糧事情の改善による部分もあるだろう。


しかし植物の成長速度の調整は「地のスキル」が関連する分野でもある。



瑞基の血を継いでいれば、使えずとも「地のスキル」の因子を受け継いでいるはず。


本能的に 粉媒楢(クォルクス)に抗おうと、侵食速度を遅くし、場合によっては発症を遅らせていたのだろう。



そうこうしている間に角骸鯨(ポーコゥル)の角の成分を含んだ薬を飲めば、すっかり回復する。



瑞基は仍孫までいるんだろ?

そうなると彼女の血を継いだ子孫は、結構な人数になるはずだ。


そりゃ樹化病(ダプネー)に掛かる人も減るわな。






だがソレだけでは説明し切れない程に、瑞基の回復には時間が掛かっている。


もしかしたら琥珀(こはく)が侵食を防ごうと、何らかの行動を取っていたのかもしれない。



まだ瑞基は復活出来そうにないので、完全なヒトの姿に戻った人達から、その折に体内から排出された、樹木へと変貌させた元凶を手元に集める。


粉媒楢(クォルクス)の種子、だな。

米にしては大きめの籾だ。



時の精霊(クロノス)の力で成長を停止しておかないと、途端に発芽して俺の肉体を乗っ取ろうと、触手のようにその芽を枝を伸ばして来る。


タチが悪すぎるので、研究用に取っておくのは無理そうだ。



四次元ポシェットなら時間が経過しないので放り込んでおけるだろうが、取り出そうと外に出した瞬間、身体に根付かれかねない。



粉媒楢(クォルクス)は霊力では浄化しきれないと、精霊の皆は言っていた。


発芽する前なら、どうだろうか。


もしガッチガチの霊力の塊の中に押し込んで置けば、成長が止まるとか、浄化出来るとか言うのなら、霊玉で作ったケースにでも入れて保管が出来るのだが。



発光し可視化するレベルで圧縮した霊力で四方から包んでみるが、コレでも完全に無害化は難しそうだ。


なかなかに根性がありやがる。



仕方ないので「完全破壊」で存在を末梢した。


木っ端微塵に砕くだけでは、足りないかもしれないからね。






研究は無理だと諦め、指パッチンで「絶対再生」の権能によって停めていた、球体の中の時間を通常使用に戻した。



その途端、人々は頭を振り額を押さえ身体を痙攣させたり、中には悲鳴を上げて頭部を両腕で庇うようにさせたりと、混乱した様子で次々と目を開く。



粉媒楢(クォルクス)の種子が飛んできた、その瞬間まで肉体の時間を巻き戻したのだ。


周囲の人々が木に変貌する様子を見た後に、自分に種子が飛んで来る瞬間を経験した人は、かなり困惑しているに違いない。



まさか実際に自分達が木になっていたなんて、夢にも思わないだろうな。



もう少し前の時間まで戻す事も出来たのだが、このタイミングが丁度良い。



自分の記憶にある光景と、自分がこれから置かれるであろうと想定した光景と、現実のチグハグ加減にパニックになっている。


そんな所に、伝え聞いている魔王の姿を見る事になるのだ。


錯乱状態になるヒトも、中にはいるかもしれない。



()()()()()



自分の故郷が破壊された光景の中に佇む魔王。


世紀末感があって良いじゃないか。



この光景を見た人達は、避難所へ送られた後にきっと、口を揃えてこう言ってくれる。


「魔王が復活した」


……と。


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