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もと神さま、新世界で気ままに2ndライフを無双する。  作者: 可燃物


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神さま、矍視する。

見る限り、氷食によって自然に出来た土地や地形を利用したワケでは無さそうだ。



気配探知を使い、オプスクリス開拓村の全容を把握してみる。

かなり広い上に、区画が均等に整備されている。



アリの巣のようなコロニーとも違うし、モグラの巣のようにトンネルがぐにゃぐにゃと複雑に入り組んでいる事もない。



言葉として適しているのかは疑問だが、物凄く、近代的だ。






地中生活と聞いて真っ先に想像するような、トンネルを通して居住部分だけ空間を大きく取るようなカルバート構造ではない。


縦に拡がる、シャフト構造になっている。



三次元空間活用をされている地下空間は、上から見たらドーナツ状……イヤ、例えるなら、パインの缶詰が良いか。


中央に最下層までの吹き抜けが通っている。


心地の好い風が、下から吹き上げてくる。



五階ごとに居住区の間に商店だけのフロアがあり、下層は生産職の仕事場になっているようだ。


下の方には、現在人の気配がいない。



一階ごとの広さはそこまで広く無いのだが、とにかく深い!



コレ、毎日階段で行き来したら、ソレだけで滅茶苦茶足腰鍛えられそう。






人口が増えた時にはどうするのかと問えば、横へと広げていると言われた。



現在進行形の発言に、カノンと揃って首を傾げる。



オプリタス大陸の集落の大半は、このオプスクリス開拓村のように地下に存在しているそうだ。



開拓民はニンブス大陸に橋をかけてオプリタス大陸に入り、ソコから徐々に南下していった。


人口が増えてきたらこのパイナップル缶構造の空間を増やし、希望者を募り幾つかの家族ごと新たな村へ移住をする。



長い年月をかけて人口が増え、ソコも手狭になって来たら、新たな村を作り、移住する。



そんな事を、もう何百年も繰り返しているのだと言う。



現在最南に位置するのがオプスクリス開拓村で、何十年も前から、これ以上南に進めなくなっているらしい。



火事や病によって全滅する村があり、その後始末に奔走せねばならなかったのも、理由のひとつとしてある。



それに太陽が昇らない大陸に好き好んで訪れる冒険者は少ない。


外部からの情報が得られないため、精神を病む人もいる。



それ以上に食料の調達が、土地柄難しい。


人口がなかなか増やせないのが、最も大きな理由だ。



それぞれの集落への連絡通路も通っている。

地上に出なくても、安全に村から村へ移動出来るので、村同士の交流が気晴らしになっているのだそうだ。



現在オプスクリス開拓村に繋がっている連絡通路は、全て閉鎖されている。



病が他の村に広がったら、何百年と築いて来た歴史が、全て無と帰す事になりかねない。



実際、そうやって滅びた村が過去にあるのだ。

他人事ではない。






すんげぇ事をしていやがるんだな。



施設も地下に伸びていた。


けれど、ソレは地球の技術の集大成というか。

叡智の結晶じゃない?



失礼ながら文明レベルの低いこの世界で、こんな地下住居が見られるとは、思ってもみなかった。



地形や地盤の変化や、沈下を起こさないように地下構造物を作るのは、かなりの技術を要する。


当然、金も人員も相応にかかる。



土圧や水圧の影響も考慮し、万が一が無いように綿密な計算をしなければならない。


そうじゃなければ、ペッシャンコになってしまうからね。



建造物の構造深度が深まれば深まるほど、加圧は大きくなる。


安全率を維持したまま、地下深くの構造を設計するのは、地下上層部と比較すると、非常に難しくなる。



空気を循環させなければならにいのは当然として、その配管をミスって逆流でもさせたら、簡単に全滅してしまう。



しかも漏水なんてしようものなら、地下構造物は一気に瓦解する。


地下水位が下がるなら、飲水の確保も困難となる。



何か一つでも計算が狂っていたら、文字通り全てが壊れてしまうのだ。



ソコに中で過ごしている人達の身分なんて、関係ない。


全てが均等に、平等に苦しみ、もがきながら死ぬ事になる。



なんと恐ろしい!



リスクの方が大きいと考え、普通ならこんな規模の地下居住区を造ろうとする人なんて、まずいない。



なのにも関わらず、圧密沈下の障害を起こさないよう涵養(かんよう)力を考慮し、何百年と形を保った地下建造物が、目の前にあるんだぞ!


前時代的な暮らしをしている人が多いこの世界で、こんなものが見られるなんて!!



今、自分で引く程に、滅茶苦茶テンションが上がってる。



ヤバい。

ボロが出ないように気を付けなければ。






「この居住空間は、地精霊様の力を借りて造り上げたのか?」


「まあ……そうね」


瑞基はセリアを見下ろし、歯切れ悪く肯定した。


あぁ、「スキル」によって造ったのか。



どうやら彼女の「スキル」は、父親譲りらしい。


母親の「氷のスキル」と合わさった時、どんな「スキル」が発現するかと思ったが、父親と一緒だったのか。



強力な「スキル」同士を掛け合わせると、次世代の「スキル」が更に強化される傾向にあった。


その上比較的レアな「スキル」がソコに混ざると、突発的に今まで観測されていない「スキル」が発現する事もあった。



母親が利便性は低いものの、レアな「スキル」だった。

そのため瑞基には、ソレが期待されていたのだが……



そうなると、周囲の大人から散々嫌味を言われただろうな。


さぞかし辛い幼少期を送ったに違いない。



守ってくれる親がいたならば、こんなツンツンした捻くれ者にならなかったかもしれないのに。



誰だよ、瑞基から両親を奪ったのは!?

俺だよ!!


マジでゴメンなさい!!!





瑞基とセリアの案内は、地下一階の居住区の廊下をぐるりと回りながら行われた。


だいたいの内容は、俺が感知で視たものと一致している。



最下層は確かに工場や農場を含めた仕事場が軒並み連なっているし、居住区とは全く別にされている。



ただココのフロアを含めた上層部は、居住区ではないそうだ。



中層部にある間取りと似ているから、てっきりそうだと思ったのだが、普段は使われて居らず、他の村や冒険者のような外部の人達に貸し出すための、宿場になっているのだそうだ。



今は重病者、特に助かる見込みがない者程上層に集められているらしい。



嫌な言い方になるが、意識があるうちに上に運び、ダメだった時に外へ運び出す時に、上層の方が楽だからだろう。



こんな場所では、火葬も土葬も難しい。


出来て鳥葬か、表面が凍ってはいるけれど海があるから水葬になる。



空気が滞留しやすい地下空間で、火葬をするのはあまりにも無謀だ。


土葬は出来なくはないだろうけれど、拡張する時に掘り当ててしまったら最悪だし。


何年と溶けずに凍っている大地に穴を開けるのは厳しいから、遺体を外に運び出した上での土葬も難しい。



そうなると、魔物に食わせるのもそういうのかは不明だが、スカベンジャーに摂食させる埋葬形式である、鳥葬が最も現実的だ。



流石にエレベーターは作れなかったようだ。


そうなると意識の無い人間を、階段で中層から何階分も運ぶのは、かなりの重労働だもんな。






あぁ、吹き抜けを使って運ぶ事も出来るか。


ならば言葉通り、人の行き来が少ない上層を隔離場所にしているってだけなのかもしれない。


……裏を読み過ぎるのは、悪いクセだな。



ただ吹き抜けを利用しているのならば、その割には、吹き抜けに落ちないよう張り巡らされている柵の強度が足りない気もする。


乗降口も無いし。



せり上げ構造を昇降装置として使用しているなら、滑車がどこかにあるはずなのだが、それも見当たらない。


せり上がり構造は、エレベーターの前身となったものだね。



コロッセオの運営に使われていたそうで、紀元前には既に存在していた。

なのでこの世界の文明でも、十分造れる。



重量物でも少ない加重で上げ下げ出来る便利な機構ではあるが、滑車と梃子の原理によって成されるために、規模の大きな巻き上げ装置が必要になる。


俺が見落としただけで、どこかにあるのかな。



キョロキョロあちこちを見回し心を浮つかせていたら、後頭部に軽くチョップをされた。


見上げれば、呆れ顔のカノンが二発目を喰らわせようと、右手を振り上げていた。



べ、別にココに来た目的を忘れてたワケじゃねぇし!


ちょっと目移りするものがあったから、気になっただけだし!!



振り下ろされる前に、慌ててデコをガードしたら、首に手刀を入れられた。


まさかのブッチャー!?



このタレ目、実はプロレス好きとか言わないだろうな。


地獄突きを喰らわされるとは、思わなかった。

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