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未来からの伝言  作者: 涼
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新しい世界線の誕生

■ 2019年2月17日(日)


莉奈から聞いた情報によると2月13日の水曜日に莉奈の保育園から10分くらい住宅街を歩いたところで、16:40頃に桜田実憂という園児が右折してきた黒いバイクにはねられるという。それを俺が助けに行けば世界線の数値は変わるはずだ。


俺は2月13日に何をしていたか日記を開いて見てみた。特に何もない一日だったが、たしかバレンタインデーの前の日だったのでその時の記憶を思い出してみた。何か特別なことがあった日ではなかったが、まったりと業務していた一日だったことは間違いない。昼食はチーズチキンランチだったからあの日なのか。よし、記憶を辿れそうだ。


俺はベッドに横たわって2月13日のことを強くイメージしながら目を閉じた。何気ない一日だったが、チーズチキンランチを食べた時の味や雰囲気を思い出していた。天気は曇り空だったはず。そんなことを強くイメージしながら知らない間に眠っていた。


■ 2019年2月13日(水)


朝8:00に目覚まし時計が鳴って目が覚めた。俺はすぐにスマホを見て日付を確認した。2019年2月13日なっている。タイムリープに成功したのだ。カーテンを開けて窓の外を見ると曇り空だった。俺は自分の部屋を出て洗面所で顔を洗うとキッチンへ行った。朝食を食べながらニュースを見ていると間違いなく今日は2月13日だった。朝食を終えてさっさと部屋で着替えをして家を出た。


駅まで歩いていくと一度体験しているのでデジャブのような感覚に陥った。いろいろこの日のことを思い出していた。駅に到着していつもの時間の電車に乗った。莉奈から送ってもらった住所はこのスマホに入ってなかったが、住所は頭に入れていた。スマホで地図を開いて事故が起こる現場の付近を調べてみた。ちょうど曲がり角の近くで桜田実憂という園児は黒いバイクにはねられる。この付近に16:30頃に到着して待っていると必ず母親と園児が通るはずだ。俺はどうやって助けるか頭の中でシュミレーションした。ただ、どういう状況で園児がバイクにはねられるのかがわからない。とにかく、早めに保育園を出るということは、周りに親子連れはいないはずだ。そんなことを考えていると会社の最寄り駅に到着した。


10:00前に出勤して自分の席に座ってパソコンの電源を入れた。そして通院という理由で早退届を記載して日根野部長に提出した。この日は業務をしていても落ち着かなかった。


昼休みになって昼食はチーズチキンランチを食べることにした。同じようなことをしないと過去を改変してしまうことになる。出来る限りこの日にした行動と同じことをしなければならない。定食屋を出て、外をブラブラ歩きながらこの日にしていたことを思い出していた。そして昼休みが終わったので会社に戻った。


午後の業務はたしか、ウェブサーバーのチェックをしていたはずなので同じ業務をすることにした。ただ、違うのは早退することくらいだ。この程度の過去の改変では未来に影響はないだろう。そして15:00になったので俺は早退した。


電車に乗って莉奈の保育園がある最寄り駅まで行った。電車で50分ほどかかるが、その最寄り駅に到着したのが16:00過ぎだった。そして俺はその事故現場に向かって住宅街を歩いていった。園児がバイクにはねられる場所は莉奈の働いている保育園から駅とは反対側なのだ。莉奈の働いている保育園の前を通ると莉奈に見つからないように走った。そして16:20頃に事故現場となる場所に到着した。おそらくここの曲がり角からバイクが右折してきて園児をはねてしまうのだ。俺は少し離れた場所から事故現場を見ていた。16:40前になると赤いコートを着た母親と思われる女性と莉奈の保育園のスモッグを着た女の子が手を繋いで歩いてきた。あの園児に間違いない。その親子が事故現場の曲がり角の近くまで歩いてくると俺は園児のほうへ向かって走っていった。そして園児が母親の手から離れて曲がり角のほうに向かって走り出した。俺は園児を助けるために走っていった。するとバイクの音が聞こえてきた。その園児の近くまで走っていった俺はわずかなところで転んでしまった。危ないと思った瞬間、右折してきた黒いバイクがその園児をはねてしまった。黒いバイクを運転していた男性がヘルメットを脱いで園児のほうへ走って行った。まさかあそこで俺が転ぶとは思わなかった。結局俺は園児を助けることに失敗してしまったのだ。


俺は今回は状況がわからなかったのもあったので、次にもう一度助けてやろうと思った。そして俺は帰宅して眠りについた。


■ 2019年2月18日(月)


目が覚めると元の日付に戻ってきた。園児を助けることに失敗したが、今夜、もう一度タイムリープして今度こそあの園児を助けようと思った。


会社に10:00前に出勤して朝礼なのでフロアの前のほうに立って社長が出てくるのを待っていた。社長と西浦真美がフロアの真ん中に出てきて、長い社長の話がはじまった。いつもながら社長はよく喋る人なんだと思いながらも、今度こそ園児を助けるためのシュミレーションをしていた。母親と手を繋いでいた園児が、手を離して走り出した瞬間に事故は起こる。ということは手を離した瞬間に園児をなんとしてでも捕まえてバイクに当たらないようにするしかない。そんなことを考えていると社長の話が終わって、西浦真美が「では今週もみなさんがんばりましょう」と言って朝礼が終わった。


この日はずっと園児を助けるためのシュミレーションをしながら業務をしていた。仕事が全く手につかない状況だった。昼休みになっても昼食を終えて外をブラブラ歩いていてもずっと園児を助けるシュミレーションをしていた。そして午後の業務も全く手につかない状況だった。この日は結局、そこまでの業務はできずに勤務時間終了の19:00になった。俺はさっさと退社して帰宅した。


自宅に帰ってさっさと夕食を食べてシャワーを浴びた後、自分の部屋に入った。今夜もタイムリープするのだ。もう2月13日の記憶は鮮明に残っているので大丈夫だろう。俺はベッドに横たわって2月13日の出来事を強くイメージしながら目を閉じて知らぬ間に眠っていた。


■ 2019年2月13日(水)二度目


朝8:00に目覚まし時計が鳴って目が覚めた。俺はすぐにスマホを見て日付を確認した。2019年2月13日なっているので、再びタイムリープに成功したのだ。カーテンを開けて窓の外を見ると曇り空だった。これは二度目なのでもう何もかも記憶がある。


10:00前に出勤して自分の席に座ってパソコンの電源を入れた。そして通院という理由で早退届を記載して日根野部長に提出した。今日こそはあの園児を助けてやろうと思い、頭の中で何度も園児を助けるシュミレーションをしていた。


昼休みになって、二度目のチーズチキンランチを食べる。これも同じ行動をしなければならない。例えばここでラーメン屋に行くと過去を変えてしまうことになるのだ。そして定食屋を出て、外をブラブラ歩きながら昼休みが終わると会社に戻った。


午後の業務でウェブサーバーのチェックをしていた。今回も過去をあまり改変させないように同じくらいの作業量にしておいた。そして15:00になったので俺は早退した。


電車に乗って莉奈の保育園がある最寄り駅まで行った。今度は場所もわかっているのであらかじめ早めに事故現場に着いて道路の状況をチェックしておくことにした。莉奈の保育園の前を通る時は気づかれないように注意しながら歩いて、16:20前に事故が起こる現場に到着した。この角をバイクが曲がってくるはず。そんなに広い道路ではないが、前回は結構なスピードでバイクは右折してきた。普通ならここでブレーキをかけるはずだが、あのバイクはブレーキもかけずに右折してきた。カーブミラーがあるので園児が見えているはずだが、園児が走ってきたためはねてしまったということになる。園児がはねられたのはちょうどこの場所なので、俺がここに立っていれば園児をすぐに助けることができるはず。今度は園児がはねられた場所に立って待つことにした。母親の手を離した瞬間に園児を助けるのだ。16:40前になると赤いコートを着た母親と保育園のスモッグを着た女の子が手を繋いで歩いてきた。俺は今度こそと助けれると思っていた。そして園児が母親の手を離した瞬間に俺は園児が走っていく方向へ走った。ところが園児は俺を避けて左側に走っていった。すると黒いバイクが右折してきたが、前回と違って大きく曲がった。ちょうど園児がいる方向にバイクは曲がって、俺は「危ない!」といって園児のほうに走っていったが、間に合わずに園児はバイクにはねられた。そして黒いバイクを運転していた男性がヘルメットをはずして園児のほうへ走って行った。前回とは違う地点で園児はバイクにはねられてしまった。園児やバイクの動きが前回とは異なっていたが事故は起こってしまった。なぜなんだろうか。俺が前回に園児がはねられた場所に立っていたことによって、少し違う地点で事故が起こってしまったというのだろうか。結局俺はまた園児を助けることに失敗してしまったのだ。


俺は何度でも諦めずにあの園児を助けてやろうと思った。今度は別の方法で助けるためのシュミレーションをすることにしよう。俺はさっさと帰宅して眠りについた。


■ 2019年2月19日(火)


目が覚めると元の日付に戻ってきた。また園児を助けることに失敗したが、今夜、もう一度タイムリープしてあの園児を助けるにはどうすればいいのか考えることにした。


会社に10:00前に出勤して自分の席に座ってパソコンの電源を入れた。それにしても俺が過去を改変しようとしても、どういうわけかあの園児は別の方向へ走っていった。俺が余計なことをしたからかもしれない。あの場所に立って待っていなければ最初と同じ事故を起こしてたということになる。つまり、俺があの事故に干渉したことによって過去の出来事が変わってしまったことになる。そうだとすれば母親の手を離す前にあの園児や母親の動きを止めればいいのかもしれない。もう少し手前で母親と園児に声をかければいいのだ。そうするとバイクが右折してくる時間には園児とぶつかることはない。俺はこの日はずっとそんなことをシュミレーションしながら業務をしていた。そして勤務時間終了の19:00になった。俺はさっさと退社して帰宅した。


自宅に帰ってさっさと夕食を食べてシャワーを浴びた後、自分の部屋に入った。今夜もタイムリープするので俺はベッドに横たわって2月13日の出来事を強くイメージしながら目を閉じて知らぬ間に眠っていた。


■ 2019年2月13日(水)三度目


朝8:00に目覚まし時計が鳴って目が覚めた。俺はすぐにスマホを見て日付を確認すると2019年2月13日なっている。またタイムリープに成功したのだ。カーテンを開けて窓の外を見るともちろん曇り空だった。これは三度目なのでやることはわかっている。


10:00前に出勤して自分の席に座ってパソコンの電源を入れた。そして三度目だが通院という理由で早退届を記載して日根野部長に提出した。今日こそはあの園児を助けることができるだろう。あらかじめあの親子の動きを止めて園児がバイクにはねられないようにすればいい。俺は頭の中で何度もあの親子を立ち止まらせるシュミレーションをしていた。


昼休みになって、三度目のチーズチキンランチを食べる。もうこれを食べるのも飽きてきたが同じ行動をしなければならない。下手に過去を変えてしまうことは未来に影響がでてしまう。その後、俺は定食屋を出て、外をブラブラ歩きながら今日のことを考えていた。そして昼休みが終わると会社に戻った。


午後の業務は全く同じようにウェブサーバーのチェックをしていた。これも過去を改変させないようにするためなのだ。同じ作業なのでほとんど記憶に残っていた。そして15:00になったので俺はさっさと早退した。


電車に乗って莉奈の保育園がある最寄り駅まで行った。今日は莉奈の保育園の前をこっそり通った後に、あの親子が保育園から出てくるのを見張って、事故現場になるところまでついて行くことにする。住宅街に一人の男性がずっと立って何かを待っているのは怪しいと思うが、あと15分ほどで保育園からあの親子が出てくるはずなのだ。ここからだと保育園の入口は見えないが必ずこの道を通るはずなのは間違いない。そして16:30を過ぎた頃に赤いコートを着た母親と保育園のスモッグを着た女の子が手を繋いで歩いてきた。俺はその親子が通り過ぎると、後ろからあとをつけていった。事故現場になる場所までもう少しだ。どのタイミングで園児が母親の手を離れて走り出すかわかっているのでその前に後ろから話しかければいい。あともう少しだと思いながらその親子の後をつけていった。そして俺が後ろからその親子に声をかけようとした瞬間、園児が母親の手から離れて走り出した。前回と違って早すぎる。俺は園児のほうへ走っていったが、なぜか黒いバイクが右折してきた。俺は園児を助けようと走っていたが間に合わない。そして園児はバイクにはねられた。あきらかに園児は前回より早い時間に母親の手から離れて走り出した。そして黒いバイクが右折してきた時間も前回より早かった。この事故は運命で定められているものなのか。何をしても園児はバイクにはねられてしまう。こんなことは初めてのことだが、これが運命を変えることのできない事だと言うのか。そういえば2033年から送られてきたメールにはどれだけタイムリープしても莉奈を助けることはできなかったと書いてあった。それはこういうことなのか。どちらにしても結局俺はまた園児を助けることに失敗してしまったのだ。


俺は何度でも諦めずにあの園児を助けたいと思うが、これが運命であるなら助けることはできないのか。次はどうすればいいのか途方に暮れていた。俺はもう何も考えられずにいながらも帰宅して眠りについた。


■ 2019年2月20日(水)


目が覚めると元の日付に戻ってきた。これ以上、タイムリープをして助けようとしても、このままだとあの園児を助けることはできないように思った。しかし、ここで諦めるわけにいかない。何か方法があるはずなのだ。


電車の中で俺はあの園児がバイクにはねられる事故についてもう一度考え直した。何をすればあの園児を助けることができるのか。莉奈もあの園児のように2月23日に死ぬ運命にあるのだろうか。俺はいろいろ考えているとふとあることを思い出した。それは別の世界線からやってきた藤堂晃が言っていた言葉だった。それは結果には必ず原因があるはずということだ。あの園児がバイクにはねられるという結果には、それを引き起こす原因が必ずあるはず。その原因を解決させることができれば、あの園児を助けることができる。しかし、その原因とは一体何だろうか。そもそも本来なら17:00に迎えにくる母親があの日は早めの16:30に迎えにきたのだ。どうしてあの日に母親は早く園児を迎えにきたのだろうか。俺は莉奈に”今日の昼間くらいに電話してきてほしい”とメールを送っておいた。


10:00前に会社に出勤して自分の席に座ってパソコンの電源を入れた。ここ最近はずっとあの園児のことを考えていて業務が手につかない。今は開発をしているわけではないので保守的な業務で助かっている。とにかくあの園児の母親が早く迎えに来た理由を知りたいと思った。そこに原因の手がかりがあるように思った。午前の業務もずっとそんなことを考えていた。


昼休みになって豚骨ラーメンセットでも食べようとラーメン屋に入った。そして豚骨ラーメンとご飯を食べ終えると外に出てブラブラしていた。すると莉奈から電話がかかってきた。


「もしもし、祐樹君、メールみたけどどうしたの?」

「もしもし、莉奈、あのね、あの園児、桜田実憂ちゃんだったかな?バイクにはねられた事故があった日なんだけどね」

「もしかして祐樹君、いよいよタイムリープするつもりなの?」

「実はもう何度かしてるんだけど、どうやっても助けられないんだよ。それで聞きたいことがあるんだよ」

「何度もタイムリープしてるって・・・まあいいんだけど、聞きたいことって何?」

「あの日、桜田実憂ちゃんの母親は早い時間に保育園に迎えに来たよね?どうして早く迎えに来たか知ってる?」

「ちょっと待ってね。担当の保育士さんに聞いてみるね」


俺はしばらく電話を切らずに莉奈を待っていた。


「もしもし、祐樹君、あのね、桜田実憂ちゃんのお母さんが早く迎えにきたのは、あの日は免許の更新手続きをしたみたい。だから早く迎えに来たみたいだよ」

「なるほどね。普段は17:00に迎えにきてたんだよね?」

「そうだね。本当は保育園が終わるのは17:00だから早退みたいな感じになったみたい」

「つまり園児が保育園にいる時間は17:00までということなんだね?」

「うん。それより早く帰らせることはあまりしないよ」

「わかった。ありがとう」

「ううん。祐樹君、無理しないでね」

「うん。じゃあまたね」


莉奈と電話を切った後、俺はいろいろあの事故がおきる結果をもたらす原因を考えてみた。免許の更新手続きをしたということが原因であれば母親の行動をどうすることもできない。しかし、それが原因だとは思えない。どこかに原因があるはずなんだが、母親が早く園児を迎えに行ったことなのだろうか。考えてもわけがわからなくなった。そして昼休みの終了時間になったので俺は会社に戻った。


午後の業務も手付かずの状態だった。どうしてもあの園児の事故のことばかり考えてしまう。スマホで現在の世界線の数値を確認してみると5.96と状態は変わっていなかった。ここはちょっと西浦真美に相談してみることにした。俺は西浦真美に『すぐに休憩室に来れる?』とテレパシーを送った。すると西浦真美から『10分待って』とテレパシーが送られてきた。俺は西浦真美に『じゃあ10分後に休憩室で待ってるね』とテレパシーを送った。


10分ほどしてから俺は休憩室に入って椅子に座って待っていた。しばらくすると西浦真美が休憩室に入ってきた。そして西浦真美が椅子に座ると、俺は今回の園児がバイクにはねられる事故のこと、三度もタイムリープをしたが助けることができなかったこと、別世界からやってきた藤堂晃のことを話した。


「なるほどね。水嶋君はそんなことをしてたの」

「おそらくなんだけど、その園児の事故と莉奈の運命は何か大きな関係があるように思うんだよ」

「つまり莉奈ちゃんと同じようにその園児がバイクにはねられる運命にあるということなのね?」

「そうなんだけど、別の世界線からやってきた藤堂さんが言ってたんだけど、結果には必ず原因があるはずだってね。つまり園児がバイクにはねられる結果には必ず何かしらの原因があるはずと考えてるんだよ」

「その話から考えられる原因だと、母親が早い時間に園児を迎えに来たことかしらね」

「俺もそう思ったんだけど、母親は免許の更新手続きをした帰りに迎えにきたらしいんだよね。その原因をどうすることもできないよ」

「それもそうよね。そのためにその園児は保育園を早退って形になってしまったわけよね?だったら原因は早退ってことも考えられるわよ」

「そうか!母親が早い時間に園児を迎えにきたことが原因っていうのはなんか違う気がしてたんだけど、園児の早退が原因だとすれば時間に関係することも納得できるように思う」

「つまり、園児とその母親が事故が起こる時間にその場所を歩いていなければ、その事故は起こらないんじゃないの?」

「ただね、三度目にタイムリープした時、園児が母親の手を離して走る時間とバイクが来る時間がやたらと早かったんだよね。17:00までなんとか足止めすれば大丈夫なのかな?」

「原因が早退であるとしても、結果はどうするつもりなの?つまりその園児がバイクにはねられなくても、別の誰かがはねられる結果になるかもしれないわよ」

「結果のことも考えないといけないのか。原因を解決させても、別の結果が待っているということになるかもしれないのか」

「わたしはタイムリープや過去の改変についてよくわからないけど、一緒に結果もなんとかしたほうがよさそうな気がするわ」

「うーん・・・まずは原因を解決させて、結果を変えてしまう方法か・・・ちょっと考えてみるよ」

「それもいいけど、あまり無理しないでよ。水嶋君、ときどき無茶するから心配だわ」

「まあ無茶なことはしないよ。西浦さん、ありがとう。なんとかなりそうだよ」

「莉奈ちゃんのほうは大丈夫なの?そろそろ運命の日が来るんじゃないの?」

「おそらくだけど、この園児を助けることができれば、大きく世界線は変化するように思うんだよ。俺はもうこれに賭けようって思ってる」

「そう・・・まあわかったわ。じゃあわたしはそろそろ戻るわね」

「うん。俺も戻るね」


俺と西浦真美は休憩室を出た。そして俺は自分の席に戻って業務をしながら考えていた。原因が早退であるならそれはなんとかなりそうだ。しかし結果を変えてしまう方法をどうするべきなのか。俺はふと思いついた。もし俺がタイムリープをして能力を使えば結果を変えることができる。そうだ!この方法であれば他の誰も被害を受けることはない。よし、今度こそあの園児を助けよう。俺は今度こそ園児を助けることができると思った。そして勤務時間終了の19:00になったので俺はさっさと退社して帰宅した。


自宅に帰ってさっさと夕食を食べた後シャワーを浴びた。自分の部屋に入って一旦落ち着いて園児を助ける手順を頭の中で整理した。そしてタイムリープするために俺はベッドに横たわって2月13日の出来事を強くイメージしながら目を閉じた。強く強くイメージしながら知らぬ間に眠っていた。


■ 2019年2月13日(水)四度目


朝8:00に目覚まし時計が鳴って目が覚めた。俺はすぐに起き上がってスマホを見て日付を確認した。すると2019年2月13日なっている。四度目もタイムリープに成功したのだ。カーテンを開けて窓の外を見るともちろん曇り空なのだ。もう四度目なので何が起こるかわかっている


電車の中で俺は莉奈に”今日の昼間、絶対に電話してきてほしい”とメールを送っておいた。あの園児を助けるためには莉奈の力が必要になるのだ。そして会社の最寄り駅に到着した。


10:00前に出勤して自分の席に座ってパソコンの電源を入れた。そして四度目も通院という理由で早退届を記載して日根野部長に提出した。今回はちゃんとした手順通りにすればあの園児を助けることができるはずだ。あの親子を助けようとしたのがそもそもの間違いだったのだ。原因はそこにないので同じやり方だと園児は再びバイクにはねられるだろう。


昼休みになって、四度目のチーズチキンランチを食べる。本当にこれを食べるのは飽きてきた。今回の問題が解決すれば当分はこれを食べることはないだろう。しかしここでは同じ行動をしなければならない。未来に影響がでないようにしなければならないが、ここからは過去を改変するのだ。昼食を食べ終えて俺は定食屋を出た。外をブラブラ歩いていると莉奈から電話がかかってきた。


「もしもし、祐樹君、絶対に電話してきてほしいって何かあったの?」

「もしもし、莉奈、今から俺が言うことを信じて聞いていてほしいんだけど、俺はタイムリープしてきたんだよ」

「えっ?タイムリープしてきたってことは今日何か起こるの?」

「あのね、莉奈の保育園に桜田実憂って園児がいるでしょ?」

「どうして祐樹君が実憂ちゃんのこと知ってるの?」

「それは未来の莉奈が俺に教えてくれたんだよ。それよりお願いがあるんだよ。今日、その桜田実憂って園児がバイクにはねられるんだよ」

「ええー本当に!?それでどうすればいいの?」

「まず、今日の16時30分頃に桜田実憂という園児の母親が保育園に迎えにくると思う。だけど、桜田実憂という園児を17時になるまで絶対に帰さないでほしいんだよ。その母親をなんとか足止めすることはできる?」

「保育園は17時までが原則だからそれまで、実憂ちゃんのお母さんに待ってもらうことはできると思う」

「早く帰らせてしまうと事故は起きてしまうから、母親を見学させるなり話をするなりしてなんとしてでも17時まで足止めしてね」

「わかった!担当の保育士さんにも強く言っておくね」

「よろしくお願いするね」


莉奈に強くそう言っておいた。これで原因は解決するはずだ。あとは結果を変えるだけなのだ。そして昼休みが終わると会社に戻った。


午後の業務は全く同じようにウェブサーバーのチェックをしていた。四度目なので何をどこまで作業していたのかよく覚えている。そして15:00になったので俺はさっさと早退した。


電車に乗って莉奈の保育園がある最寄り駅まで行った。今日は莉奈の保育園の前に着いた時にどこかでひっそり隠れてあの園児の母親が現れるのを待つことにした。そして16:30頃に赤いコートを着た園児の母親が保育園に入っていった。青いエプロンにウサギの絵が描いてあるエプロン姿の莉奈がその母親と何か話をしている。どうやら話し込んで足止めしているようだ。よし、これで原因は解決しているはずだ。あとは結果を変えるだけになる。俺は事故が起こる現場まで走っていった。そしてバイクの音が聞こえるとトランセンドレッド状態になった。すると黒いバイクが右折してきた。俺はすかさずバイクのほうに走っていってバイクに衝突した。俺はすこし後ろに飛ばされた。すると黒いバイクを運転していた男性がヘルメットをはずして俺のほうに近づいてきた。俺はすぐにトランセンドレッドの状態から元の状態に戻った。バイクの運転手が「ちょっと大丈夫ですか?いきなり突っ込んできたのでびっくりしました」と言った。俺は起き上がって「少し左腕を痛めたみたいですが、体は大丈夫です」と言った。バイクの運転手は「すぐに救急者と警察に連絡しますね」と言ったので俺は「別に平気なので大丈夫ですよ。それよりこんな住宅街でブレーキをかけずに右折するのは危ないですよ。気をつけてくださいね」と言った。そして俺はすぐに走ってその場を去った。救急車や警察に連絡されるとかなりまずいのだ。すこし左腕が痛い感じがするが、トランセンドレッド状態になっていたのか全くケガをすることはなかった。


俺はさっさと帰宅して夕食を食べてシャワーを浴びた。そして元の日に戻る前に莉奈に電話をかけて、桜田実憂とその母親はどうなったか聞いてみた。すると17時まで保育園に足止めできたようで、事故も起こさずに無事に家に帰っていったようだ。これで元の日に戻って世界線の数値がどうなっているかが問題だ。今回のことは運命的な結果があった。その結果となる原因を解決させることによって俺は運命を変えたのだ。これで世界線が分岐していなければ、もう打つ手がないと思う。俺はそんなことが気になりながらもさっさとベッドに横たわって眠ることにした。


■ 2019年2月21日(木)


朝8:00に目覚まし時計が鳴って目が覚めた。どうやら元の日付に戻ってきた。俺はすぐに起き上がってスマホで世界線の数値を確認した。そして俺は目をこすりながら数値を何度も見た。その数値は17.03になっていたのだ。ついに5.96というナンバー5からナンバー17になった。つまり世界線は完全に分岐したのだ。そしてナンバー17という新しい世界線が誕生したことになる。何度確かめても数値は17.03になっている。これで莉奈が死ぬ運命が変わったのだと思う。


俺は10:00前に会社に出勤して自分の席に座ってパソコンの電源を入れた。そして世界線の数値が変わったことをすぐに西浦真美に伝えることにした。俺は西浦真美に『すぐに休憩室にきてほしい』とテレパシーを送った。すると西浦真美から『すぐに行くわ』とテレパシーが送られてきた。


俺は休憩室に入って椅子に座って西浦真美を待っていた。しばらくすると西浦真美が休憩室に入ってきた。


「西浦さん、ついに世界線は分岐したよ。この数値を見て!」

「あら、整数値が17になったわね。これって世界線が分岐したってことよね?」

「そうだよ。西浦さん、昨日、俺が相談したことを覚えてる?」

「覚えてるわよ。園児を助けることができたのね?」

「そうなんだよ。最初からやり方を間違えていた。原因をちゃんと解決させることによって園児の事故は回避できた。結果も変えておいたよ」

「結果を変えたって、もしかして水嶋君がバイクに突っ込んだりしたの?」

「トランセンドレッド状態になってバイクに突っ込んだよ」

「無茶するわね。でも、ケガもなくてよかったわ。これで莉奈ちゃんが死ぬ運命から逃れられたわけね?」

「それなんだけど、まだわからないんだよ。たしかに世界線は完全に分岐したけど、この世界線での莉奈がどうなるかわからない」

「まだ油断はできないということね」

「おそらく大丈夫だとは思うんだけど、念のため莉奈が死ぬ運命の日はずっと莉奈と過ごすことにするよ」

「そうね。その日を無事に過ごすことができればいいってことね?」

「そういうことだね」

「でも、本当に良かったわね。ナンバー5の世界線だと莉奈ちゃんは死ぬ運命だったわけだから、それだけは回避できたようね」

「そういうことになるね」

「じゃあ、無事にその日を過ごせたらまた連絡してね。そろそろわたしは戻るわ」

「わかった。俺もそろそろ戻るね」


俺と西浦真美は休憩室を出た。そして俺は自分の席に戻った。いろいろあったが世界線を分岐させることに成功した。あとは2月23日を莉奈が無事に過ごせればいいだけなのだ。


■ 2019年2月23日(土)


この日は朝から莉奈が俺の家に来る日だった。別に何をするわけでもないが、とにかく家から出ずに一日中ずっと莉奈と過ごすことにした。朝9:00頃に莉奈が家に訪れた。そして俺と莉奈は部屋の中で映画を見たりしながらまったり過ごしていた。莉奈は「ずっと家の中で過ごしたいなんて、祐樹君らしくないね」と言ったが、俺は「まあたまにはこういう日があってもいいと思ってね」と言った。そして昼食の時間になったので、キッチンへ行くと母親が豪華に唐揚げや串カツなど揚げ物を用意していた。ただ莉奈が来るというだけで、俺の家の食事は変わるのだ。


俺と莉奈は昼食を食べ終えると、また部屋にこもって山の映画を莉奈に見せた。莉奈は「これってアルプス?この山行ってみたい!」と言った。映画に映し出された山は普通の写真より迫力があって魅力的に見えるのだろう。しかし、今年は莉奈と一緒にアルプスに行ってもいい。莉奈が今日という日を無事に過ごすことができれば、もうどこでも連れて行きたいと思った。


ところが15:30頃のことだった。莉奈は突然「目がクラクラする」といってそのまま部屋で倒れた。俺は「莉奈!大丈夫?しっかりして!」と言った。すぐに救急車を呼ぼうと思ったが、莉奈は青い顔をしながら「ただの貧血だから大丈夫」と言った。俺はまさかと思ったが、莉奈は「大丈夫だから」と言ってベッドに横たわった。しばらくすると莉奈の顔色が良くなってきた。莉奈は「心配かけてごめんね。昨日、あまり眠れなかったから貧血起こしたんだと思う」と言った。俺は心臓が止まるかと思ったが、莉奈の顔色はだんだん良くなってきた。そして俺は莉奈に水を飲ませた。莉奈は「もう大丈夫だから!」と言って起き上がった。その後、俺と莉奈はもう一本映画を見た。


そして、俺と莉奈はキッチンへ行って夕食を一緒に食べていた。俺の母親が「莉奈ちゃん、今日は泊まっていけば?」と言った。俺は「そうだね。今日はもう遅くなったし、今夜はゆっくり泊まっていけばいいよ」と言った。すると莉奈は「それはご迷惑じゃないですか?」と俺の母親のほうを見ながら言うと、俺の母親は「迷惑だなんてことはないからね。遠慮しないでゆっくり泊まっていってね」と言った。莉奈は「じゃあお言葉に甘えさせていただきます」と言った。俺は今日一日、莉奈とずっと一緒にいたかったのだ。そして莉奈が先にシャワーを浴びて、その後、俺がシャワーを浴びた。俺と莉奈は俺の部屋に入って仕事の話などしていた。そして22:00を過ぎた頃に莉奈が突然「祐樹君、表情が変わったね。そろそろ話せなかったことを聞かせてもらえるの?」と言った。俺は「じゃあ、明日になったら全てを話すよ」と言った。そして俺と莉奈はそのまま23:30まで話をし続けた。その後、莉奈は妹の佳織が使っていた部屋に入って眠った。俺は2019年2月24日の0:00に莉奈の様子を見に行くと、莉奈は寝息をたてながらぐっすり眠っていた。これで莉奈が死ぬ運命を回避することができたのだ。莉奈との未来がある世界線を誕生させることができた。この先の未来は俺達が作っていかなければならないのだ。俺は何度も心の中でそう思い続けた。

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