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もと神さま、新世界で気ままに2ndライフを無双する。  作者: 可燃物


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神さま、怒られる。


「……済まなかった」


貸し与えられている部屋に戻って、落ち着いた後。


カノンから掛けられた第一声は、謝罪の言葉だった。



彼には何の罪もない。


謝る必要も理由も、欠片たりともない。



琥珀(こはく)に睨まれたのが、効いているのかな。


口調こそ優しかったが、えも知れぬ迫力があったもんね。



まさにヘビに睨まれたカエル。

ナメクジに塩。



……流石に例えが酷過ぎるか。






カノンには、何の非もない。


俺が勝手に行動して、招いた結果なのだから。



いくら自称保護者を名乗っていても、彼は俺の親ではない。


実際に守る義務なんて無いのだ。



本来なら琥珀(こはく)に苦言を言われる理由も無いし、気に病む必要だってない。



それにこの世界では、十五歳を迎えれば成人とみなされる。


俺がこの世界に来てからはまだ一年未満で、シャンバラ人歴としては、未成年者と言える。


だな実際には、未満児の赤ん坊じゃない。


れっきとした大人だ。



自分の行動の責任は、自分で取るべき歳と言える。



ここはどちらかと言うのなら、俺が迷惑を掛けた事を謝罪しなければならない場面だろう。



むしろカノンには、俺を罵る権利がある。


心配させた上、俺の不注意のせいで琥珀(こはく)に理不尽に怒られたのだから。



だが、後暗い気持ちがあるから、普段より一層垂れた、申し訳なさそうな目をして、謝罪の言葉まで述べているのだろう。


何故?という疑問はあれど、この言葉は受け取るべきだ。



その上で、説教でも悪態でも、心ゆくまでグチグチネチネチと言ってくれれば良いと思う。



「むしろ琥珀(こはく)に苦言を言われる事になって、ゴメン。


 謝罪は受け取るけど、実害は無かったんだしさ。

 そんな、気にする事無いだろ?


 顔上げろって」



土下座こそしていないが、正座をして、ツムジが見えるくらい頭を深く下げ続けているカノンに、そう声を掛けた。



腕を引いて強制的に立ち上がらせる事が出来れば良かったのだが、情けない事に、未だに抜けた腰が戻らない。



血行不良は解消されたハズだから、精神的な部分がまだ不安定なままなのだろう。


まさか女装をしたせいで、女々しくなってしまったのだろうか。



そのせいで布団に寝かせられた状態で話している。


病人でもあるまいに。

無様にも程がある。






服を破られはしたものの、外傷は無かった。


偽乳は乱暴に揉まれたために、へこんで壊れてしまったが。



破裂でもしていれば、「おっぱいが爆発した!」と言って村長の度肝を抜けただろうに。


残念である。



しかし過呼吸のせいで口も痺れてしまっていたため、カノンにはそれが分からなかった。


酷く乱れた服装と、顔がグチャグチャになって喋れない俺。


事後に見られていた可能性は、大いに有り得た。



そのせいか、顔面蒼白な上慌てた様子で、周囲の目も気にする事すらせず、飛行の術で一足飛びに最上階にある部屋に戻ってから、即行で精霊術で全身丸洗いされた。


「脱がすぞ」と一言短い注釈に対して、小さく頷いて許可を出すや否やすっぽんぽんにされ、ケガがないかの確認もされた。



大丈夫とは辛うじて言ったんだけどな。


心配性だよね。



ケガに分類するのもおこがましいが、せいぜい手首にアザが出来ていた程度の被害しかない。



だから実害は無いと、言ったのだけれど……



上げられたカノンの顔には、真蛇の面が張り付いていた。


怒り心頭で般若を通り越した、凶悪な顔である。



正に鬼そのもの。

超こわい。


腕に力が入ったのなら、思いっ切り後退ったのに。






「害がなかったなどと、他でもない、被害者であるお前自身が言うな!


 たまたま肉体に害が及ぶ前に地の精霊(テルモ)様に救い出されただけで、間違いなく心に傷を負っているだろうが!

 そもそも、ろくに喋れない、動けない時点で、十分害は出ている!


 精霊神様方が、もっと自分を大切にしろと言っていた意味が、まだ分からないのか!?」



颯茉(そうま)の力も借りていないのに、カノンの背景に雷が見える!


ちゃぶ台がこの場にあったら、ひっくり返されそうな怒り具合だ!!



うわぁ〜ん、怒鳴るなよぅ。



過呼吸のせいで、耳の奥がキィーンってなってて、大声を出されると辛いんだよぅ。



自律神経の不調って、治癒術で治るのかな?


一回泣いてしまうと、涙腺が緩んでしまうのか、ちょっとの刺激で涙が滲んで来る。



メソメソしている俺の様子を見て、ギョッと目を見張ったカノンは、再び謝罪の言葉を口にして、頭を押さえながら深い、深〜い溜息を吐いた。



「……お前が、地球でどういう目に遭っていたか、俺は知らん。

 多少なら、地の精霊(テルモ)様から聞いた事はあるが……具体的な話は、一切聞いていない。


 俺がその断片的な情報から、勝手に想像するものでもないし、改めて精霊様方に聞くのも、違うしな。


 だが、慣れているなんて理由で、自分を粗末に扱うな。


 特に性交渉なんて、互いの同意なしに行う事ではない。


 この世界の法律では、強姦は例え未遂であっても本人、親族を含めた私刑が許可されている、重罪だ。

 捕まれば、未遂でも男なら局部を切り落とされるし、女は陰部を焼かれ、閉じられる。


 殺人よりも重い罰を与える権利が、被害者にはある。


 取巻き連中の証言も引き出せる。

 幇助した奴等も同罪だ。


 ……お前が望むなら、今すぐ代わりに殺してくるぞ」



こんなにひと息で一気に喋るカノンを見る事って、今まであったかしら?


イヤ、回復薬の実験をしている時とか、一人でブツブツと延々調合の割合や得られる結果の仮説を呟き続けているけれど。



そうではなく。



……それだけ激おこって事だよね。



ヒトを守るべき立場にあるのに、ソレを害すなんて事を、賢者様が言ってはいけないだろうに。



いやぁ、なんというか……


有難い事だな。



精霊の皆もそうだけどさ、俺よりも、余程俺の事を大切に思ってくれている人達がいる事実って、それだけで救いになる。



心が温まった、おかげだろうか。


もう、手は震えていない。


呼吸も、シッカリ出来ている。



「……有難うな。

 俺の代わりに、怒ってくれて。


 ただ……そうだな。

 今の話を聞いて、思いついた事があるんだ。


 加担してくれるか?」


「悪事ならば、見逃す位しかしてやらんぞ」


「魔王様のする事だもの。

 悪どい事に、決まってんじゃん?」



ニヤリと笑えば、こめかみを押さえながらも、小声で「話せ」と説明をするよう求めて来た。


いやぁ、共犯者になってくれる人がいるなんて、なんて心強いんだろうなぁ!


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