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もと神さま、新世界で気ままに2ndライフを無双する。  作者: 可燃物


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神さま、飛ばす。

いつもご覧頂きありがとうございます。


ブクマ登録して下さった方、ありがとうございます!

楽しんで頂けるような作品が書けるよう、精進します!!


オプスクリス開拓村がベースと考えた時、パット見の内装こそ似ているのだが、ラクサリス村はかなりの魔改造がされていた。


オプスクリスでは 粉媒楢(クォルクス)の患者が寝かされていた、冒険者が来た時に寝泊まりをして貰うための部屋だと説明されていたフロアが、全く違う仕様になっている。



冒険者がほとんど訪れないのは、開拓村と条件が近く、隣の大陸から遠い位置にあるからだろう。


ソレを理由に上層階の大半の部屋、つまり客室のほとんどが、外気を取り入れた冷凍室に変貌していた。



外へ出入りをするための転移方陣の近くに、外出着を入れるための収納があったのも、この冷凍室に入室する際に着替える必要があるからだ。


同じフロアにあるからね。


自室で管理をしていたら、いちいち行ったり来たりをしなければならず、手間が掛かるもんな。



凍えないように厚着に着替えるのは手間だけれど、食品の長期保存を可能にすれば、飢える心配が減る。



せっかくある部屋を使わずにホコリまみれにしておくくらいなら、有効活用をするべきだもの。



オプスクリス開拓村では何故していないのか、不思議に思う。


土壁の中にしか、収納が無かったよな、確か。



冷凍室は保冷のために二重扉になっているが、コレはどうやって施工したのだろう。

「スキル」や精霊術が使えるヒトがいるのだろうか。



ちょっと期待したのだが、村長――アツキに笑って否定された。


彼はダイキとハジメの高祖父にあたり、瑞基の曾孫になるそうだ。



ようやく、本当の曾孫が出てきた!


だって瑞基は、誰をさしても曾孫と言うんだもの。

ホンモノの曾孫に会えて、ちょっと感動した。



同じ狩りのチームメイトの中には、瑞基の玄孫もいると言われた。

誰がそうなのかと目で尋ねれば、村長(アツキ)よりも歳上に見える、ユウキがそうなのだと言う。


もう、地球人(エルフ)の血が入っていると、見た目年齢が実年齢に全く反映されていない事が分かるね。


混乱しそう。

家系図を寄越せ。






小屋を出た後の雑談の中で、村長(アツキ)が「戦闘員が全員村から出払っているけれど、問題ない」と言っていたのは、昨日から瑞基が村に滞在している事を受けての発言だった。


「スキル」も精霊術も使えない人達からしてみれば、瑞基のように「スキル」が使える人間は、奇跡のような存在だもの。



最近はめっきりその頻度は減ったけれど、この世界に来た直後なんかは、魔物との戦闘は数え切れない位に経験をしたそうだ。


三英雄の伝説に埋もれてしまっているが、燼霊(じんれい)との戦いにおいても、瑞基はかなりの活躍をした。


他の大陸ではどうか知らないが、オプリタス大陸では瑞基こそが英雄と伝わっているのだと、ハジメ達が誇らしげに語ってくれた。



その瑞基はと言うと、照れているのか子孫達の言葉を否定をしている。



英雄という言葉は三英雄にしか使ってはいけないから、尊敬の意味も込めて瑞基は‘’賢者様‘’と呼ばれているのかな。

特別感がある二つ名だもんね。



国から派遣された精霊の使者御一行様と言う肩書きよりも、瑞基の知り合いという点で全面的に俺達の事を信用に値すると判断した村長(アツキ)は、ハジメを名指しして村の中を案内するように申し付けた。


今日の全員分の収穫物の整理とリスト化を、早急にしなければならないのだそうだ。



仕事を増やすのは申し訳ないので、四次元ポシェットに入れた、湖上で倒した魔物は全部、後でいるかどうか聞けば良いか。


要るなら渡すし、要らないなら腐る事が無いのだし、いつか使うその日まで、ポシェットの中で眠らせて置けば良い。



瑞基とセリアは昨日の夜半に到着したのだそうだ。


そのため村がどのように変化したのかをまだ見ていないからと言って、自分達も一緒に案内しろとワガママを言って、瑞基にしか出来ない仕事だろうに、濾過装置(フェブラクア)のメンテナンスを後回しにした。



自分の欲を優先するなんて、悪い大人の見本が過ぎる。

子孫の前でくらいもう少し取り繕えよ。



俺達が到着したのだから、俺達について行くのが最優先事項だと断言してしまうのは、どうかと思うよ。



ハジメ達にも「この人達何者……?」って目で見られるし。


ソレに関しては、瑞基と双璧をなす東の賢者だとか、未知の存在である精霊の使者だとか、あらかじめ言われていた肩書きで、一応納得は出来ているようだが。






俺の実力の片鱗にも触れているし、そのため瑞基にも一目置かれているのだろうと、理解したようだ。


だがどうしても、受け入れられ難い事があるらしい。



「お兄さんたちは助けてくれたしさ、別に怪しいとか思わないよ。

 たださ、バッチャンが乙女化してるのがキモい」


訝しげな目で見られていると感じていたのだが、その対象は俺達ではなく、瑞基に対してのものだった。



一応瑞基は定期的にオプリタス大陸にある村を、巡回はしていたようだ。

なのでハジメ達のような若者とも、ある程度だが面識がある。



長時間の滞在はせず、問題が起きていないかの聞き取りだけして、新生児が産まれてたらその祝福を言祝ぐくらいなものだったそうだけれど。



ヒトに対しての様子は気を配って見ていたけれど、村の設備なんかは、村長とソコに住む人達に全権を委ねている。



だからどこがどう変わったのか、今まで気にも止めていなかったそうだ。


何か不具合があれば相談しにオプスクリス開拓村に来る事も、瑞基が訪れた時に相談する事も出来たのだから。



ソレがないと言う事は、恙無く村としての運営が出来ているのだろうと判断していたようだ。



だから今こうやって、俺達と共に、村がどのように変わったのか、ハジメ達青年組の案内音声付きで、ゆっくりと見て回っている。



お仕事モードの凛とした横顔と、赤ん坊に向ける柔和で聖女のような姿しか見た事が無かった青年達は、先程の村長(アツキ)に対して修羅の如く怒っていた様子に竦み上がり、俺に対して向ける恋焦がれるような熱視線に度肝を抜かれたそうだ。


だからってキモいは言っちゃいけない言葉でしょう。



「おだまり!

 女は幾つになっても乙女心が備わっているのよ!

 だからこそトキメキによって女性ホルモンが活性化されて、いつまでも若々しく美しくいられるのよ!」



「私の美魔女っぷりを見なさい!」と誇らしげに言うけれど、俺達の年齢の男子に歳上女性の美しさって、通じないと思うよ。


どんなにキレイでも、オバサンはオバサンだもの。


しかも彼等からしてみれば、瑞基の立場はオバサンを通り越して、おばあちゃんすら遥か彼方に霞むような、ひいひいひいひいひいおばあちゃんなんだよ。


女として見ろと言われても、無理がある。



ソレにさ、熱弁している所悪いけど、どれだけ見た目が若かろうと、自分の親や親族が、周囲の目を気にせず歳下の男にキャーキャー黄色い声をあげていたら嫌悪するのは、とても健全な反応だと思うよ。


しかも自分と同年代ってなったら、余計にね。



瑞基は大好きな父親がそうだったから、疑問に思えないだけで。



「まぁ、バッチャンが言いたいことも、分かるけどね。

 こんなキレイな人、初めて見たもん」


「でしょ!?」



「……だからって仕事後回しにしていい理由にはなんなくね?」


「ちゃんとやるんだからいいじゃない!

 どうせなら、アンタたちも出来るようになった方がいいでしょ?

 お手本を見せるから、案内終わったら一緒にメンテナンスするわよ」



一緒に着いて来たトシキが、ごもっともな指摘をする。

だが女性特有の押しの強さによって、この後の予定が一方的に決められてしまった。



仕様書は見たけれど、ゆっくりと濾過装置(フェブラクア)が稼働している所が見られなかったし、俺としても有難い話ではあるのだが。






滞りなく案内が終わり、村長(アツキ)の仕事が終わるまでココで待っててくれと、村に滞在中は好きに使って良いという部屋に案内された。


ちなみに、瑞基達の隣の部屋である。



カノンもいるし、寝込みを襲って来るような不埒なマネはしないだろうが、念の為「スキル」で施錠だけはしておこうと心に決めた。


今は話を聞かねばなるまいと、招き入れたので同じ部屋にいるけれど。



用事が終わったら、もちろん追い出す。



「……んで、何で瑞基がラクサリスにいるの?

 しかも、セリアまで連れて」


セリアの前で口調を崩した事はほとんど無かったが、既にラクサリス村の面々には素の口調で話している。


カノンや瑞基に対してもそうだ。



今更取り繕うのもおかしいので、‘’精霊の使者様モード‘’の丁寧な口調にはならない。


魔王的な、不遜で威張り散らしたような態度を取る事もチラリと考えたが、慣れない事をしたらボロが出るし、ラクサリス村のヒトに、そういう口調で語っている場面を見られたら面倒臭い事になる。

なので即却下した。



瑞基はセリアに、俺の事をどこまで話したのだろうか。



「オプスクリスとラクサリスを繋ぐための通路を通していなかったのが、ここに赴いた表向きの理由です。

 あとは貴方に、セリアとの約束を果たして貰うためでもあります」


「約束?」



表向きの理由があるなら、裏の理由は何なんだ。


ソレを問う前に、引っかかった言葉があったので、つい反応をしてしまう。


セリアと何か、約束なんてしていたっけか?



「わたしが賢者様よりも先に精霊術が使えるようになったら、お二人の役に立つのだと、お約束していたではありませんか!」


あぁ〜、なんか、そんな話をしていたな。



だがアレは、燼霊(じんれい)との戦いが想定していたよりもかなり前倒しになってしまったせいで、有耶無耶になったのではなかろうか。


なにせ瑞基が先に精霊術が使えるようになったら、大人しく避難するのが交換条件だったんだもの。



セリアの方が先に精霊術が使えるようになったのだとしても、あくまでオプスクリス開拓村のイザコザに関してで、何か手伝う事があればヨロシクね、程度でしか考えていなかった。



しかしその‘’お役に立つ‘’範囲も時期も期間も、何もかもを決めていなかったのだから、約束を果たさねばと追い掛けて来たのだそうだ。


追い掛ける、と言うよりも、押し掛けているよね?

押し売りだよね??



「一応、私は止めましたよ。

 カノンにしても、貴方様にしても、大抵の事は自力でどうにか出来てしまうでしょう?

 なら最低限の事はもちろん、それ以上の事も出来なきゃダメなのよ、って。

 そうしたら、ラクサリスまでの通路を通せれば、役に立てる証明になりますか?って言い出したの。

 私の役にも立つって約束をしたから、まずは私の手間を一つ減らすって。

 無事に完遂したのだから、大人としてその心意気は汲まなければならないでしょう?」



避難口になるから、部外者である俺達は案内されなかったが、瑞基が「コレなら確かに最低限以上の事が出来る証明になるだろう」と、思わず納得してしまう位の出来だったそうだ。


通路の大きさや強度は申し分ないし、安全に通れるように、薄らとだが通路の壁自体が光る仕様になっていたのだとか。



「……ソレ、本当に精霊術だったのか?」


「難癖を付けたら、可哀想よ?」


「そうじゃねぇよ……」



ヒカリゴケの類が発生していたのなら、植物の成長も地の精霊術に分類されるので、精霊術が使えるようになったと言える。


しかし通路の壁材自体が光っていたと言うのであれば、ソレは「スキル」にならないか?



ソレはまぁ、いつでも確認出来るから後回しで良いか。


ソレよりも確かめなければならない事が、他にある。



「セリアは、俺の事どう思ってんの?

 正体は把握しているだろう??

 ……怖くねぇの???」


俺はセリアがアーク=魔王の図式に気付いた時の、恐怖に彩られた表情を見てしまっている。


正直、アレが本心だろう。



わざわざなし崩しになっていた約束事を掘り返してまで、遠路はるばる俺達に着いてくる理由が無いじゃないか。



触らぬ神に祟りなし。

当たらぬ魔王()には刺されぬってね。



「アーク様が、物語の中の魔王だとしか知らなければ、こわいって思っただけだったと思います。

 でもわたしは、アーク様ご自身の優しさや勇敢さを見ています!

 賢者様から、物語には語られていない、明夜様の素顔を小さい頃からたくさん聞いていましたし、やっばりわたしはアーク様のお役に立ちたい!って思ったんです。


 お願いです!

 おそばに置いてください!」



健気じゃのぅ……

そう思いはするけどさ……


「……ナニ、その、小さい頃から俺の話を聞いてたって」


「推し活です」


キリッとした顔でアホな事をほざいてんじゃねぇよ!


その布教活動の範囲によっては、今すぐ瑞基だけでもオプスクリス開拓村に送り返してやる!!



本心を隠して尋ねたら、予想していた通り、子々孫々直系の子供達には全員言って聞かせていたそうだ。



問答無用で、転移方陣を起動させた。


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