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まあそんなこんなで、慈善パーティーに行く際は同伴者に婚約者候補をそばに置くだけではなくエルヴェも連れて行った方がいいだろう、ということになった。
普段は護衛騎士かデリアについてきてもらうんだけど……例の〝悲劇の恋人〟たちの顔と現状を理解しているエルヴェが適任だろうと思ったしみんなもそう認めてくれた。
例の悲劇の恋人たちに関しては、勿論フォルティス様も当事者(?)なので大体誰かはわかるらしい。
ただ家柄と事情を話すと、みんな微妙な顔をした。
そりゃそうだよね!
揚げ物ソースが原因だもん!!
(とはいえ、食について関与するのは大体余計な火種になりかねないから……)
目玉焼きに塩か醤油かケチャップか。はたまたマヨネーズか?
そうした争いは前世でも延々行われていたと聞くし、その当時は『大の大人がなにやってんだよ』と思いつつも私も一人暮らしで自分の好みで食べられるの最高! ってなったしね……。
目玉焼きは半熟。譲れない。
でも他人に強要するつもりはないよ!!
(食の拘りはあってもいいし、むしろあるべき。でもお勧めするくらいなら許容範囲だろうけど押しつけちゃ駄目だよね! ……私も気をつけよ)
つい知らず知らずやっていた結果があの揚げ物ソース戦争なのかもしれない。
人の振り見て我が振り直せとも言うし、気をつけねば。
「……今日は穏やかだといいなあ……」
「あ、あは。こ、このところ、パ、パーティー続き、で、ですけど……ア、アリアノット様、は、お疲れじゃ……ない、ですか?」
「大丈夫、ありがとうピエタス様。私よりもみんなの方がいつも忙しくしているから心配だよ」
「ぼ、ぼくらは……た、楽しくやって、ますよ」
「そう? ならいいんだけど……」
仕事が楽しいとか大丈夫か?
ブラックにならないように気をつけないと……思ったけど、これまでの彼らの生活環境を考えたらある程度好き勝手に動き回って自分の実力を発揮していいこの状況は、彼らにとっても望ましいものなのだろう。
私がそのきっかけとなって、彼らの世界が広がるんならそれはとても素敵なことじゃなかろうか?
(……でもいつかは誰を婚約者にするか、決めないと……)
彼らのやりたいこと、それがもしもここに留まっていてはできないことなら応援したいと素直に思っている。
ちゃんとした理由があって送り出すというのなら、父様だってむしろ後援に回ってくれることだろう。
有能な人材が帝国に結びついているなら、皇帝としても利があるわけだしね!!
(まあそれで全員旅立ってしまうと私が困るわけだけど……)
そういう意味では、ユベールはなんの躊躇いもなく残りそうなんだよな。
彼にとっては魔国よりも帝国が故郷だし、私と過ごした時間もあるから兄様たちも彼にはすごく好意的だし……。
(……ユベールに、決めちゃえばいいのかな)
昔から知っている、その安心感だけででも決めて良いんだろうか?
ユベールはいいと言ってくれるだろうが、それってでも彼にとっても依存みたいなものじゃなかろうか。
彼が本当に『好きだな』って思える人が現れた時、それって困るんじゃないの?
(……自分の恋愛能力のなさが恨めしい……!!)
依存でもお互い想い合えるならいいじゃない、と恋愛小説なら思えるかもしれないが現実として捉えた時に、それでいいのか? が先に来てしまうこのジレンマ。
政略結婚ありきの世界なんだからいい加減そのあたりは割り切らないといけないと思っているのに、前世の『恋愛結婚して幸せな家庭を築きたい』という気持ちが一ミリも譲ってくれないからこれまた困るのだ。
いっそのこと、前世の記憶がないとか、あってもそういう拘りに対して気楽に構えることができたなら良かったんだけど……世の中って上手く行かないもんである。
「き、今日は……各地の、貴族たち、の中でも、慈善事業に興味のある、人たち、です。より、興味を持ってもらうために、が、が、がんばりましょう!」
「うん、そうだね……!」
ピエタス様がぐっと拳を握る姿が可愛い。
この一生懸命な姿に、実は貴族のご婦人方が可愛いものを愛でるお気持ちでファンクラブを作っているとかいないとか……。
気持ちはわからんでもない。
ちなみに作者は目玉焼きは半熟で醤油と七味をかけるのが好き。マヨもいいよね……




