第14話 不登校編 リセットボタンを押せばいい
「ウルセーのが一匹いなくなって、せーせーしたわ、、」
完全に物言わぬ鉄の塊となったネコロボを前に、モチオはなおも強がった。
モチタ「まだ、そんな事言ってるのか!!!!」
感情を剥き出しにして、モチタが激しく怒った。
がり勉猫「そうですよ! モチオさん、ネコロボはどうしてここに留まると言って聞かなかったか分かりますか?」
モチオ「しらねーわ……。さみしんぼーじゃねーの!」
がり勉猫「あなたへの最後のメッセージを、貴方は分からないんですか!!!!」
モチオ「・・・・・・・」
モチオは言葉に詰まり、視線を落とす。そんな彼に、モチタが涙ながらに叫んだ。
モチタ「リセットしてほしいんだよ!!! モチオにも!! リセットしてやり直してほしいんだよ!!! もう一回……もう一回、あの時のモチオに戻ってほしいんだよ!!!」
がり勉猫「辛い記憶なんて消えないでしょう。苦しい記憶は消えないでしょう。でもネコロボはあなたに知ってほしかった」
リセットする大切さを――。
リセットする勇気を――。
モチタ「がり勉猫、もう行こう……。もう負けでいいから!!! 僕たちもリセットする! だから……」
がり勉猫「モチオさん……貴方にも……リセットする勇気を持ってください!!! ネコロボのように!」
モチオ「・・・・・・・・・」
重い沈黙が流れる。
すると、二人は顔を見合わせ、まるで最初から何もなかったかのような、どこか不自然で、けれど温かい茶番劇のような会話を始めた。
モチタ「あああ、今日は日曜日だね……。天気もいいし、バーベキューなんてしようよ」
がり勉猫「いいですねー--! ナイスアイデアです!!!」
がり勉猫「あ、モチオさんもそろそろ支度して、いつもの庭にきてくださいね……」
モチタ「そーだよ……本当に……。モチオは休みになると、昼まで寝ちゃうんだから!」
がり勉猫「私達は先にいってますからねー」
モチタ「じゃーね……あとでねー-」
二人はそう言って、優しく微笑みながら暗い部屋を去っていった。
しばらくの間、ただただ沈黙だけが部屋を支配した。
これまで、あれほどまでに自分を引っ張り出そうと騒がしかったのに。
モチオはぽつんと一人、機能を停止したネコロボの姿を見つめた。
クミに金属バットで殴られ、ボコボコに凹んで変形してしまった鉄の顔。
だけどその顔は――まるで優しく笑っているように見えた。
モチオ「……、……っ」
モチオは、クスッと小さく笑った。
ネコロボのボロボロの顔がなぜか笑って見える。
本当に変だよな……。そう思った瞬間、堰を切ったように、
モチオの瞳から大粒の涙がボロボロと溢れ出した。
黒く塗りつぶされたクラス写真や、引き裂かれた思い出。
そのすべてを洗い流すように、モチオは静まり返った部屋で、ただ一人、激しく涙を流し続けた。
モチオは散乱した部屋から破られた一枚のクラス写真を拾って、、、、
ゴミ箱に捨てた。
そしてカーテンを少し開けて 窓を開けた。
いつもであればその音に驚いてスズメは、みな去っていくが、
1匹のスズメだけは電線でとどまり 首をかしげながらモチオを見つめていた。




