表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
もと神さま、新世界で気ままに2ndライフを無双する。  作者: 可燃物


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

26/97

神さま、止める。

勘違いをさせてしまったと、すぐに気付いたのだろう。


カノンの反応に驚いた瑞基は、すぐに謝罪をした。



英雄と言っても、カノンの父や母を示す三英雄ではないそうだ。


……明らさまにガッカリしている。



カノンの父親も日記を遺していたが、遺言に従って今、彼の手元にソレは無い。


遺品整理をしていた時に見付けたソレには、来たるべき時が来るまで、誰の手にも渡らないように、誰も見る事が無いようにと書かれた紙が挟まっていた。


そのため、その紙が挟まれていたページまでしか、読めていないのだと言っていた。



どうせ死んだ人間の遺した言葉なのだ。


誰も咎めやしないのだから、そんな言葉、ムシして読んでしまえば良いのに。


律儀なヤツである。



その後は記載されていた指示に従い、精霊に隠して貰ったので、見付けられれば続きが読めると解釈しているらしい。


なので彼は全世界を津々浦々と旅をしながら、父親の日記帳を探している。



その時が、ようやく来た!



そう思ったのに肩透かしを食らってしまったのだ。

落胆しても仕方が無い。


だって極度のファザコンだからね。






では彼女の言う‘’英雄‘’とは誰か、と問えば、やはり父親をさす言葉だと返された。



ココの兄弟は、日記を書くように育てられたのか?


二人揃って遺品が日記って。



……二人の弟である、火の精霊神: 紅曜(こうよう)まで、書いてたりしないよね?



タブレットにならまだしも、紙に書くとか。

資源が少なかった施設では、紙は貴重品だったんだぞ。



何か書く事に使うくらいなら、トイレットペーパーにした方が、余程有意義だからね。


勿体ない事をしやがる。



「私は早くに父を亡くしているの。


 思い出も朧気だけど、その日記を読み返している間は、父を身近に感じる事ができた。

 辛い時に励ましてくれるような、嬉しい時に分かちあってくれるような……そんな気持ちにさせてくれる、私の、お守りみたいなものなの。


 ……だから、取り返すためなら何でもする。

 協力してくれるなら、今までの非礼を詫びて、貴方たちの望むようにするわ。


 お願い。

 ……いいえ、お願いします」


言ってまさかのDOGEZAスタイルを取ろうとしたので、慌ててデコをキャッチして食い止めた。


女性の肌に断りもせずに触れてゴメンよ!



「村長共にミズキが賢者だと勘違いさせておかなければ、腹癒せに燃やされると思ったのだろう?

 理由があっての態度なら、気にしない。


 ……だからお前も、頭を下げるのを止めたのだろう?」


「えぇ、カノンの言う通りです。

 それにお二人は、身内なのでしょう?

 家族を助けるのに、いちいち理由なんて要りません。


 だから貴女も、今まで家族同然の村人達のために、粉骨砕身、開拓に勤しんで来たのでしょう??

 同じですよ。

 是非カノンをこき使って下さい」


「ふふっ。

 ……弟子の立場の貴方が、それを言っていいの?」


クスクスと笑いながら、瑞基はありがとうと言って頭を下げた。



結局下げるんか〜い、とツッコミを入れたくなるが、まぁ、謝られるよりは良い。


感謝の言葉は幾ら言っても良いものだからね。



何より、やはり女性は笑っているに限る。


難しそうな顔をされたら、カノンが二人居るような錯覚をしてしまって最悪だったからね。


アンタ等似すぎ。






「セリアが(くだん)の村長に、俺たちのことを何と伝えたかが気になるな」


「既に賢者が来たと伝えられていたら、カノンか瑞基様のどちらか、あるいは両方がニセモノだと思われていそうですもんね。


 そうじゃなくても、無償で樹化病(ダプネー)を治すと話を通されてしまっているなら、ソレを交渉材料に日記を回収する事は出来なくなります。


 お金を払うのは吝かではありませんが……と言っても、この辺では貨幣は意味を成さないでしょう?

 その人達は、何と日記を交換しようと望んでいるのでしょうか??」


角骸鯨(ポーコゥル)の角を持っている事は伝えられているだろう。


入村の条件を緩和して貰おうという打算で、欠片を渡したのだから。



別にソレは良いけど、期待値MAXな説明を既にされてしまっていたら、問題の解決の代償に日記を寄越せとは言えなくなる。


言ってしまったら、カノンの賢者様の二つ名に傷が付きかねない。



人々の意識の中の精霊の立ち位置を上げ、信仰心を増やすためにも、‘’賢者‘’と‘’精霊の使者‘’の二つ名に瑕疵が付くのは避けたいからね。



神の野郎の存在をこの世界の住民の心から追い出すためには、困った時に縋り付く先を、精霊か俺達にしなければならない。



なのに悪評が広がってみろ。


火のないところに煙は立たないと言うのだ、


幾ら善意を振り撒いて回っても、何か裏があるのだろうと勘繰る人が出てきてしまいかねない。



カノンも俺も、人々の前では清廉潔白でなければならないのだ。


魔王と恐れられる俺が、と考えると、何のギャグだよと腹がよじ切れる位に笑いたくなるが。



「お金の流通もあるわよ。

 オプリタス大陸から出たがる子供がたまにいるから、貯めてあるの。


 開拓を申し渡された時に渡された資金や、村を訪れた冒険者と取引をした時に手に入れたお金。

 あとは簒奪者が現れた時に剥いだ身ぐるみから得たもの。


 各村にある程度の金額は管理させているわ。

 確かに使い所は少ないけれど。


 あの子たちが要求するとしたら……食べ物や日用品かしらね?

 幼い頃はよく外の話を聞きたがっていたから、冒険譚を要求してくる可能性もあるかもしれないわね」



……あぁ。

なるほど。


瑞基が犯人に強く出られないのは、幼少期の可愛い時代を知っているからなのか。



純血の地球人(エルフ)はもう、瑞基だけだと言っていた。



そして混血し、地球人(エルフ)の血が薄まれば薄まる程、生命エネルギー、つまり霊力の総量が減っていく。


ひいては寿命が縮むと言う事だ。



何代経ているのはは不明だが、村長の年齢は瑞基よりも、遥かに若い。



ココで暮らしている人達は皆、家族のようなものだと言っていた。


つまり、何百年と生きている彼女にとっては、子供のような、孫のような存在なのだろう。



見た目はジジイになっていて、他人の物を盗むような悪人に育っていたとしても、彼女にとっては、ソイツ等ですら、守るべき、愛する子供達なのだ。



だから強く出られない。


イタズラをした子供を、強く叱れない親が居るように。



大切な日記を返してさえくれれば、大したお咎めもせずに、許してしまう程度には甘いのだろう。


時には叱る事も、大事だと思うのだけれどね。


大人を舐めたまま歳を重ねたら、誰も咎めてくれる人がいなくなって、増長していつか酷いしっぺ返しが来るぞ。



ソレが寝たきりの老人になった時に、介護してくれる人が居ないという形で訪れるのか、ロクな死に方が選べないという形で現れるのかは、それこそ、神のみぞ知る案件だろうが。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ