光色感情受信現象Part2
■ 2018年10月3日(水)
朝8:00に目覚まし時計が鳴って目が覚めた。カーテンを開けると今日はどんよりした曇り空だった。部屋を出て洗面所で顔を洗った後、キッチンへ行った。今朝は鮭の塩焼きとサラダ、ご飯と味噌汁がテーブルに並べられていた。キッチンにいた母親に「母さん、おはよう」というと母親も「おはよう」と言った。椅子に座って朝食を食べていると母親が「祐樹、その後、あの莉奈ちゃんとはどこまで進んでいるの?」と聞いてきた。俺は「まあ、一キロメートルぐらいは進んでると思う」と適当に答えた。すると母親が「ふざけるんじゃないの!」と少し怒っているようだった。俺は無視をして朝食を食べ終えると自分の部屋に入って着替えた。
家をでて駅へ向かって歩いていく。駅に着いていつもの時間の電車に乗った。今日も電車の中の人であらゆる色に光っていて、感情や気分が伝わってくるが気にするレベルのものではなかった。やはり赤色に光っている人だけが問題のようだなと思っていた。そして会社の最寄り駅に着いた。
10:00前に出勤してパソコンの電源を入れると日根野部長に「会社のホームページ更新の打ち合わせがありますので会議室へ行ってきます」と言って会議室へ向かった。すると大里哲也も会議室のほうへやってきた。会議室のドアの前で俺と大里哲也が立って、西浦真美を待っていた。しばらくすると西浦真美がノートパソコンと会議室の鍵を持ってやってきた。西浦真美が「おまたせ」と言って会議室の鍵をあけてドアを開けた。会議室の中に入って電気をつけると、西浦真美が椅子に座ってノートパソコンを起動させた。大里哲也がポケットの中からUSBメモリーを出してパソコンに取り付けた。西浦真美は「じゃあ水嶋君、宮ノ下さんの設計書とプログラムを確認して」といってノートパソコンを俺が座ってる場所へ持ってきた。俺は「大里さん、ちなみにこれは何を開発した設計書とプログラムですか?」と聞いてみると大里哲也は「メールでSNSのブログに投稿するプログラムです」と答えた。俺はUSBメモリーの中に入っている設計書を開いて見てみた。かなり複雑なロジックの設計になっている。たしかにかなり技術はあるような設計に思えるが、抜けている部分が多いのと、ちょっと複雑すぎて見ているとわけがわからなくなってくる。大里哲也が「どうですか?宮ノ下さんの設計はすごくないですか?」と聞いてきたので俺は「うーん・・・なんか微妙ですね」と答えた。続いてプログラムを開いて見てみた。設計書通りのプログラムが組まれているようだが、かなり複雑な感じがした。かなりの知識があってプログラムに詳しいことはわかるのだが、まとまりがなくあちこちに処理がちらばって組まれているので、動きを追っていくのが大変だった。俺はプログラムを見ながら「うーん」と言っていると大里哲也が「宮ノ下さんが組んだプログラムもすごくないですか?宮ノ下さんは僕らの知らない関数を使っているので解析するのも大変なんですよ」と言った。俺はずっと設計書を見ながらプログラムを一通り読み終えた。そして俺は大里哲也をほうを見て話しはじめた。
「たしかに宮ノ下さんはプログラムに詳しくて知識も豊富みたいですごいですね」
「そうですよね!宮ノ下さんはもしかするとこの会社の中で一番技術力が高いんじゃないかと思います」
「ただ、俺が言うのもなんだけど・・・うーん、言いにくいなあ・・・ここだけの話にしてくださいね」
「はい。何か問題があるのでしょうか?」
「素人の中ではすごいと思うけど、プロとしてはこの設計とプログラムはダメだと思います」
「どういうことですか?」
「このプログラムを見ていると、あまりにも知識と技術に頼りすぎているということです。自分はすごい技術者なんだという意識でプログラミングしているように見えます。それにプライドもかなり高いと思います」
それを聞いた西浦真美は「水嶋君はプログラムを見ただけでプライドが高いってわかるの?」と聞いてきたので俺は「うん」と答えた。そして俺は話を続けた。
「私は開発チームのリーダーを担当してますが、私ならこの設計書は没にします。技術力があって知識が豊富でも、この設計は穴だらけです」
「はあ、そうなんですか・・・」
「例えば、この受信メールの添付画像を取得する部分ですが、それが偽の画像ファイルで実行ファイルだった場合や画像ファイルそのものが壊れていた場合の処理が書かれていません。この設計書にはそういったもしもの場合の処理がたくさん抜けています」
「水嶋さんはそんな細かいところまでチェックして設計するのですか?」
「システムプログラムなのでそこまで細かく設計します。あと簡単に言いますが、この設計のロジックは複雑すぎます。ここまで複雑にする必要はないと思います。いかにシンプルかつ細かいところまで考えて設計するのが技術力だと私は思っています。それに誰が見てもわかるような設計でないと設計書を作成する意味がないと思います」
「そうなんですね。僕は経験が浅いのでよくわかりませんが・・・」
「それと宮ノ下の組んだプログラムですが、これも私が開発チームのリーダーなら没にします。たしかに設計書通りにプログラミングされていますが、まとまりがありません。複雑すぎて、他の人が見ても解析しずらいです。それに、いろんな関数を使っていますが、意味がわかって使っているように思えません。関数は使い倒せばいいというわけでもありません」
「そうなんですね」
「簡単に言いますと、もちろんセキュリティ上を考慮された上での話ですが、いかにシンプルで誰が見てもわかるようなプログラムを組めるか、それが技術レベルの高いプログラマーだと私は思っています。そのためにはいろんな経験をしないといけません」
「水嶋さんから見て宮ノ下さんの技術レベルってどのくらいなんでしょうか?」
「正直、宮ノ下さんは素人の中では知識豊富で技術力があると思いますが、プロの中ではまだまだ技術レベルは低いです。ただ知識が豊富なだけで、技術力というものを勘違いしているように思います」
「そうなんですね。システムプログラムをしている人はやはり言うことが違いますね」
「とにかく大里さん、宮ノ下さんの設計書とプログラムを見せていただいてありがとうございました。ところで今って宮ノ下さんは何か開発とかされてますか?」
「今は保守をしてるだけですね」
「そうですか。わかりました。ではありがとうございました」
「もういいんですか?」
「うん。西浦さんいいよね?」
西浦真美は「うん」と言った。USBメモリーを取り外して、大里哲也は会議室を出ていった。そして西浦真美と二人になったところで俺が話しはじめた。
「宮ノ下さんはおそらくアプリケーション事業部の技術者のレベルが低いことからイライラしてるんだと思う。それが時には怒りの感情になってしまうんだろうね」
「大里君の話を聞くとそんな感じよね。それで水嶋君はどうするつもりなの?」
「うーん、宮ノ下さんは技術力を勘違いしてるみたいだからねえ・・・ここはその考えを正すためにも、ちょっとプライドを壊してしまおうか」
「プライドを壊すってどうするの?」
「ちょうど俺は新しいシステムを開発中なんだけど、アプリケーションサーバーは簡単だから後回しになっていたんだよ。宮ノ下さんはそのアプリケーションサーバーを使って開発してるわけだから、日根野部長に話して、アプリケーションサーバーの簡単な開発を宮ノ下さんにお願いしてみる」
「それだとアプリケーション事業部の部長の許可も必要になるわよ?」
「それも許可してもらうよ。宮ノ下さんを二日間ほど開発メンバーとして参加させたいってね」
「そう。それならこの件に関しては水嶋君に任せるわ」
「西浦さんはプライドが傷つけられた後の宮ノ下さんのフォローをお願いするかもしれないから、その時はよろしくね」
「わかったわ」
そんな話をして会議は終わった。俺は早速システム開発部のデスクフロアに戻って日根野部長に話をした。後回しになっていたアプリケーションサーバーの構築自動化のインストーラーの開発に宮ノ下和宏という技術レベルの高い人に依頼してもいいか聞いてみた。そもそもアプリケーションサーバーはアプリケーション事業部が使うサーバーなのでその部署の人間が開発したほうがいいのだ。
「それは水嶋君に任せるよ。アプリケーション事業部の木本部長の許可も忘れずにしてほしい」
「それはわかっています。では早速、仕様書を持ってアプリケーション事業部に行ってきます」
「くれぐれも問題を起こさないように注意するようにね」
「はい、では失礼します」
俺はアプリケーション事業部のフロアに入って木本部長にアプリケーションサーバー構築自動化のインストーラーの開発を宮ノ下和宏に依頼してもいいか聞いてみた。アプリケーションサーバーはこの部署で使用するサーバーだからという口実でなんとかお願いしてみた。
「宮ノ下君に開発を依頼するのは別に構わんですが、開発は何日くらいかかる予定ですか?」
「今日の午後に設計書を作成してもらい、明日にはプログラムを組んでもらいます。ですので二日間ですね」
「しかし、どうして宮ノ下君に開発依頼をするのですか?」
「宮ノ下さんはアプリケーション事業部で一番技術レベルが高く、サーバーの知識もあると聞いたからです」
「たしかに宮ノ下君は技術力がありますからね。では許可します」
「木本部長、ありがとうございます」
アプリケーションサーバー自動化のインストーラーは環境設定は必要なく、サーバーにインストールするアプリケーションも二つなので非常に簡単なのだ。児島信二の技術レベルだと半日で設計書を仕上げて、半日でプログラムを組むだろう。そのくらい簡単なんだが、それはシステムプログラムに慣れているからなのだ。
俺は未だに赤色に光って見える宮ノ下和宏の席へ行った。宮ノ下和宏は27歳でサラサラのストレートヘアに身長は165センチメートルほど、細身の体に少し垂れ気味の目をしていてメガネをかけている。見た目は草食系で大人しそうに見える。俺は話を切り出した。
「宮ノ下さんですね。はじめまして、システム開発部の水嶋です。実は宮ノ下さんに依頼したい開発案件があります。さきほど木本部長にも許可はいただきました」
「水嶋さんですね。はじめまして、宮ノ下です。どのような開発案件でしょうか?」
「実は今、サーバー自動化のインストーラーというものを開発してまして、この部署で使っているアプリケーションサーバーにも自動化のインストーラーを導入したいと考えています。そこで、そのインストーラーの開発を宮ノ下にお願いしたいのです」
「サーバープログラムですか?どうして私なんでしょうか?」
「この部署で使用するサーバーのプログラムですから、この部署の人に開発してほしいのです。それにこの部署でサーバーの知識があるのは宮ノ下さんだと聞いていますので依頼しようと思いました」
「わかりました。どのくらいの規模のものでしょう?」
「こちらが仕様書になります。アプリケーションサーバーにインストールするアプリはウェブサーバーパックとFTPサーバーの二つなので簡単だと思います。環境設定はたしかウェブサーバーパックをインストールした後でブラウザからアクセスするとできますよね?」
宮ノ下和宏は2枚の仕様書を読みながら話した。
「この程度のものでしたら私でもすぐ開発できそうです。是非開発させてください!」
「では、今日の午後に設計書を作成してシステム開発部の私のところまで来てください。作成した設計書は共有フォルダのシステム開発部の中に宮ノ下のフォルダを作成してその中に入れてください」
「わかりました。では午後より早速設計書を作成して水嶋さんのところへ伺います」
「それではよろしくお願いします」
俺はそう言ってアプリケーション事業のフロアを出た。宮ノ下和宏は簡単に考えているようだが、システムプログラムというのは細かい部分に気をつかって設計しないといけない。それが宮ノ下和宏にできないだろうと予想していた。
昼休みになったので外に出て適当な定食屋で昼食をとった。莉奈のほうはどうなのか気になっていたのでメッセージを送っておいた。外をブラブラ歩いていると莉奈から”今日、赤色に光った同僚の保育士と少し話してみた。なんだか悩んでいることがあるらしくて明日相談を聞くことになったよ”とメッセージが返ってきた。まあ危険なことはなさそうだが、念のために”気をつけてね!”と莉奈にメッセージを返しておいた。こっちは明日にでも解決できそうだ。それに莉奈のほうも明日に解決させれるとこの現象は終わるだろう。そんなことを考えていると昼休みが終わったので会社に戻った。
午後の業務をしていると児島信二がピンク色に光って見えた。また恋の感情が伝わってくる。また山内美沙のことを考えているんだろう。俺は「児島君、ちょっといい?」と言った。するとピンク色の光が消えて児島信二は「なんでしょうか?」と言った。俺はアプリケーション事業部の宮ノ下和宏にアプリケーションサーバー自動化のインストーラーの開発を依頼したことを伝えて、設計書が完成したら一緒に見てほしいと言った。児島信二は「どうしてその宮ノ下さんに開発依頼をしたんですか?」と聞いてきた。俺は「アプリケーションサーバーを使うのはアプリケーション事業部だから、その部署の人間が開発したほうがいいと思ったからね」と言った。すると児島信二は「まあアプリケーションサーバー自動化は簡単ですからね。わかりました」と言った。それから15:30頃に宮ノ下和宏がシステム開発事業部にやってきた。宮ノ下和宏はシステム開発部を見渡して、俺の席の前に立った。そして宮ノ下和宏は「設計書を完成させましたので確認をお願いします」と言った。今の宮ノ下和宏は黄色に光って見える。やる気満々といった気分が伝わってきた。この後、すぐに赤色に光るだろうと予想できる。俺は共有フォルダを開いて宮ノ下和宏のフォルダの中身に入っている設計書を開いた。そして児島信二も立ち上がって俺のパソコンの画面を見ていた。処理の流れ自体は簡単なもので設計書も単純なものだった。しかしこの設計書は穴だらけだった。設計書を見ていた児島信二は「水嶋さん、これだと・・・」と何か言いたげだったので、話の途中で俺は「児島君、それは俺が言うから」と言って俺は宮ノ下和宏のほうを見て話はじめた。
「宮ノ下さん、全体的な流れこれでいいのですが、もしネットワークアドレスが重複していた場合の処理はどうするのでしょうか?それにウェブサーバーパックやFTPサーバーのインストールが途中で止まってしまった場合の処理はどうするのでしょうか?あと細かいことで申し訳ないんですが、ネットワーク環境設定で失敗した場合、そのエラー内容を表示するようにしてほしいです」
「わかりました。それらの処理を設計書に追加します」
「サーバープログラムですので、細かい部分まで気をつかうようにお願いします」
「では、再度、設計書ができあがりましたらまた確認をお願いします」
宮ノ下和宏はそう言って走ってアプリケーション事業部に戻っていった。児島信二は席に座って「水嶋さん、あの宮ノ下さんに開発させるのは無理なんじゃないでしょうか?」と言った。俺は「それでも頑張ってもらわないとね」と言っておいた。たしかに児島信二の言う通りだが、今回の目的は宮ノ下和宏の技術に関する考えを正してプライドを壊すことなのだ。その後17:00頃に再び宮ノ下和宏やってきた。そして宮ノ下和宏が「水嶋さん、設計書を修正して指摘された事項を追加しましたので確認してください」と言った。俺は共有フォルダから設計書を開いて確認した。児島信二も立ち上がって俺のパソコンの画面を見た。さっき俺が指摘した内容は全て追加されていた。しかし今度は処理が多くなったため基本処理の流れがぐちゃぐちゃになっていた。
「宮ノ下さん、かなり細かい部分まで処理を追加されていますので、良くなってきたのですが、処理が増えたせいで基本的な処理の流れがわかりにくくなっています。これだとよくわからないプログラムになってしまいますので、エラー処理の部分と基本的な処理の流れを綺麗にまとめてください。あと、ウェブサーバーパックやFTPサーバーのインストールが失敗した場合の処理ですが、二つのインストールのいずれかが失敗した場合は、そのままの状態にしておくのではなく、アンインストールするようにして、最初のネットワーク環境設定も元に戻してください」
俺がそう言うと宮ノ下和宏は少し落ち込んだような表情をした。そして「わかりました。また修正します」といって宮ノ下和宏はアプリケーション事業部に戻っていった。かなり細かく厳しいかもしれないが、システムプログラムはそこまで配慮しないといけないのだ。その後、18:30頃に再び宮ノ下和宏がやってきて「水嶋さん、設計書の確認をお願いします」と言った。俺は共有フォルダから設計書を開いて見た。もちろん児島信二も立って俺のパソコンの画面を見ていた。処理の基本的な流れとエラー処理を綺麗にまとめられていて、さきほど二回目に指摘した部分の処理も追加されていた。もう少し細かい部分はあったのだが、それはもうキリがないのでこの設計書でプログラミングをすることにした。
「宮ノ下さん、設計書はこれでいいです。では、明日、この設計書に通りにプログラミングを開始してください。完成したプログラムファイルは設計書と同じ共有フォルダに入れてください。完成したらここで私と一緒にプログラムチェックをしますのでよろしくお願いします」
俺がそう言うと宮ノ下和宏は「わかりました。明日の朝一番からプログラミングをはじめます。これだと午前中にはプログラミングは完成すると思います」
と言った。俺は「今日はお疲れ様でした」と言うと宮ノ下和宏も「お疲れ様でした」と言ってアプリケーション事業部に戻っていった。児島信二が「僕だったらこんな設計書すぐできると思うんですが、どうして水嶋さんはあの宮ノ下さんに開発させようとするんですか?」と聞いてきた。俺は「まあ、彼の技術向上のためかな」と誤魔化すように答えておいた。そして19:00になり勤務時間終了になったので俺はさっさと退社した。
自宅に戻って夕食をとってシャワーを浴びた後、部屋に戻って莉奈に電話をした。明日、ずっと赤色に光って見える同僚の保育士と近くのファミリーレストランで話をするらしい。その保育士とは28歳の女性らしい。くれぐれも注意するように莉奈には言っておいた。
■ 2018年10月4日(木)笹原莉奈編
わたしは笹原莉奈。6つ年上の水嶋祐樹君とは結婚を前提にお付き合いしてる。祐樹君はわたしが特殊能力者になったと言ってたけど、夢の中の会議室でお話をしたりする不思議な現象を体験した。祐樹君と同じ特殊能力者でパートナーといってる西浦真美さんはすごく美人な人だった。わたし、西浦真美さんを見てちょっとだけ焼けちゃったかも。
今日も保育園で園児達と楽しく遊んでたんだけど、気になってるのは同僚の富田璃子先生。わたしが光っている人が見えるようになってから、この富田璃子先生はずっと赤色に光って見えてる。今日も富田先生は赤色に光って見えてる。なんだかとてもイライラしている気分が伝わってくる。昨日、ちょっと富田先生に話しかけるチャンスがあったから話かけてみた。わたしは「何か元気なさそうですが、不満でもあるんですか?」って聞いてみたら、富田先生は「ちょっと悩んでることがある」と言った。わたしは「よかったら富田先生の悩みを話してくれませんか?」と聞いてみたら富田先生は「ありがとう」って言ってくれた。わたしは「明日、一緒に夕食に行きませんか?」って誘ってみたら富田先生は「いいよ」って言ってくれた。今日、保育園のお仕事が終わったら富田先生と近くのファミリーレストランに行くことになってる。でもわたしなんかで大丈夫かなってちょっと心配。
お昼になって園児達の給食が終わったらお昼寝の時間になった。すぐにお昼寝する園児やなかなか眠らない園児もいる。早く寝てもらわないとわたしのお昼休みが遅れちゃう。今日は祐樹君にメールを送ったほうがいいのかなって思ったけど、もう富田先生の悩み事を聞くことは決心したからそれが終わってから連絡しよう。祐樹君も頑張ってるから今日はわたしも頑張ろうって思う。
園児達がお昼寝して、わたしもちょっと休憩。園児達と遊ぶのはとても楽しいんだけど、やっぱり疲れちゃう。休憩中にスマホで山で撮影した写真を見てた。山に行くといろんなことを忘れさせてくれる。わたしを驚かして感動させてくれる。わたしも祐樹君みたいに登山バカになってきたのかな。でも本当に山が大好きなの。14:00になって園児達をお昼寝から起こす。目覚めの悪い園児がいたり泣いちゃう園児もいる。わたしは泣いてる園児にはやさしく「おはよう。大丈夫だよ」って言ってあげる。午後は室内で園児達がお絵かきをする。クレヨンで上手に書く園児もいればぐちゃぐちゃに何書いてるかわからない園児もいる。わたしは「こうやってお父さんやお母さんの絵を描くんだよ」と教えてあげた。そこに富田先生がやってきた。やっぱり赤色に光って見えててイライラした気分が伝わってくる。富田先生は園児達にキツイ言い方をしてる。そんな言い方すると園児達が怯えちゃうかも。わたしはすぐに富田先生のところに行ってキツイ言い方された園児に「富田先生は怖くないからね」って言ってあげた。そんなわたしの姿を見ていた富田先生はなにか我慢してるような気がする。富田先生は何を我慢して悩んでいるんだろう。
17:00になると園児のお迎えにきた母親がやってきた。わたしは「さよなら、また明日ね」といって見送った。17:30になってわたしは帰り支度をした。まだ残っている園児達がいるけど、遅番で出勤してきた先生方に任せて、わたしは富田先生と一緒に帰ることにした。住宅街を歩いて大通りにでたところにファミリーレストランがある。そのわたしと富田先生はそのファミリーレストランに入った。夕食にはまだ早い時間だけど、わたしは半熟卵のドリアとドリンクバーを注文して、富田先生はカルボナーラとドリンクバーを注文した。なんだかずっと黙っている富田先生。富田先生に話しかけるタイミングがつかめない。注文した料理が運ばれてきて、黙って二人で食べてた。食事中に話しかけるのは行儀が悪いと思ったから、黙っていようって思った。食事を食べ終えると店員さんがお皿を持っていってくれた。わたしは富田先生に「なにかドリンクを飲みましょう」と言ってドリンクバーへ行った。わたしはローズヒップの紅茶をカップに注いだ。富田先生はアメリカンコーヒーをカップに注いでた。二人で席に戻って静かに紅茶を飲んでいた。そろそろわたしのほうから話しかけたほうがいいのかな。わたしは勇気を出して「富田先生」と声をかけた。そしたら富田先生は「はい」と言った。
「富田先生、昨日言ってた悩んでる事って何ですか?」
「えっと・・・笹原先生、これは絶対に他の人に言わないでね」
「わかりました。わたしでよかったらお話聞きますから話してください」
「あたし、最近、子供を見ているとイライラしてくるの。子供って言う事きかないし、うるさいし・・・でもそんな自分があたしは嫌いなの」
「うちの園児達も見ていてイライラしちゃうんですか?」
「うん。だから、あたしは保育士に向いてないのかなって悩んでるの。子供を見てイライラしてるようじゃ保育士なんて務まらない。それに最近、園児達にキツイ言い方しちゃうし・・・どうしらいいんだろうって思ってるの」
「富田先生のお気持ちはわかりますよ。わたしだって時々、園児達を見ていてうるさいなって思うことあります。言う事きかない園児にムカッとすることもありますよ」
「笹原先生もそんなこと思うことあるのね。でも、あたしはずっとそれが続いていて、本当にどうすればいいかわからないの」
「わたしの場合は、リフレッシュするために山に行ってます。山に行くとそういうこと全部忘れちゃうんです。園児達にイライラした時は山で見た景色のことを思い出すようにしています。それで心を落ち着かせてる感じです」
「笹原先生、山登りするんだ。あたしもリフレッシュできるようなことすればイライラしないようになるのかな?」
「そうですね。何かリフレッシュするほうがいいと思います。富田先生は子供が嫌いなんですか?」
「あたしは子供が好きだから保育士になったの。今も子供は好きなんだけど、見てるとイライラしちゃうの」
「富田先生は休日、何をして過ごしているんですか?」
「休日は何もしてない。あたし、趣味とかないから部屋でぼーっとして過ごしてる」
富田先生はきっと疲れてるんだ。子供のことが好きだけど見ていてイライラしちゃうってことはストレスが溜まってるんだね。そんな富田先生に、わたしはどう言ってあげればいいんだろう。ストレス解消できることってなんだろう。カラオケとか外で思いっきり遊ぶことかな。
「富田先生は何か好きなこととかないんですか?例えばカラオケとか」
「カラオケは好き。あと、ショッピングとかボーリングも好きかも。でも一緒に行く人がいないのよ」
「きっと富田先生は疲れてるんだと思います。それにストレスも溜まってると思いますから発散したほうがいいと思います」
「ストレスはかなり溜まってると思う。発散させたいけど、何をすればいいのかわからない」
「わたしでよければ、ときどき平日の帰りに一緒にカラオケ行ったりしてみませんか?」
「笹原先生、一緒にカラオケに行ってくれるの?」
「はい!今からでもカラオケに行ってみませんか?」
「今から?そうね、うん!行ってみようか」
そうしてわたしと富田先生はファミリーレストランを出てカラオケ店に行った。富田先生はカラオケをするのは数年ぶりみたい。わたしもカラオケをしたのは本当に久しぶりだった。富田先生はマイクを持って思いっきり歌っていた。わたしは富田先生が歌っている時、一緒にリズムに合わせて手を叩いてた。富田先生はだんだん、テンションが上がってきたみたいでマイクを持ちながら立って踊って歌っていた。わたしも一緒になってノリノリの気分になってリズムに合わせて体を動かした。富田先生は歌い終わると「スッキリしたー」と言って、次の曲を探してた。わたしもノリのいい曲を歌って子供のようにはしゃいだ。二時間くらい歌い続けて疲れてきた。富田先生は「あー楽しかった!」といって喜んでるみたい。カラオケ店の室内はカラフルな色が輝いてわからなかったけど、帰りに室外に出ると、富田先生がオレンジ色に光って見えて、明るい気分が伝わってきた。やっと赤色の光からオレンジ色の光に変わってわたしは安心した。富田先生と一緒に駅まで歩いているともう赤色に光らなくなってた。
「笹原先生、今日はありがとう。すごく楽しかった。あたしもう子供を見てもイライラしないかもしれない」
「それならよかったです。やっぱりリフレッシュするのがいいですね。ときどきカラオケ一緒に行きましょう。休日もショッピングしたり外に出て何か趣味になるものを探したほうがいいと思います」
「そうだね。あたし、自分の趣味を見つけてみる。でも今日は本当にスッキリした。こんなにスッキリしたのは久しぶりかも」
「富田先生、また悩み事があったらいつでも話してください。わたしなんかでよかったらいつでも聞きます」
「うん。笹原先生ありがとう」
富田先生がずっと赤色に光っていたのは疲れすぎていたのと、ストレスが溜まってたからだったんだ。ときどき、わたしが一緒にカラオケに付き合ってあげよう。わたしには祐樹君という人がいて、一緒に登山してリフレッシュできるし感動させてくれる。でも富田先生の周りには誰もいなくて一人なんだ。そう思うとわたしは幸せなんだって思う。祐樹君、わたしはこれで解決させることができたのかな?きっと解決させることができたと思う。祐樹君のほうは解決したのかな?家に帰ったらすぐに祐樹君に電話して聞いてみよう。
■ 2018年10月4日(木)水嶋祐樹編
朝8:00に目覚まし時計が鳴って目が覚めた。カーテンを開けて窓の外をみると昨日と同じ曇り空。今回の光色感情受信現象の決着をつけるなら今日ということになる。
駅に着いていつもの時間の電車に乗った。まだあらゆる色に光って見える人がいて、いろんな感情や気分が伝わってくる。やはり赤色に光っている人はなかなかいないのだろうか。それにしても人はいろんな感情を持って生きているんだと思う。今日は莉奈のほうも悩み事を聞くといっていたが、大丈夫だろうか。まあ話を聞くだけなので危険はなさそうだが、自分の彼女のことなので心配なのだ。
会社の最寄り駅に到着して10:00前に出勤した。自分の席に座ってパソコンの電源を入れて業務をしていると西浦真美から”その後、どういう状況?”というメッセージが届いた。俺は”順調だと思う”と西浦真美にメッセージを返した。今日の午後、宮ノ下和宏がどんなプログラムを組んでくるんだろう。そのことばかり考えていた。児島信二が「水嶋さん、あの宮ノ下さんは大丈夫でしょうか?」と言ってきたので俺は「まあ、大丈夫なんじゃないかな」と答えておいた。しかし、俺は宮ノ下和宏がどんなプログラムを組んでくるのか予想はできていた。
お昼休みになって会社のビルの外に出た。今日はずっと光色感情受信現象について考えていたので、昼食を考えてなかった。たまには魚でも食べようかと思って、近くの定食屋に入って、サバの味噌煮定食を注文した。サバの味噌煮定食といっても大盛のご飯に大きな味噌汁、サバの味噌煮と冷ややっこと結構ボリュームがあった。昼食を終えて定食屋を出て外をブラブラ歩いていた。莉奈にメッセージを送ろうと思ったが、問題の保育士のことはもう莉奈に任せるしかないと思った。俺はメッセージを送らず、今晩、莉奈に電話してどうなったか話を聞いてみることにした。外をブラブラ歩いていて昼休み終了直になったので会社に戻った。
午後の業務をしていて13:30を過ぎた頃に宮ノ下和宏がやってきて「プログラムを完成させましたのでチェックをお願いします」と言った。俺は共有フォルダからプログラムを開いて見た。仕様書通りにプログラミングしているようだが、処理がそれぞれあちこちにちらばっていて、何がどうなっているのか、プログラム処理の動きを追うのが大変だった。それにあらゆる関数を使っていて、かなり解析しにくいプログラムになっていた。
「宮ノ下さん、まずあらゆる処理があちこちにちらばっていますが、どうして細かく処理を分けているのでしょうか?例えばここですが、一行で済むプログラムなのにわざわざ共通関数にする必要がありますか?それにこの共通関数やこっちの共通関数ですが、わざわざ作っている理由は何でしょうか?こんなことをしなくても2行ほど処理を書けばいいと思うんです。あと、いろんな関数を使っていますが、これらの関数を使うことによって無駄なメモリ消費をしてないでしょうか?関数を使うのは最小限に抑えて基本的なものだけで組んでほしいです。設計書通りにシンプルで誰が見てもわかるようなプログラムにして下さい」
俺がそう言うと宮ノ下和宏が少し落ち込んだ表情をして「わかりました」と言ってアプリケーション事業部に戻っていった。少々厳しいかもしれないが、シンプルに基本的なものだけで組み込まないと、無駄なメモリを消費したり、バグの原因にもなるのだ。児島信二が「水嶋さん、やっぱりあの宮ノ下さんにはシステムプログラムは無理じゃないですか?」と言ってきたが、俺は「もしもの場合、最終的には俺が組みなおすよ」と言った。そして15:30に再び宮ノ下和宏がやってきて「プログラムの修正をしましたのでチェックをお願いします」と言ってきた。俺は再び共有フォルダからプログラムを開いて確認した。さっきよりずいぶんまとまっているが、まだ処理があちこちにちらばっている。関数を使うのもかなり最小限にしているようだが、まだまだ無駄な関数があったりする。シンプルで無駄がなくセキュリティーも考慮したプログラムを組む難しさをそろそろ実感してきたのではないだろうか。
「宮ノ下さん、まだ無駄な処理があちこちにちらばっていますね。基本的な処理の流れはいいのですが、二つくらいの共通処理でわざわざ共通関数を作らなくても、二行の処理を書けばいいだけだと思うんです。関数もかなり減っていますが、まだこれやこの関数を使う必要はないと思います。あと全体的なことですが、基本処理の流れの中にいくつかエラー処理が書かれていますが、エラー処理は共通化できると思うので綺麗にまとめて組んでください。アンインストール部分の処理はこれでいいです。あくまでセキュリティーを考慮しながらシンプルに綺麗にまとめてプログラムを組んでください」
俺がそう言うと宮ノ下和宏は「なかなか難しいですね。わかりました、修正してきます」と暗い表情をしながら言ってアプリケーション事業部に戻っていった。まあ、次に修正してきた時が限界だろうと思った。隣に座っている児島信二には俺が何を考えて宮ノ下和宏にプログラミングさせてるのかわかってないようで、不思議に感じているようだ。ところで、今開発中のサーバー構築自動化のインストーラーはもう動作確認テストが完了して、いつでも新しいサーバーが届いても稼働させれる状態になっている。俺は次に宮ノ下和宏がやってきた時のためにパイプ椅子を用意しておいた。そして17:00を過ぎた頃に再び宮ノ下和宏がやってきた。今度こそという感じであろうか。しかし宮ノ下和宏は自信なさげに「プログラムを修正しましたのでチェックをお願いします」と言った。俺は再び共有フォルダからプログラムを開いて確認した。かなり綺麗にまとめているようだが、まだ無駄な関数や処理が残っている。処理のちらばりはかなり修正したようだが、それでもあともう一歩という感じだった。俺は「宮ノ下さん、かなり良くなりましたが、とりあえずそこの椅子に座ってください」といって、俺の席のすぐ隣のパイプ椅子を広げた。そこに宮ノ下和宏は座って俺のパソコンの画面を見た。そして俺は「これは私の隣に座っている児島君が作成したウェブサーバー自動化インストーラーの設計書とそのプログラムです。ちょっと見てください」と言って児島信二の作成した設計書とプログラムを開いた。宮ノ下和宏は黙って設計書とプログラムを眺めている。俺は「このプログラムに無駄な処理や余計な関数はあるでしょうか?」と聞いてみた。すると宮ノ下和宏は「全くありません。それにすごくわかりやすいプログラムです」と言った。俺は「それに比べて宮ノ下さんが組んだプログラムをどう思いますか?」と聞いてみた。宮ノ下和宏は少し沈黙して後「今回、水嶋さんに依頼されたプログラムは簡単だと思っていましたが、ここまで気を配ってセキュリティーを考慮しながらも、これほどシンプルなプログラムにする難しさがわかりました」と言った。俺は「とりあえず、今回、宮ノ下さんが仕上げたプログラムはこちらが最後に少し修正して完成とします。ただ、ちょっと休憩室で話しましょうか」と言った。そして、宮ノ下和宏を先に休憩室に行ってもらい、俺は西浦真美に”休憩室に来て!”とメッセージを送った。すると西浦真美から”わかったわ!”と返信がきた。
休憩室に行くと宮ノ下和宏が座って待っていた。俺は「おまたせしました」と言って宮ノ下和宏の向かい側の席に座った。そして西浦真美も休憩室に入ってきた。俺は「宮ノ下さん、ちょっとお話したいことがあります」と言って話を切り出した。
「宮ノ下さんは、たしかにサーバーやプログラムの知識が豊富で技術もそれなりにあると思います。ただ、昨日の設計書を見た時からずっと思っていたことがあります」
「なにを思っていたのでしょうか?」
「宮ノ下さんは知識や技術に頼りすぎていて、技術力について勘違いしているということです。今回、私が依頼したサーバー自動化のインストーラーのプログラムを組んでわかったと思いますが、セキュリティーをしっかり考慮しながら、シンプルかつ誰が見てもわかるようなプログラムを組むのはかなり難しかったですよね?」
「はい。それにかなりあらゆることに気を配らないといけないこともわかりました」
「いろんな意見があると思いますが、私が思うのは、あらゆることに気を配りつつセキュリティーをしっかりした上で、いかに誰が見てもすぐわかるようなシンプルかつ無駄のないプログラムを組めるか、それこそが技術力だと思っています。ところが宮ノ下さんは幅広い知識だけを広げてそれを技術力だと勘違いしていたと思います」
「それは、今回、水嶋さんに依頼されたプログラムを組んでいて気づきました。最初は細かいことを言う人なんだって思っていましたが、そうじゃないってことがわかりました」
「それがわかってもらえただけでも良かったです。おそらく宮ノ下さんは行き詰っていたんだと思います。このままだと技術レベルが上がらないと・・・でも、今回の経験からこれから技術向上のためにすることが見えたと思います」
「はい!私は心のどこかで優越感に浸っていたと思います。恥ずかしいです。プログラミングの世界は深いんですね」
「アプリケーション事業部での開発プログラムも同じことなので、これからも頑張ってください」
「はい、頑張ります!水嶋さん、今回はいろいろとありがとうございました」
「私からは以上です。西浦さんから何か言うことある?」
西浦真美が宮ノ下和宏の肩に手を置いて話しはじめた。
「宮ノ下さん、技術向上も大事ですが、仕事をもう少し楽しくやりましょう」
「そうですね。楽しくするのがいいですね」
「今回、わたしは他に何も言えることはないんだけど、今の部署でも考え方を変えれば楽しくなってくると思います」
「はい。今回のことで考え方が変わりました。今の仕事のやり方も変えるようにします。では、そろそろ私は戻ります」
宮ノ下和宏は俺と西浦真美に一礼をして休憩室を出た。
「西浦さん、これでおそらくこっちは解決したね。もう宮ノ下さんは赤色に光ってなかった」
「そうね。でも、水嶋君の彼女さんのほうはどうなったのかしら?」
「莉奈のほうはわからないけど、もしあっちも解決できたら今回のこの現象は終わると思う」
「今回は厄介なことにならなくてよかったわ」
「そうだね。今まで起こった現象みたいに危険はなかったから本当によかったよ」
「この先が心配なのよね。水嶋君の彼女さんが変な現象に巻き込まれると一人で解決させないといけないのよね」
「それは俺も心配だけど、なんとか乗り越えていくしかないね」
「現象が本当に終わったのかしら?いつものように頭の中で何かが光って心の中に入ってこないのだけど・・・」
「おそらくまだ莉奈のほうが解決できてないのかもしれない。とにかくもう少し待つしかないね」
「そうね。じゃあ、わたしはそろそろ戻るわ」
「うん。じゃあまたね」
西浦真美と話が終わって、俺も自分の席に戻った。宮ノ下和宏が組んだプログラムを少し修正して、勤務時間終了の19:00になった。俺はさっさと会社を退社して帰宅した。
自宅に戻って夕食を終えてシャワーを浴びた後、部屋に入った。しばらくすると莉奈から電話がかかってきた。話を聞くとどうやら莉奈のほうも解決したらしい。
「莉奈、今回はよくがんばったよ」
「うん。祐樹君のほうも無事解決させたみたいだね」
「これからも何か不思議な現象が起こるかもしれない。そうなった時に莉奈に危険が及ばないか心配だよ」
「わたしは初めて不思議な現象を体験したけど、危険なこともあるんだ?なんか怖いな」
「でも、莉奈の危険を感じたら、俺は真っ先に助けに行くからね」
「うん。ありがとう」
莉奈と電話で話していると頭の中でコーラルピンクと薄いピンクの二つが光った。そして頭の中にある緑色の光と合わさって心の中に入っていく感じがした。
「莉奈、今、頭の中で何か光らなかった?」
「光った!ちょっとびっくりした。頭の中で濃いピンク色と緑色の二つが光って、頭の中にある薄いピンク色の光と合わさった。なんか心の中に入ってくる感じがした」
「それが現象の終わりだよ。俺と西浦さんの心と莉奈の心が合わさった瞬間なんだよ」
「そうなんだ。なんだか心の中で強くなったというか、自信がついた気がする」
その後、莉奈といろんな話をして電話を切った。今回の光色感情受信現象はこれで終了したようだが、この先にどんな現象が起こるのかわからない。2033年から送られてきたメールでは莉奈に起こる現象は厄介ではないと書いてあったが、その先のことは書いてなかった。それに10月になったが、まだ2033年からのメールは送られてこない。この先、何があるのかわからないが、なんとか乗り越えていくしかないだろう。そう思いながら俺はベッドに横たわって知らない間に眠っていた。




