人格乗り移り現象Part2
■ 2018年10月24日(水)
朝8:00に目覚まし時計が鳴って目が覚めた。カーテンを開けて窓の外を見ると雨がポツポツと降っていた。雨の日はなんか気分がどんよりする。洗面所で顔を洗った後、キッチンへ行って朝食をとる。そして自分の部屋に戻って着替えをして家を出た。
傘をさしながらポツポツ雨の中、駅に向かって歩いていった。駅に着いていつもの時間の電車に乗った。電車に乗ってる人達をみながら、様子がおかしい人がいないか探していた。もし、電車の中で様子がおかしい人がいたとして、その人に乗り移っても何もできないだろう。しかし、人格乗り移り現象が使えることが頭にあるので人が気になって仕方がない。この能力は一体何に使えるんだろうと考えながら電車の中で過ごしていた。気がつくと会社の最寄り駅に到着していた。
10:00前に会社に出勤して自分の席に座ってパソコンの電源を入れた。昨日の多田美枝子のように様子がおかしい人はいないか周りを見渡したが、どうもそういう人はいないようだ。あまりこの人格乗り移りの能力は使わないほうがいいと思うのだが、周りの人のことが気になってしまう。黙々と業務をしながらも頭の中では人格乗り移り現象のことばかり考えていた。この能力の使い道やこの現象の終わりはいつなのかなどわからないことばかり。そういえば先日届いた2033年からのメールには、そのうちあらゆる特殊能力を自由に使えるようになると書いてあったが、そのはじまりがこの人格乗り移り現象なのかもしれない。以前、人の目を見るとその相手の近未来が見える現象があったが、今回は人格が乗り移る。特殊能力が自由に使えるようになったら、近未来を見たいと考えながら人の目を見るとその相手の近未来を見ることができるのだろうか。今の段階では特殊能力の使い方がわからないので、余計なことをしないようにした。
昼休みになり、会社の外に出て何を食べようか考えていた。定食屋でもよかったが、昨日行ったばかりなので別の店にしたい。カレーも最近食べたばかりなのでなんとなく気が進まない。結局、何を食べようか考えた結果、面倒なので牛丼屋に行って牛丼と味噌汁を食べた。そして牛丼屋を出て近くの書店でコミックスを立ち読みすることにした。本を読んでいれば何か今回の人格乗り移り現象のいい使い方が思いつくのではないかと思ったからだ。しかし、何も思いつかなかった。昼休みの終了時間になったので会社に戻った。
午後の業務を続けていると西浦真美から”カスタマーサポートの栗原さんの様子がおかしい”とメッセージが届いた。栗原加奈子といえば28歳という若さでカスタマーサポートの主任をしている。俺は早速、カスタマーサポートに行って栗原加奈子の目をみて感情を知りたいと考えた。そして栗原加奈子に乗り移った。かなりイライラしている気分で今にも爆発するかのようだ。栗原加奈子の気分がわかったところで俺はすぐに自分の体に戻った。何がそんなにイライラするのかわからないが、相当機嫌が悪いようだ。俺は自分の席に戻って西浦真美に”栗原さんはかなりご機嫌ななめみたいで、今にも爆発しそうな感じだよ”とメッセージを送った。すると西浦真美から”どうにか落ち着かせることはできないかしら?”とメッセージが返ってきた。落ち着かせるといっても何に対してあれほどイライラしてるのかわからないし、不機嫌な状態の時に話しかけることも避けたい。しばらく考え込んでいた俺は西浦真美に”そっとしておいたほうがいいよ”とメッセージを送った。すると、カスタマーサポートのほうから大声で怒鳴っている声が聞こえた。すぐにカスタマーサポートのデスクフロアに行ってみると、栗原加奈子が従業員を叱りつけていた。叱られている人は必死に「申し訳ありません」と謝っている。西浦真美もカスタマーサポートのデスクフロアの様子を見に来ていて「これは放っておけないわ」と言った。そして西浦真美は栗原加奈子の席にいって何か話しかけた。そして栗原加奈子と西浦真美は休憩室のほうへ歩いていった。西浦真美が俺のほうを見て手を上下にふった。これは俺にも休憩室に来てほしいという合図のようだ。俺はそのまま休憩室に行くことにした。
休憩室に入ると西浦真美と栗原加奈子が椅子に座って話をしていた。栗原加奈子は茶髪でサラサラのロングヘアー、身長は160センチメートルくらいで目はキリっとしていて鼻筋が通った細身の美形といった感じだ。イライラしているのか、かなり赤い顔をしている。俺はそっとソファーに座って話を聞くことにした。
「栗原さん、何をそんなにイライラしてるの?今日、ずっと栗原さんを見ていたけど不機嫌な感じだったわよ」
「西浦さんには関係ない話ですよ」
「でも、さっき社員にあたっていたように見えたわ。何かあったのなら話してもらえないかしら?」
「話しても無駄だと思いますが・・・昨日、彼氏と大喧嘩したんです。そのことを思い出すとイライラしてどうしようもないです」
「彼氏さんと喧嘩したのね。でもそこまでイライラしてるのはどうして?」
「だって、彼氏は浮気したんですよ!あたしという彼女がいるのに、他の女に手を出すなんて許せないです」
「そうなんだ。それで彼氏さんは浮気したことを認めたの?」
「それが認めないんですよ。俺は潔白だとか何もしてないとか言ってます。でもあたしは彼氏が他の女と手を繋いで歩いてるところを見ました」
「その手を繋いでいた女の人は彼氏さんの妹さんとかそういうことはないの?」
「彼氏は一人っ子なので、妹や姉はいません。あたし、それを目撃してもう腹が立って追及しました。彼氏はただの女友達だって言うんですよ。そんなこと信じられますか?普通、女友達と手を繋いで歩きますか?」
「そうね。女友達だったら手を繋いで歩いたりしないわね。やっぱり浮気してたのかしらね」
「西浦さんもそう思いますよね!それなのに昨日、彼氏はあたしに逆ギレして、そんなに俺のことが信じられないのかって言って怒ったんです」
その彼氏はどうやら本当に浮気したように思う。女友達と手を繋いで歩くなんてありえない。栗原加奈子が怒るのも無理はないが、他人にあたるのは違う気がする。しかし、どうやって西浦真美はこのイライラを落ち着かせるつもりなんだろうか。
「ただね、栗原さん・・・だからといって他の人にあたるのはどうかしら?それは主任としてどう思う?」
「たしかにそれは大人気ないことをしたと思います。でも、あたしがさっき叱っていたのはあの社員がお客様に対して失礼なことを言ったからです」
「失礼なことって?」
「お客様にむかってバカなことを言わないでくださいって言ったんですよ!たとえそう思ってもバカなんて言葉は使うべきでないと思いましたので叱りました」
「それは売り言葉に買い言葉じゃないかしら?たしかにバカだなんて言うべきじゃないと思うけど、だからといって栗原さんが怒鳴りつけることでもないでしょ?」
「はい。そうはそうでした。あの社員には後で謝っておきます」
「それにしても彼氏さんとこれからどうするつもり?まさか別れるとか考えてるの?」
「こととしだいによっては別れようって思っています。本当に許せませんので・・・」
「彼氏さんとちゃんと話し合ったほうがいいと思うわよ。早まって別れるなんて言うと、それこそ喧嘩別れになって後悔するかもしれないわ」
「そうですね。彼氏とはちゃんと話し合うようにします」
「水嶋君、男の立場として女友達と手を繋いで歩くってどう思う?」
話が俺にふられてしまった。ここは穏便に話を終わらせようと考えた。たしかに浮気したのだと思うが、だからといって直球で浮気で決まりみたいな言い方をすると火に油を注ぐようなもんだ。
「俺は女友達と手を繋いで歩いたりしないけど、もしかすると何か事情があったのかもしれない。例えばはぐれやすい場所だったとか、手を繋がないといけない状況だったかもしれない。だから頭から浮気だと決めつけないで、ちゃんと話し合うべきだと思う」
俺がそう言うと栗原加奈子は「そうかもしれませんね。ちゃんと彼氏から事情を聞いてみます。あたし、頭ごなしに浮気だと決めつけて怒鳴りつけてしまったので、彼氏も怒ってしまったのかもしれません」と言った。栗原加奈子の表情が少し落ち着いてきたようだ。そして西浦真美が「とにかく彼氏さんとちゃんと話し合ってね。あと他の人にあたらないようにね。それは主任としてよくないから」と言った。栗原加奈子は「わかりました。西浦さん、大人気ないことをしてしまってすみませんでした」と言った。西浦真美は「わたしに謝られてもね。とにかくさっきの社員に謝っておいたほうがいいわよ」と言った。そして栗原加奈子は「わかりました」と言って休憩室を出ていった。俺と西浦真美は栗原加奈子が去っていくのを待って話しはじめた。
「水嶋君、正直なところはどう思ってるの?」
「正直なところって?」
「栗原さんにうまく言ってたけど、本当は彼氏さんが浮気したと思ってるんじゃないの?」
「登山で手を貸すことはあるけど、女友達と手を繋いで歩いていたなんてほぼ決定だとは思うよ。でもそんなことを俺が言ったら栗原さんをさらに不機嫌にさせるだけだからね」
「水嶋君は大丈夫なの?まさか彼女さん以外の人とそういうことしてないでしょうね?」
「俺はそういうことを絶対にしないよ。もともと彼女や恋愛に興味がなかったからね。でも莉奈だけは違ったから彼女になったけど、頭の中は登山ことばかりだからね」
「そうだったわね。水嶋君は登山バカだったね」
「浮気なんかするのは何かに必死に打ち込めない人じゃないかな。趣味に没頭してると、他のことなんて考えられないからね」
「たしかにそうよね。でも栗原さん大丈夫かしら?彼氏さんと話し合ってよけにこじれないといいんだけど」
「まあ、大丈夫なんじゃないかな。冷静に話し合えばなんとか解決すると思うよ」
「それならいいんだけど・・・あっそろそろわたしは戻るわね」
「俺もちょっと席を離れすぎたから戻るね」
「じゃあまたね」
そんな話をして俺と西浦真美は休憩室をでてそれぞれの席に戻った。そして隣に座っている児島信二を見た。彼女がいて浮気をする人もいれば児島信二のように一人の女性に一途でいる人もいる。そう考えると世の中にはいろんな人がいるんだと思う。そんなことを思っていると再び西浦真美から”営業部の遠藤さんの様子がおかしい”とメッセージが届いた。今度は営業部かと思ったが、また席を離れるとサボりに思われそうだ。俺は西浦真美に”後で営業部の様子を見に行ってみるよ”とメッセージを返しておいた。二時間ほど業務をしていたが、営業部の遠藤篤が気になっていた。そして俺は営業部のフロアに行った。遠藤篤は今では営業部長なので席がフロアの真ん中なのだ。ここで乗り移って俺の体が床にぐったり座り込むと明らかに不自然なのだ。俺は遠藤篤の席まで歩いていき、表情をみることにした。遠藤篤はどうにも落ち込んでいる表情をしていた。一瞬だけ乗り移ろうと思って「遠藤さん」と呼びかけた。すると遠藤篤が俺のほうを見た。俺はすかさず遠藤篤の目をみて感情を知りたいと考えた。そして遠藤篤に乗り移った。これはかなり落ち込んでるような気分だ。そしてすぐに自分の体に戻った。ハッとした遠藤篤が「あれ?私、今ぼーっとしてましたね。それで水嶋さん、なんでしょうか?」と言った。俺は「遠藤さん、なんだか落ち込んでるようですが何かありましたか?」と聞いてみた。遠藤篤は「それがいろいろあってね」と言った。どうにもこの場で話せない内容なんだろう。俺は遠藤篤に「何かありましたら、話を聞きますので休憩室に行きませんか?」と言った。遠藤篤は「そうですね」といって、席を立った。そして俺と遠藤篤は二人で休憩室へ行った。
休憩室の前で声が聞こえてきた。どうやら西浦真美と藤堂晃が話をしているようだ。
「藤堂君はいつもそんなことばかり考えてるのね」
「僕はずっと西浦さんのことしか考えていません」
「わたしのことばかり考えているって何言ってるのよ。もう・・・」
「こう見えて僕は真剣なんですよ。僕にとって西浦さんだけが女神なんです」
「なにが女神よ。もうそんなこと言わなくてもいいから、ちゃんと仕事しなさい」
「仕事はちゃんとしてますよ。頑張って西浦さんにふさわしい男になります!」
「はいはい。じゃあその時まで待ってるわね」
「はい、待っていてください!」
その話を聞いていた遠藤篤が少し驚いていた。俺は遠藤篤に「いつものことなので気にしないでください。あの二人はいつもあんな感じなんですよ」と言っておいた。そして休憩室へ入った。そして藤堂晃が「あっ水嶋さん、お疲れ様です。では僕は失礼します」と言って休憩室を出て行った。俺と遠藤篤は椅子に座った。俺は「西浦さん、もう少しここにいて」と言うと西浦真美は「わかったわ」と言った。そして俺は遠藤篤の話を聞くことにした。
「それで、遠藤さん、何があったんですか?」
「実は私の親父の体調が悪化して入院することになったんです」
「それは大変ですね。親父さんは大丈夫なんでしょうか?」
「もしかすると肝臓がんかもしれないと医師に言われてまして、それは心配なのですがそれだけじゃないのです」
「それだけじゃないとは他にも心配事があるんですか?」
「最近、営業成績が悪いと役員から言われているようなのです。直接私が言われたわけじゃないのですが、役員の人達がそう話していたと営業部の社員が言ってまして・・・」
「実際、営業成績はどんな感じですか?」
「いいとは言えませんが、そこまで悪いとも思いません。でも役員の人達がそんな話をしているということは、もっと営業成績を上げないといけないってことなんですよね」
「なるほど。遠藤さんから見て営業成績は上がりそうですか?」
「正直な話、これ以上、営業成績を上げるのは難しいですね。うちの会社ってそこまで他社とのコネクションがないのです。それに営業部の社員の人数もそこまで多くないので、営業活動もそんなにできません」
「そうですか。営業のことはよくわからないですが、大変な状況のようですね。西浦さんはどう思う?」
俺が西浦真美に話をふると西浦真美は「営業部は今の状態を維持すればいいんじゃないかしら。役員の人達が言ってることなんて所詮は欲でしかないから無視してればいいと思うわ」と言った。そして遠藤篤が話しはじめた。
「今の営業部は現状維持をするだけで限界なのです。これ以上、営業成績をあげるには契約金の値上げをしたり、営業社員を増やすしかないですが、それをすると逆に営業成績が下がるかもしれません」
「たしかに下手なことをすると人件費があがったり商談に失敗する可能性がありますね」
「そうです。営業成績を右肩上がりにしたいのですが、今は現状維持を続けていくので精一杯なのです」
「西浦さんが言ったように、役員の人達が言ってることなんて欲なので、無視したほうがいいと思います」
「わかりました。水嶋さんや西浦さんに話して少しスッキリしました」
「親父さんのことは心配ですが、営業成績のことは深く考えないほうがいいですよ」
「はい。ありがとうございます。では私はそろそろ失礼しますね」
遠藤篤は俺と西浦真美に一礼して休憩室を出て行った。俺と西浦真美は遠藤篤の親父さんのことが心配だという話を少ししてから休憩室を出た。今日は二人の相談事を聞くことになったが、今回の人格乗り移り現象はそこまで厄介なことに巻き込まれることはないだろうと思った。ただ、今までの現象と違ってこの現象の終わりが見えない。きっとこの能力はこれからずっと持ち続けることになる気がしていた。
■ 2018年10月25日(木)
今朝からかなり雨が降っている。午後から天気は回復するらしいが、出勤時に傘をさして歩くのは面倒なことだ。駅についていつもの時間の電車に乗った。今日は何人の相談者が訪れるのだろうか。今回の人格乗り移り現象は相談者を見つける能力のように思えてきた。しかし、必要以外にこの能力を使うことは避けておこうと思っている。2033年から届いたメールに能力は使うとエネルギー消費が激しいと書いてあったのも気になる。昨日は二人に乗り移ったが、そこまでエネルギー消費が激しいとは思わなかった。ただ、連続でタイムリープをした時はかなりしんどかった記憶がある。能力によってエネルギーの消費量が違うのかもしれない。そんなことを考えていると会社の最寄り駅に到着した。
10:00前に出勤して自分の席に座ってパソコンの電源を入れた。向かいに座っている小松結衣の目を見てこの先どうなるんだろうと考えていると、頭の中で映像が浮かんだ。小松結衣と池上有希が笑いながら話している。ものすごく楽しそうだ。そこで映像が止まった。俺はあれ、この現象は近未来透視現象の時と同じだと思った。もしかして、人の目をみて何を感じているのか考えると人格が乗り移って、この先がどうなるんだろうと考えると近未来透視ができるのではないかと思った。俺は隣の席に座っている児島信二の横目を見て、この先どうなるんだろうと考えた。すると頭の中で映像が浮かんだ。児島信二と山内美沙が電車の中で何か話している。電車の窓の外をみると暗くなっているので勤務終了後の出来事だろう。児島信二が笑顔になって山内美沙の手を握った。そこで映像が止まった。俺はすぐ西浦真美に”ちょっと休憩室に来て!”とメッセージを送った。西浦真美から”わかったわ”とメッセージが返ってきた。俺はすぐに休憩室へ行った。
休憩室に入って椅子に座って待っていると西浦真美が入ってきた。西浦真美は「何かあったの?」と言ったので俺はさっき起こった出来事を説明した。
「西浦さん、つまりね、相手の目をみてこの先どうなるんだろうって考えると、前の近未来透視現象の時と同じように頭の中で映像が浮かんでその相手の近未来が見える。相手の目をみて、どんな感情なんだろうって考えるとその相手に乗り移れるってことだと思う」
「なるほどね。近未来透視現象も自由自在に使えるってことなのね。わたしも誰かの近未来を見てみようかしら」
「試しに誰かの近未来を見てみるといいかも。重要な人が言ってたんだけど、近日中に特殊能力は自由自在に使えるようになるって言ってたから」
「そうなの?特殊能力が自由自在に使えるようになると便利になるわね」
「ただ、特殊能力を使うとエネルギー消費が激しいとも言ってたから、あまり使いすぎないほうがいいと思う」
「そうなのね。わかったわ。さて、誰の近未来を見ましょうか。あっ!ちょうどいい人がいたわ」
「藤堂さんはやめておいたほうがいいよ。西浦さん、また顔を真っ赤になる可能性があるからね」
「近未来を見るのであれば大丈夫よ。じゃあわたしはそろそろ戻るわね」
「うん。じゃあ俺も戻るね」
そして俺と西浦真美は休憩室を出て自分の席へそれぞれ戻っていった。すると池上有希と小松結衣がなにやら話をしていた。二人でデザインの本を見て笑いながら話している。これはさっき俺の頭に浮かんだ映像そのものだ。やはり近未来透視能力も使えるようになったようだ。どちらにしても人格乗り移り能力や近未来透視能力は必要以外に使わないほうがよさそうだ。あとはこのことを昼休みになったらすぐに莉奈に伝えないといけない。莉奈は人格乗り移りに関しては体験しているが、近未来透視能力はまだ体験していないのだ。そんなことばかり考えながら業務を続けていると昼休みの時間になった。
会社の外にでて、莉奈にメッセージを送ろうとした瞬間、電話がかかってきた。それも莉奈からだ。
「もしもし莉奈、どうかした?」
「あのね、実はすごく落ち込んでいる同僚の保育士さんがいて、その人に乗り移ってみたの。そしたらすごく落ち込んだ気分になって元の体に戻ったの」
「それでその保育士さんと何か話したの?」
「うん。少し話を聞いてみたんだけど、好きな人がいたみたいで一度デートしたみたいなの。でもその好きな人には彼女がいたらしいの。それで昨日、その好きな人の彼女さんから突然電話がかかってきたみたいで、あたしの彼氏に手をださないでって怒鳴られちゃったんだって」
「その保育士さんは女性?」
「うん。女の人だよ」
「その好きな人の彼女の名前は聞かなかった?」
「えっとね、たしか、くり・・・くりはらさんだったかな・・・そんな名前の人から電話がかかってきたって言ってた」
「くりはら!?まさか・・・」
「え?祐樹君、何か知ってるの?」
「いや、単なる偶然かもしれないから、それはいいや。それより莉奈、相手の目をみながらどんな感情だろうって考えると人格乗り替わりになるけど、相手の目をみながらこの先どうなるんだろうって考えると頭の中に映像が浮かぶかもしれない。それはその相手の近未来が見えてるんだけど、誰かに試してみて」
「そんなことできるんだ?やってみるね」
「ただ、能力は使いすぎるとエネルギー消費が激しいから使いすぎないように注意してね」
「わかった。じゃあわたし、そろそろ仕事にもどるね」
「うん。じゃあ映像が浮かんだらメールでいいから教えてね」
「うん、メールするね。じゃあまたね」
莉奈と電話を切った後、お気に入りのカレー屋に行った。いつ来てもお客さんが入ってないカレー店だが、ここのカレーはピリ辛でコクがあっていつ食べても美味しい。普通の人には相当辛いんだろうか。こんなに美味しいカレーなのに客が少ない理由がわからない。昼食を終えて外にでるとポツポツ雨になっていたが、外をブラブラするのも面倒なのでさっさと会社に戻った。そしてさっきの莉奈が言ってたくりはらさんのことが気になっていた。まさかとは思うが、カスタマーサポート主任の栗原加奈子のことではないだろうか。それだったらものすごい偶然だ。俺は気になったのでカスタマーサポートのデスクフロアに行ってみた。まだ昼休みだが、栗原加奈子が席に座っていた。昨日と違ってイライラしてる様子はなかった。俺は栗原加奈子のところへ行き、彼氏と話し合ったか聞いてみた。すると「昨日、彼氏と話し合いました。それで一緒に手を繋いで歩いてた女に電話してやりました。彼氏に手を出すなってハッキリ言ってやりましたよ」と言った。今日の栗原加奈子はやけにスッキリした表情をしているが、そういうことだったのか。ということは、その彼氏が浮気していたのは莉奈と同僚の保育士の可能性が高い。というよりものすごい偶然だが、ほぼ間違いないだろう。俺は栗原加奈子に「それはよかったですね」と言って自分の席へ戻った。栗原加奈子の彼氏は彼女がいることを隠して莉奈の同僚の保育士と浮気をしたのか。そう考えると栗原加奈子の彼氏とはとんでもない浮気者なのかもしれない。また浮気をして栗原加奈子の機嫌が悪くならなければいいのだが、こればかりはもう俺達が介入できる問題でもない。そんなことを考えていると莉奈からメールが届いた。どうやら莉奈も頭の中に映像が浮かんで近未来が見えたようだ。その近未来は別に大したことではないので問題ではないが、莉奈も能力が使えるようになったのかと思うと心配になってきた。これまで俺と西浦真美はあらゆる現象で危険なこともしてきた。莉奈がそんな危険な目にあわなければいいのだが、もし何かあれば俺はすぐに助けに行かなければならない。その覚悟はもうできているが、何も起こらないことを祈るしかない。
昼休みが終わって午後の業務をしていると西浦真美から”藤堂君の近未来を見たけど大したことなかったわ”とメッセージが届いた。まあ、以前のように何か大変な近未来が見えると助けにいかなくてはならない。とりあえず、あまり能力は使わないようにしようと思う。しばらく業務を続けていると西浦真美から”アプリケーション事業部の宮ノ下さんがかなりイライラしているようなの。水嶋君にも確かめてほしい!”とメッセージが届いた。俺は西浦真美に”わかった”とメッセージを返した。アプリケーション事業部の宮ノ下和宏といえば光色感情受信現象の時にずっと赤色に光っていた。あの時もイライラして怒りの感情を持っていたが、今度は何をイライラしているんだろうか。そう思って俺はアプリケーション事業部のフロアへ行った。宮ノ下和宏の目を見てどんな感情だろうかと考えた。そして宮ノ下和宏に乗り移った。かなりイライラしている気分だ。そして俺は自分の体に戻った。そして俺は宮ノ下和宏の前に行って「宮ノ下さん」と声をかけた。すると宮ノ下和宏は「あっ水嶋さん!お疲れ様です。どうかしましたか?」と聞いてきたので、俺は「宮ノ下さん、なんだかイライラしてるようなので心配で声をかけました」と言った。すると宮ノ下和宏は「実はいろいろありまして」と言ったので俺は「とりあえず休憩室で話しましょうか?」と言った。そして俺と宮ノ下和宏は休憩室へ行った。
休憩室に入って椅子に座ると宮ノ下和宏が話しはじめた。
「今、アプリケーション開発をしているのですが、開発メンバーが作成する設計図やプログラミングのレベルが低いといいますか、私が必死に説明していることが全く伝わってないのです」
「それでイライラしているわけですね?」
「はい。どうしてみんなわかってくれないんだろうと思いまして・・・」
「アプリケーション事業部の開発メンバーの技術レベルはわかりませんが、宮ノ下さんのレベルが高くなりすぎたのかもしれませんね」
「水嶋さんに依頼された時のようにシンプルかつ無駄なく誰がみてもわかるようなプログラムを組むようにしています。あの時は本当にいい経験をさせていただきました」
「まさか、その技術レベルを開発メンバーに求めているんでしょうか?」
「はい。シンプルかつセキュリティーをしっかりした設計書を作って、その通りにプログラミングしてほしいと言ってるのですが、みんなわかってくれません」
「それは仕方がないですよ。シンプルであるほど設計書やプログラミングは難しくなります。それは宮ノ下さんが一番わかっていることじゃないですか?」
「それはそうなんですが、ちゃんと説明しているのに、なかなか伝わらないのでイライラしてくるのです」
「宮ノ下さんに依頼して作成した設計書やプログラムを私がチェックしましたよね?あの時、私はイライラしませんでした。それは仕方がないと思っていたからです。難しいということを知っていたからなんです。ですから、宮ノ下さんもそうあってください」
「そうですね。シンプルだからと思っていましたが、私は他の開発メンバーに求めすぎていたのかもしれません」
「何度もいいますが、シンプルかつしっかりセキュリティーを考慮したプログラムを組むのは難しいんです。シンプルに組もうとすればするほどそのレベルは高くなります。宮ノ下さんはそれをわかってあげてください」
「わかりました。また水嶋さんに気づかされました。本当にありがとうございます」
「いえいえ。私も偉そうにいってますが、自分でもまだまだだと思っています。ただ開発チームのリーダーとして責任感は持っていますし、そういうこともわかってあげれるようにしたいと思っています。宮ノ下さんもそういう意識をもってください」
「はい、わかりました。本当にありがとうございました」
「いえいえ、では私は自分の席に戻りますね」
「はい。では失礼します」
これでなんとか宮ノ下和宏のイライラを解消することはできただろう。それにしても宮ノ下和宏は開発チームのリーダーなんだろうか。そのことを聞くのを忘れていたが、必死に説明していると言っていたのでそれに近い存在なんだろう。そんなことを考えながら俺は自分の席に戻った。
この日はもう何事もなく一日が終わった。そして次の日になっても能力は自由に使うことができた。この能力は今後ずっと持ち続けるのだろう。しかし、できるだけこういった能力は使わないようにしないといけない。俺と莉奈、そして西浦真美は能力は必要がある時だけ使うようにしようと話して決めた。特に莉奈は大変なことに巻き込まれると危険を伴う可能性があるのだ。俺は莉奈に強くそう言って釘を刺しておいた。
■ 2018年10月28日(日)
今日は莉奈の両親に挨拶するため、莉奈の家に行く予定なのだ。莉奈の両親がどんな人で何を言われるのかわからないので胸がドキドキしている。莉奈とは年齢差もあるので何か言われないか心配になっていた。
昼食をさっさと終えて莉奈の家に行く準備をした。準備といっても別にスーツ姿で行くわけでもないが、あまりラフな服装でいくのは避けようと思った。黒いズボンに白のシャツで黒のジャケットを着て少しビシッとした格好で行くことにした。そして13:30になったので家を出て車に乗って莉奈の家に向かった。莉奈から家の近くにあるコインパーキングの場所を聞いていたので、そこに車を駐車した。そしていつも莉奈を車で送っているコンビニの前で莉奈を待っていた。すると薄いピンク色のワンピースに茶色いカーディガンを着た莉奈がやってきた。
「祐樹君、お待たせ。じゃあ着いてきて」
「わかった。ご両親はもう家にいるの?」
「うん。お父さんはあまり喋らない人だから気にしないでね」
「莉奈の家はここからすぐなの?」
「そこのマンションだよ」
そう話しながら濃い茶色の七階建てマンションの中に入った。エレベーターで六階まであがって俺は莉奈に着いていった。そして「笹原」と書かれたドアの前に着いた。かなり緊張するがちゃんと莉奈のご両親に挨拶しないといけない。莉奈がドアを開けて「入って」と言った。俺は「おじゃまします」と言って莉奈の家に入った。莉奈の家は4LDKで玄関から細い通路を歩いていくとリビングの前に白くてリビングの向こうが見えるガラスのドアがあった。莉奈はそのドアを開けて「お母さん、祐樹君を連れてきたよ」と言った。俺は「こんにちわ。おじゃまします」といってリビングに入った。リビングには大きなテーブルがあってソファーに莉奈の父親が座っていた。莉奈の父親は少し白髪まじりで四十代後半くらいで身長は170センチメートルくらい、少しぽっちゃりしていて目は少し垂れ気味で優しそうな表情をして、緑のVネックベストに白いシャツを着て茶色いズボンをはいていた。莉奈の母親が「こんにちわ」といってキッチンから出てきた。莉奈の母親は四十代後半くらいで細身、身長は160センチメートルに満たないくらい、サラサラのショートヘアーに目は莉奈にそっくりでどことなく童顔のように見えて、白いシャツに長めの黒いスカートをはいていた。俺は莉奈の母親のほうを見て「突然おじゃましてすみません」と言った。すると莉奈の母親は「いえいえ。そこに座ってください」と言って莉奈の父親が座ってる向かい側のソファーのほうに手を指した。俺は「失礼します」といってソファーに腰かけると莉奈も俺の隣に座った。莉奈の母親はキッチンに入って何か用意をしているようだった。俺は莉奈の父親のほうを見ながら「どうも」と言って一礼した。すると莉奈の父親は「うん」とだけ呟いた。莉奈からあまり喋らない人だと聞いていたが、見るからに無口そうな人だとわかった。
莉奈の母親がホットコーヒーとクッキーをトレイにのせて持ってきた。そして「どうぞ」といってコーヒーをテーブルの上にそれぞれ並べて、クッキーの入ったお皿をテーブルの真ん中に置いた。そして莉奈の母親は父親が座っているソファーの隣に座った。ここから俺と莉奈の母親の会話がはじまった。
「どうも。水嶋祐樹と申します。莉奈さんとお付き合いさせてもらっています」
「水嶋祐樹君ね。莉奈から話はよくきいていたわ。祐樹君は今年で30歳になるのかしらね?」
「はい、今年で30歳になります」
「莉奈とは6歳差ね。わたしとお父さんが5歳差だから似たようなものね」
「そうなんですね・・・」
莉奈の両親も結構年齢差があることに少し驚いた。それならあまり年齢差のことは言われないだろうと思った。
「祐樹君は莉奈とどういうお付き合いしてるの?」
「どういうとは?」
「莉奈との将来を考えてお付き合いしているの?」
ここはハッキリ言わないといけない。ドキドキするが適当に付き合ってるわけじゃないことを証明しないといけない。
「莉奈さんとの将来を考えていますお付き合いさせてもらっています」
「じゃあ結婚前提でお付き合いしてるってことでいいのね?」
「はい。結婚前提でお付き合いさせてもらっています」
「祐樹君、お仕事は何をしているの?」
「システムエンジニアです」
「あら、難しそうなお仕事してるのね。莉奈はまだ幼い子なんだけど、祐樹君は将来を真剣に考えてくれてるのね?」
「はい。莉奈さんのことは真剣に考えています」
「莉奈、祐樹君ってすごく優しそうな人ね?」
すると莉奈が「うん。すごく優しい人だよ」と言った。
莉奈の母親が父親のほうを見て「お父さん、祐樹君って良さそうな人じゃない?」と言った。すると莉奈の父親は「ああ」と呟いた。本当に無口な人だと思うが、心の中で何を考えて何を感じているのか気になって仕方がない。
「祐樹君が莉奈のことを真剣に考えてくれてることはわかりました。今後とも莉奈のことをお願いしますね」
「はい。こちらこそよろしくお願いします」
「そういえば祐樹君の趣味は山登りって聞いたけど、よく莉奈を連れていってくれてるようね」
「そうですね。莉奈さんと一緒に登山に行ってばかりですが、それがデートになっている感じです」
「登山でデートって変わってるわね。わたしもお父さんも登山なんてしないんだけど、莉奈は登山が好きになったみたいで誰に似たんだろうって思ってるのよ」
「それはおそらく僕が莉奈さんといろんな山に行っていろんな景色を見たからだと思います」
「そうなのね。同じ趣味があるのはいいことだと思うわ。ね、お父さん」
莉奈の母親がそう言うと父親は「うん」と頷いた。莉奈の母親は莉奈とよく似てよく喋るが、やはり俺は父親のほうが気になって仕方なかった。何かしら会話を成立させないといけないが、無口すぎて何の話をすればいいかすらわからない。そう思っていると莉奈の父親が「祐樹君、本当に莉奈でいいんだね?莉奈をもらってくれるんだね?」と言った。それを聞いて驚いた俺は「はい!莉奈さんがいいと思っています」と答えた。莉奈も莉奈の母親も突然の父親の発言に驚いているようだった。そして莉奈の父親は黙り込んで、母親が話しはじめた。
「莉奈との将来を考えているなら、まずは一緒に暮らしてみることからはじめてみるのがいいかもしれないわね」
「莉奈さんと一緒に暮らすって同棲するってことですか?」
「そう。祐樹君はまだそこまで考えてなかったの?」
「そんなことまで考えたことはありませんでした」
俺は莉奈の母親の発言に驚いた。まさか莉奈と同棲生活することを提案されるとは思いもよらなかった。同棲なんて普通の親なら反対すると思ったが、莉奈の母親は少し変わった人なんだろうか。
「わたしとお父さんも同棲生活からはじめて結婚したからいいと思うのよ。ね、お父さん」
莉奈の母親がそう言うと莉奈の父親は「うん」と頷いた。そして莉奈は「お父さんとお母さんって同棲してて結婚したんだ」と言った。どうやら莉奈はそんなことを知らなかったようだ。俺は莉奈と同棲生活をすることなんて考えてなかったので、どう答えようか困惑した。そして俺は口を開いた。
「わかりました。莉奈さんとの同棲生活を考えます。でもそれなら、先に僕の両親と会ってもらえますか?」
「そうね。二人が同棲をはじめるんだったら、それが先よね」
「同棲生活のことはその時に改めてお話させていただきますね」
「わかりました。じゃあ祐樹君のご両親とお会いする日程は祐樹君にお願いしてもいいかしら?」
「はい。こちらで日程と場所を決めて、莉奈さんに伝えておきます」
「ではよろしくお願いしますね」
「はい、こちらこそよろしくお願いします」
その後、莉奈の母親と登山の話や仕事の話など二時間ほど話をしていた。莉奈の父親は無口な人だったが「莉奈をもらってくれるんだね?」と聞いてくれたので俺は心の中でホッとしていた。それにしても莉奈と同棲するには問題がいろいろある。その問題を一つ一つ解決させていかなければならない。
そして俺は「おじゃましました」と言って莉奈と一緒に莉奈の家を出た。そしてマンションの外に出てコインパーキングまで歩いている間に莉奈と話をした。
「祐樹君と一緒に暮らせるなんて楽しみー」
「莉奈、それは真剣に考えるけどいろんな問題があるんだよ。例えば車はどうするかとか、登山道具はどうするかとか、いろんな問題を解決させていかないといけない」
「あっそっか!祐樹君と一緒に暮らすってことは家の中が登山道具だらけになっちゃうね」
「それだけじゃなくて、莉奈と俺の生活スタイルも考えないといけないんだよ。莉奈は朝早く保育園に行くでしょ?俺は朝10:00出勤だから、そういうことも考えないといけない」
「うんうん。でもわたしは祐樹君とならどこに住んでもいいよ。あまり遠いところだと困るけどね」
「あと俺達にはまだするべきことがあるでしょ?」
「そうだった。もうすぐだよね」
「うん。莉奈を危険なことに巻き込むかもしれないけど、頑張って解決させるしかないからね」
「わたしもだけど祐樹君も気をつけてね」
「うん。わかってる」
莉奈とそんな話をしながらコインパーキングに着いた。そして俺は車を走らせて自宅へ戻った。そして早速、俺の両親に莉奈の両親と会ってほしいと話をした。俺の両親は喜んでいた。両親顔合わせの日程はまだ決めることはできなかったが、俺の両親はもうすっかり俺と莉奈が結婚する方向で話を進めているようだった。
その後、一週間は人格乗り移り能力や近未来透視能力はずっと使うことができた。俺は黒岩優にひたすら電話をして役を演じるコツを聞いて訓練した。そしてついにトランセンドレッドの状態を自由にコントロールできるようになった。それに写真を見て、あたかもそこに自分がいて体験しているようなイメージをするのもできるようになった。これから俺達は解決させるべき問題がある。無事に解決できればいいのだが、わからないことだらけなので不安なのだ。しかし、なんとしてでも無事に解決させて莉奈との将来を考えて進んでいかなければならないのだ。




