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もと神さま、新世界で気ままに2ndライフを無双する。  作者: 可燃物


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神さま、懸念する。


伸びた枝は取れ、表面上はキレイな肌になった人達は、見た目こそ回復したように見える。


だが中身、つまり内臓はどうかが分からない。



瑞基が医学の心得を多少持っているが、傷口はキレイな水で十分にすすぐべきだとか、風邪を引いて熱が出た時は免疫を活性化させるため無理に冷やさない方が良いとか。


そういう家庭の医学レベルの、対処療法しか知らない。



エコーなんかは当然ないし、触診や呼吸音で把握も出来ない。



なので中身がどうなっているかは、後でカノンと一緒に視る必要がある。



一応、呻き声を上げる人は殆ど居なくなったそうだが。


どうだろうな。


見聞きした情報を聞くだけでは、判断出来ない。






最も重篤な、見た目は完全な木になっていた人達はと言うと、だ。


ローションだと木肌がガビガビと引っ掛かってしまって、上手く塗れなかったのは聞いていた。



その際に爪が引っ掛かってしまい、流血してしまった個体があったそうだ。


……ソレは、初めて聞いたな。


その体液から感染が広がったらどうするつもりだ。


ちゃんと仔細を報告しろよ。

される一方で、する方には慣れていないせいだろうか。



その個体は止血のため患部を布で覆った状態にしていた。


そのせいで薬の成分が、ただ塗った人達よりも上手く皮膚に浸透してくれたのだろう。


布を巻き付けておいた患部だけが、魚の鱗のようにポロポロと固い木の皮が剥がれたそうだ。



露出した部分はというと、人間の皮膚のように柔らかく……はさすがになっていなかったが、今までの木の表面とは違う感触に変わっていた。



この薬の効果は確かにあるのだと、確信したと興奮気味に語ってくれた。






改めて持って行った軟膏タイプの薬は、荒い目の面紗(ガーゼ)を使って貼付をした。


そのため、トチノキのような鱗片状になっていた肌が、どのように変化をしたのかが観察出来たのだと、セリアが瑞基の説明に付け足してくれた。



そんな劇的に変化をするなら、是非とも見たかったな。

カノンが過保護じゃなければ見れたのに。



薬が浸透する際、淡い光の粒子がじわりと樹皮の割れ目から漏れ出たそうだ。


光は鱗片を浮かび上がらせ、その一つ一つを包み込み、フッと突然消えた。



面紗を外してみると、光に包まれた樹皮の一部はガーゼにくっついており、本体側に残っていた分も、指でなぞったらスルリと取れたのだという。



実験台にする、と俺とカノンが宣言をしていたので、セリアが担当した、一連の流れを見た個体だけ、とりあえず全身のガーゼを取り替え、改めて貼付をしてきたそうだ。



彼女は背が低い。

一〇号サイズの鉢植えくらいの大きさになっている 粉媒楢(クォルクス)の全身に、何度も薬を塗るのはさぞかし大変だっただろう。


しかも、樹皮を手で取り除いたんだろ。

かなり時間が掛かったに違いない。



そのガーゼごと持って来た樹皮を視たが、コレは、なかなかに面白い。



‘’ 粉媒楢(クォルクス)の樹皮‘’とされているコチラの鱗片だが、薬の材料になるらしい。


粉媒楢(クォルクス)の樹皮を食べる角骸鯨(ポーコゥル)の角も、薬になるんだもんな。


もしかして、 粉媒楢(クォルクス)の葉や実なども薬の材料になるのだろうか。



重症者がもし救えなかったとしても、利用価値があるのなら、ムリに処分しなくても良いだろうか?



……イヤ、花粉や光合成をする時に吐き出す瘴気による害の方が、利よりも圧倒的に勝る。


治せないなら、処分は免れない。



コレはコレで、ちゃっかり貰っておくけどね!

鑑定眼の表記が正しければ、既に害は無くなっているようだし。



樹皮は一枚剥がれたものの、瑞基が言ったように、現れたのは人間の皮膚ではなかった。


また外皮が剥がれた 粉媒楢(クォルクス)は、人間の形には程遠い見た目のまま。



繰り返し薬を塗る事で、どれだけの効果が得られるのか。

その作業を何時間一辺でするのか。


それ等を決めなければ、かなりの重労働なので、瑞基とセリアの二人では続けるのは無理だと言われた。



また、前の村から持って来た樹化人間(バルケモンス)――鉢植えになって飾られている 粉媒楢(クォルクス)は、塗っても何も変化は無かったそうだ。


まぁ、それは仕方がないよね。


アッチは‘’(人)‘’の表記が無かったし。






「……ん?

 あの鉢植えの中には、今回の犠牲者はいないのですか??」


「オプスクリス開拓村で樹化病(ダプネー)に罹った者は皆、病室に隔離されてますよ」



「……瑞基様の御父上の遺品には、遺伝子組み換えに関する記述がありましたよね?

 鉢植えになっている方の、樹皮を採集しても構いませんか??」


「付き添っても構わなければ、どうぞ。

 すでに治らないと分かっていても、もしかしたら、燃やさなければならないとしても、イタズラに傷付けられるのは、ちょっと……」


心得ておりますとも。



「遺伝子は〇.一%違うだけで、俺やお前の見た目が違うように、姿形も異なるのだったな。

 だが樹木の場合は、人間にはその見た目の区別が特徴的なもので無い限りは判断しづらい。


 今回の 粉媒楢(クォルクス)と、今まで樹化病(ダプネー)の原因とされていた 粉媒楢(クォルクス)は違うのではないか。

 そう言いたいのだな?」


カノンの言葉に、コクリと頷いた。



彼も魔物を家畜化させようと、人工交配という形で、遺伝子組み換えを何度もしてきている。



そのお陰で、ニワトリの代わりに妖鶏(シュケイ)が。


乳牛の代わりに妖鎧牛(アルタウルス)が、この世界でも人の手によって飼育されている。


たまに先祖返りのように、凶暴な個体も生まれてしまうが。



ソレは小型犬用であるチワワやポメラニアンが中型犬サイズまでデカくなる事が稀に見られるのと同じだ。


どれだけ世代を重ねても、突発的に表面に出てきてしまうのだから、避けようがない。



そんな彼に過去、遺伝子の話をチラリとした事がある。



人間同士ならば九九.九%、同一の遺伝子を持ち、三〇億ある塩基対のうち、僅か〇.一%程度しかない違いによって、目の色から肌の色まで変わってくるのだと。



地球の常識で語るのならば、人間と妖鶏(ニワトリ)ならばおおよそ六〇%、人間と妖鎧牛(ウシ)なら八〇%程度の遺伝子が共通しているのだと説明をした。


実芭蕉(ムーサ)も六割人間と同じなのだと言ったら、大層驚いていた。

バナナと人間の遺伝子が、半分以上同じだと言われれば、そりゃビビるわな。



遺伝子組み換えの概念そのものを知っている人自体が、この世界には少ない。


残念ながらメンデルさんのような人は、この世界にはいなかったようだ。



瑞基も琥珀(こはく)のノートを持っていたのだから、知っているだろう。


だが彼女が村民を危険に晒してまで、 粉媒楢(クォルクス)の遺伝子組み換え実験なんて愚かな事をするはずが無い。


するとしたらもっと有意義な、食料になる作物で行うだろう。



(モトイ)の遺志を継ぐのであれば、尚更だ。



その技術を悪用する理由こそ確信は持てないが、この村で俺達以外にソレが可能な人間は、このノートを持っていた村長以外にいない。


この情報から、自白まで持っていけたら平和的解決になるのだが。



イヤ、自白まで持っていけたとしても、被っている化けの皮を剥がして正体を露呈させるだけか。


そうなると逆に、村民の避難を終えるまでは、弾糾すべきでは無いのかもしれない。

被害が大きくなり過ぎる。






……燼霊(じんれい)に肉体を乗っ取られた場合、身体や精神って、取り戻せるのだろうか。


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