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もと神さま、新世界で気ままに2ndライフを無双する。  作者: 可燃物


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神さま、ツッコむ。


燼霊(じんれい)とは、何度か対峙した事がある。


カノンも過去幾度となく戦い、その度に辛くも勝利を収めてきている。



ヤツ等は、そこら辺を跋扈している魔物とは、比べ物にならないくらいに強い。



もっと時代を遡れば、精霊と燼霊(じんれい)は何百年単位で戦争を続けていたのだ。


神と同等に崇められている精霊と拮抗した強さがなければ、そんな状態にはならないだろう。



そりゃ強くて当然である。



そんな最中(さなか)に多くの地球人(エルフ)が転移して来て、精霊側の勢力が増えた結果、精霊が勝利をした。


比較的平和なこの世界――地球をベースに造られたシャンバラが人間と精霊の領土になり、戦争の舞台となって瘴気まみれになったニブルヘイムに燼霊(じんれい)の多くが押し込まれて、封印された。


そんな歴史がある。






なので瑞基はもしかしたら、燼霊(じんれい)と戦った事があるかもしれない。


また、その恐ろしさを知っていても、不思議ではない。



コレだけの村を、たった一人で作ってしまえる程に、強い「地のスキル」持ちだもの。


戦力としても、相当なものだろう。

少なくとも、自分の身は自分で守れると思う。



だが、セリアは、なぁ……


ムリだろ。

巻き込めない。



そうなると、いつも一緒に瑞基の後ろをついて回っている彼女と、瑞基と引き離すワケにもいかないし、その理由を作るのも難しい。


ならは、瑞基にも伝えない方が良いのではないかと考えてしまう。



住民の避難だけは、協力して貰わなきゃいけないけれど。



ソレは土壌を汚染している 粉媒楢(クォルクス)を理由にすれば、イケるか。


除染のため立入禁止になるから、暫くの間は避難して下さい。


そう言って、あらかじめシェルターを創ってソコで待機して貰う形を取れば良いと思う。



俺とカノンなら、余程の燼霊(じんれい)じゃなければ、一体なら倒すのは楽勝だし。

それ程時間は掛からないと思う。


……周囲に及ぼす、被害さえ考慮しなければ、の話だけれど。






それ以上に大変で、やる前からゲンナリしているのが、この村の無害化だ。


だってこの村、 粉媒楢(クォルクス)の因子を死滅させようとしたら、かなり大変だよ?



それなら全部壊して一から作り直した方が、余程手っ取り早いし、楽だもの。



瑞基には浄水器の仕様を聞いたり、再度構築したりしなければならないため、負担を掛けさせてしまう。


けれど……ソコは、燼霊(じんれい)を倒しさえすれば、時間は確保出来るし。

俺も再興は手伝える。



問題はオプスクリス開拓村に詰まった思い出が、喪われてしまう事、だよな。






燼霊(じんれい)との戦いで王都(ディルクルム)を破壊した際に、後から不平不満が上がったと聞いている。



死者が出なかったのは奇跡だと、命があっただけ良かったのだと言われても、例え新品の立派な家が与えられたとしても、納得出来ない人はいた。


ボロく狭い、傾き掛けたようなものだとしても、住み慣れた思い出が詰まった家を突然奪われたと、嘆く人も多くいた。



最初はそういう言葉は無かったんだけどね。


広く新しい、設備も最新の家に喜んでいても、ふとした瞬間に、戻れないのだと自覚してしまい、一気に郷愁が押し寄せて来るのだろう。



瓦礫の山と化した王都(ディルクルム)を目の当たりにした上で、一時期難民状態になっていたから、不満を口にするような心の余裕も無かっただろうし。



だから文句を言えるようになっただけ、心に負った傷が回復している証拠なのだと、その時は思った。


心の奥にしまわれていた感情が表面に出たのならば、快方に向かっているのだから、問題無いと。



だけどその後、自分が過ごした施設の部屋を訪れて、その結論は早計だったと自分を恥じた。



最悪な日々を過ごした場所ですら、何故か懐古をするキッカケとなったからだ。


もう二度と、戻りたくないとも思うのに。


朧気にしか覚えてはいないが、夢にまで見る程に、惜しいと感じた。



その、一言では言い表せられない感情を、今の俺は知っている。



だから簡単に「放棄した方が効率的だから捨てろ」とは言えない。

言いたくない。






そうなると、相談をするしか無くなるのだけれど……


ソレと同じくらい、瑞基とセリアの二人を巻き込みたくないと思っている。



どうにか燼霊(じんれい)を外におびき出して倒して、更に時間をかけたとしても、 粉媒楢(クォルクス)の因子を無効化する方法があれば良いのだけれど。



「あの……わたし、なにか粗相でもしてしまいましたか?」


「へ!?

 イヤ、何故ですか??」



思考の渦にハマっていたら、突然思ってもみなかった所から声を掛けられ、つい素が出てしまいそうになった。


危ない。

今の俺は‘’精霊様の使者‘’だから、品行方正でいなければ。



「わたしが報告をしている間ずっと、アーク様、難しい顔をしているので……」


尻すぼみになりながらも、「何か失礼な事をしてしまったのなら、言ってください!」と、セリアはいつものように握り拳を作った。



快活で人の変化にも敏い、とても賢い子だ。


樹に変化している最中の人間なんて、気持ち悪がって遠ざけようとするだろうに、率先して看護を手伝っている。


善き良い子でもある。



ヘタに巻き込んで、悲しい思いをさせるのも、辛い思いをさせるのも、したくない。


やはり、巻き込むべきではないし、故郷を取り上げるような事もすべきではない。



そうは思うが、むしろ巻き込まれたいと思うような、奇特な考えの持ち主がいる事も知っているしなぁ……



「……何だ、その表情は」


言い換えれば殊勝。


俺からしてみれば酔狂な趣味をお持ちの、その筆頭とも言えるべきこのタレ目様は、何度遠ざけようとしても巻き込まれようと、率先して俺と関わろうとしてくる。


むしろ距離を置こうとすると、怒って不機嫌になる。



そんな人もいるのだ。

選ばせるべきだろう。



だがその場合は、どこまで言うべきかな。



あらかじめ「俺が伝説の魔王その人だよ!」と伝えてしまうのが一番楽だし気兼ねなく何でも出来る状況を用意して貰いやすくはなるけれど、その事実を告白した途端、瑞基に寝首を掻かれる恐れが爆増する。



そうなればセリアとて、瑞基に加担する事になるし、敵が増えて動き辛くなり、逆に厄介事が増してしまう。



「村長が燼霊(じんれい)だから、‘’精霊の使者‘’として放っておけないから討伐しなければならない」


その程度の説明で大丈夫かな?


それとも、そういう一切合切を秘密にしておくべきか。



肝心の村長が、今どこで何をやっているのか把握してからじゃないと、ノンビリと相談事や話し合いなんて出来ないけど。



……とりあえず、村長の取り巻き連中は、ヤツの部屋の周辺に留まっているな。


介抱でもしているのだろうか。



ならば好都合だ。



目配せをして、カノンに話の主導権を押し付ける。


彼ならば上手い事、俺とカノンが師弟だという表面上の関係性を崩さずに、村長が燼霊(じんれい)などという人類を脅かす存在だと不安を抱かせる事もなく、オプスクリス開拓村の村民全員が納得して別の村へと移り住む事を許容してくれる。


そんな完璧な説明が出来るかもしれない。



……そう、バカげた夢を見た時も、ありました。



考えてみなくても、カノンはコミュ障だった!


だからなるべく人と関わらないように、一人でずっと旅をしていたんじゃないか!!



俺に対しては普通だから、ウッカリしていた。



「村長が燼霊(じんれい)だと判明した」


そんな一言から説明を始めたものだから、思わずハリセンを創って、その後頭部に向かって振り下ろしてしまったよ。



燼霊(じんれい)の話題を出してしまったら、二人を巻き込む事確定なのに。


なんて事をしてくれやがるんだ、このタレ目は!?


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