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もと神さま、新世界で気ままに2ndライフを無双する。  作者: 可燃物


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神さま、変装する。

第一印象で疑念を抱かれてはいけない。


そう思い乳を盛大に盛ったら、瑞基に断固として反対された。



父親に似れば、Cカップにはなれただろうに。


しかし母親に似てしまった、その自分の貧相な胸元と比べてしまうのだろう。



良いじゃないか。


貧乳はステータスだぞ。


なろうと思ってなれるものじゃないんだから。

誇って良い身体的特徴だ。



対して俺は母親に似たら、立派なふたつの丘が出来ていたハズなのだ。


実際、胸の大きさを決める要因の四割程は遺伝なのだから。



このニセ乳は前世が俺の母親である、光の精霊神:稜霓(ろうげつ)の見た目を参考に創った。


そう考えれば、別におかしい所は無い。



無いハズなのに、「男ってそういう所あるわよねっ!」と語気を強めて罵られた。


主語がデカ過ぎやしませんかね?



単なる女装に見えやしないかと不安だったが、セリアからは太鼓判を貰えた。

問題無いだろう。


瑞基には最後まで胸が大き過ぎるとブチブチ言われたが。


ソレも見てくれに関してではないし、大丈夫だと思いたい。



熱可塑性エラストマーやシリコンを使えれば、もっと質感とか重さなんかの細かい部分を模倣出来るんだろうけどね。


この世界に無い素材を使うのは、なるべく避けたい。



そうなると使用出来るのは、魔物素材になる。


なかなか魔物を素材にして、程良い弾力が再現出来なかったんだよ。



まぁ手に吸い付くような触り心地はなかなか良く出来た気がするし、良いだろう。


少なくとも、パッと見に違和感は無いと思う。






万が一にも、魔王の特徴として伝えられている胸元と左手の傷を見られてはいけない。


なので着替える時は、女性の前で裸になるなんて出来ないと断りを入れ、肌着の上からブラジャーのような形にしたニセ乳と、臀部に同じ素材を貼り付けたスパッツを履いた。



尻も女性にしては、硬く温かいからね。


丸みを持たせ、脂肪特有の冷たさを表現するために、似非ケツ肉も必要だ。



その上から服を着て、軽めの金属素材で創った、形だけの防具を装備した。



そして冒険者をしている女性も、スカートのようにして腰布を巻くのだと教わったので、巻きスカートを忘れずに身に付ける。



姿見に写る姿は、普段の俺とはかけ離れている。


万が一にも知り合いがこの村にいたとしても、バレはしないだろう。






ズレたり触った途端壊れたりしないか確認するため、もちもちとぶら下がってる塊を持ち上げたり揉んだりしていたら、三人に凝視された。



別に、変態行為に及んでいたんじゃないよ?


具合を確かめるためにやっているんだからね??



「……やっぱり、大き過ぎない?」


まだ言うか。



自分の胸部を触りながら、呪い殺されそうな気分になる視線を送って来ないで頂きたい。

怖ぇよ。



「一応金銭的なもので解決出来なかった時に、色仕掛けの方向で取り戻せないかとも思っているので、盛り過ぎ位で丁度良いんじゃ無いでしょうか」


「は!?」


「危険ですよ!

 あの狸妖猯(ニュクデス)、誰彼構わず鼻の下のばしてるんですよ!

 アーク様ほど美しいと、男の方だってばれてもそのまま手ごめにされてしまいます!」


手篭めって……アナタ、難しい言葉を知ってるのね。



ってか、誰彼構わずという事は、セリアも言われた事があるって事じゃないか?



だってそういう卑怯なヤツって、誰も居ない時と場所を選んで言い寄って来るものだし。


キミ、まだ成人してないよね??



ソレは野放しにしておいちゃいけない案件ではなかろうか。



盗っ人な上にロリコンで見境なしな女の敵か。


いっその事、村長職を代替わりさせてしまった方が、オプスクリス開拓村全体のためになる気がする。



証拠を残さず消す事も出来るよ?


殺ってしまおうか??



「ん〜……その時には、化粧を落とせば良いのでは?」


「素の方がおきれいなのに、何を言ってるのですか!」


なんか、よく分からない理由で怒られた。


皆から叩かれまくっているこの机、可哀想が過ぎる。






この子、綺麗とか美しいとか、大袈裟に人の顔面をさして形容するけれど、余程感性が刺激されない、乏しい生活を送ってきたのだろうか。



なにせ見渡す限り土色で、色彩によって網膜を刺激されることが無い、土の中での生活だもんね。


深呼吸をしても土の香りを感じるだけ。


そりゃ感受性も育ちにくいよな。



一歩外に出れば、厳しくも壮大な景色が広がっている。


一面の銀世界は身震いする程美しく、肺を凍てつかせる程の寒さは、世界の広さを痛感させられる。


嫌でも感覚的能力は高まるだろう。



だが彼女は角骸鯨(ポーコゥル)に腰を抜かすくらいだ。


用事があって外出をしても、銀色の風景を楽しむだけの心の余裕は持て無いに違いない。



そういう意味でも、精霊術を身に付けて、魔物なんて鼻歌混じりで倒せるくらいまで成長して貰いたいものだ。



様々な刺激を受けて五感を研ぎ澄ます事は、魔物討伐にも利になる事が多い。


住民が全員精霊術をマスターすれば、わざわざモグラみたいに土の中で生活をしなくても良くなるかもしれない。






そうじゃなくても、精霊術を使える人口が増えれば、瑞基の負担は減ると思うんだよね。



「スキル」を使うと、どうしてもお腹が減る。


生命エネルギーを消費して力を使うのだから、ある意味当然の生理現象だ。



そして精霊術を使って霊力の消費が出来ないのに、この世界の食物を食べて霊力を体内に取り込み続けると、霊力が飽和状態になり、そのうち分解されてしまう。



地球人(エルフ)は土に還れず崩れて死ぬ。


そう言われている原因は、この霊力の飽和によるものだ。



飽和状態になり分解された地球人(エルフ)は、恐らくその霊力の持ち主、つまりこの世界に纏われた状態になっているのだと推測している。


俺やカノンが、自分の杖をそうしているように。



纏える状態になった物は、持ち主の意志によって、具現化させたり分解したり出来る。


もしかしたら、死んだと思われている地球人(エルフ)達も、この世界、と言うよりも、この世界の権利を持っている神の意思によって、具現化させられるのかもしれない。



その仮説が立った時に、俺や精霊神となった皆が文字通り命懸けで行った‘’地球再生計画‘’を頓挫させ、地球が滅びる原因となった神から、この世界の権利を丸ごと奪おうと心に決めたのだ。



地球のみならず、ソコに暮らしていた人々まで、我がものにしようとしているんだぞ。


キッチリ利子までつけて徴収しなければ、気が済まない。



俺達が今いるシャンバラと、精霊と敵対している存在の燼霊(じんれい)がいるニブルヘイム。


その両方を神から、取り立ててやるのだ!






……とは言え、オプリタス大陸に住む人々が外へと気軽に出られるようになったとしても、白の色彩が増えるだけなんだよね。


まぁ、白は二〇〇色あると言うし、感性を磨くのであれば、適している色味だろう。



ツンドラ気候の土地のように、夏なら緑が覗くかもしれないし。



「お前、また明後日の方向に思考を飛ばしているだろう」


おや、よくお分かりで。


まだつるむようになって、一年も経っていないのに。



……そんなに俺、分かりやすい思考をしているのだろうか。


もしくは、顔に出ていたかな。

化粧ってそういう部分は隠せないのだろうか。



ココで「オッサンの相手なら慣れてるから大丈夫」なんて言って誤魔化そうものなら、タレた目が釣り上がる事になってしまうよな。


今は大人しくしてくれている、精霊の皆も出張って来るに違いない。


ややこしい事になりかねないので、余計な事は言うまい。



「何か起こりそうになっても、私なら対処出来ると、知っているでしょう?

 何の問題もありませんよ」


「貴方、自信過剰って言われない?」


一応カノンは俺の言葉に納得したようで、溜息をひとつ吐いただけで何も言い返してこなかった。



だが俺が彼の弟子だと紹介されている二人は、まだ心配なようだ。



特に瑞基には、自惚れたガキがイキがってるようにしか見えていない。

心配半分、呆れ半分というところだろうか。



セリアは目の前で角骸鯨(ポーコゥル)を吹き飛ばしている所を見ているからか、どちらかというと村長の心配を始めている。



「あの狸妖猯(ニュクデス)なら、あぁなっても誰も困らないか」と俺の地獄耳が拾ってしまった。


意外と腹黒いね、キミ?



異世界でもタヌキジジィの立ち位置って、老獪で狡猾なクセモノな、中年小太りなスケベジジィなんだな。


そうなると、男を翻弄し手玉に取る女性は妖狐(ウルペス)に例えられるのだろうか。

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