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【百万PV感謝!】転生したら男性が希少な世界だった:オタク文化で並行世界を制覇する!  作者: なつのさんち
第二十八章:お忍び旅行

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交換留学生との面談

『日本人は皆親切にして下さるので、何も不自由はしておりません』


『外を歩くと、アルティアンの人だと言って笑顔を見せて下さいます』


『ですが、あくまで私達はアルティアンから来た客人扱いなのです。

 日本人同士のような親しい関係になるのは少し時間が掛かります』


『私達としては十分に仲良くさせて頂いているつもりでも、日本人同士の友人関係に比べるとまだまだ本音での付き合いではないのだなと実感させられます』


『この制服、可愛いと思うのです。日本文化に影響を受けているアルティアンにおいて、何故制服文化が広がらなかったのか不思議でなりません』


 無事に川下りを終えた後、伊吹と摩耶は車にて京都市内の中学校へと移動した。

 京都市内にいるアルティアン王国からの交換留学生達が、一つの中学校へと集められているのだ。

 教室を一つ借りて、摩耶が交換留学生の十名と顔を突き合わせて話を聞いている。

 これは摩耶の公務に当たるので、日本とアルティアンの報道関係者が多数教室に詰め掛けている。


「本音の付き合いが出来ていないと感じるってどういう事だろう?」


「恐らくですが、京都市の土地柄かと思われます。

 外国人だけでなく別の都道府県から来た日本人でも同じように感じるかと」


 伊吹の疑問に対し、智紗世(ちさよ)が苦笑しながら答えた。

 伊吹が同席していてはアルティアン王国から交換留学して来ている中学生達が本音を話せないだろうと、伊吹は会場となっている中学校の教室へは入らずに別室で待機している。

 摩耶に付かせた伊吹の侍女が持っているスマートフォン経由で、治が同時通訳して伊吹に摩耶と交換留学生とのやり取りを見せている。


 交換留学生達は皆、昨日のフットボールの親善試合で起こった騒動について心を痛めており、摩耶の心配をしていた。

 しかし、摩耶はアルティアン王国から課されている最大の使命を全うした事による解放感から、非常にすっきりとした表情を見せており、交換留学生達は安心して自分達の話をする事が出来ている。


『アルティアンとは違い、隣国と地続きではなかった歴史が長いですし、単一民族での国家ですからね。

 肌の色や髪の色が違うと、どうしてもそこに小さくない溝が出来てしまうのでしょうね』


 摩耶は智紗世が話した説明とは違う解釈を留学生達へと語っている。


 親元を離れ、友好国とはいえ他国で暮らす中学生達を前にして、摩耶は自分よりもこの子達の方がよほど立派なのではないかと感じている。

 そして、昨日のフットボールの親善試合にて起こされた騒動の影響で、この子達が日本国民からの非難の目に晒される可能性もあった事に思い至り、摩耶は深く心を痛めてしまう。


『昨日の騒動がきっかけで、嫌な想いをしてはいませんか?』


『いいえ、伊吹殿下のお陰で大丈夫です!』


『伊吹殿下がフットボールの試合を応援して下さいましたし、日本代表だけでなくアルティアン代表の試合運びや必死さなども褒めて下さいましたから』


『マヤ殿下から伊吹殿下へとお礼をお伝え下さいませんか?』


 伊吹が生配信で見せた姿勢や行動で、自国民が救われた事を知り、摩耶は心から安堵すると共に、伊吹の思慮深さに敬意を抱く。

 伊吹の話題となった事で、留学生達が子猫としての表情を見せて来る。


『大阪の子猫顔寄せ大会へ参加出来たのですが、その際は参加者の皆が日本人でもアルティアン人でもなく、ただただ子猫という存在で同じ時を楽しんでおりました』


『副社長の元において、人は皆平等なのです!』


『伊吹殿下、じゃなくて副社長にお会いされる機会があれば、アルティアン王国でも子猫の顔寄せ大会を開いてほしいとお伝え下さい!』


 一部、王室や皇室に対する不敬な発言と受け取れるような内容もあったが、彼女達の言いたい事が理解出来るので、摩耶としては問題にならないよう侍女達へ指示を送り対処した。



「やぁ、親愛なるアルティアン王国の淑女の皆さん。お邪魔してもよろしいでしょうか?」


「「「キャーーーーー!!!」」」


 そろそろ予定していた時間を迎えるかという頃合いで、教室へと伊吹が入って行った。交換留学生達は皆立ち上がり、歓声を上げている。

 中には泣き出す女の子もおり、伊吹が歩み寄って頭を撫でてやると、勢い良く抱き着いてしまった。

 摩耶の護衛やお付きの侍女達に緊張が走るが、伊吹は笑顔のまま抱き返しているのを見て、胸を撫で下ろしている。


「一人だけ特別扱いは良くないか」


 そう言いつつ、泣いていた女の子からやんわりと身体を離し、伊吹が別の女の子へと両手を広げる。

 恐る恐る抱き着いた女の子の後ろに残りの八人が並び、伊吹からの抱擁を待つ列が出来た。


「はい、次の人」


 最後の女の子との抱擁が終わった後、伊吹はわざとらしく摩耶に目をやってそう声を掛けると、摩耶はおずおずと伊吹へ抱き着いてきた。伊吹はその背中に両手を回して、愛おし気に目を閉じた。

 交換留学生達だけでなく、取材陣達からも驚きの声が上がり、カメラマンの切るシャッター音がしばらく止まらなかった。


「さて、そろそろ摩耶と約束していた時間なので、アルティアンのお姫様をお借りして行きますね。

 おっと。お忍びでの旅行中なので、密着取材はご遠慮願いますよ」


 伊吹は教室内に向けてそう語り、摩耶の腰を抱いて教室を出て行った。

 伊吹と摩耶、日本とアルティアン両国の友好を世界中に示す機会となったのだった。

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