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末っ子皇女は幸せな結婚がお望みです!  作者: 玉響なつめ
第二十四章 可愛いは世界を救う……のか?

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 疲れ切った顔のフォルティス様と、ちょっと顔が赤かったであろう私が庭園から出られたのは、そこから三十分は経ってたんじゃなかろうか。

 私たちの姿が見えないから探す声が聞こえ始め、庭園にいたあの例のカップルも見つかるかも! ってなったらしくそそくさと退散したのだ。


 いやあ、本当にあれは……うん、人のいちゃつきを見せられるって恥ずかしい……。


(今後の自分の教訓にしよう……)


 デートはいいけど誰がいるかわからないところでいちゃつくのは危険。

 覚えた。しっかり心のメモに刻んだ。


 フォルティス様は……あれよね、思春期まっただ中の男の子にとってはもう興味津々と羞恥のせめぎ合いなんだろうなあ。

 わかるわかる。

 私も今は十才だけど、前世で思春期の時代を経験しているからね!


 とはいえなんかそういう雰囲気にあてられたっていうの?

 初デートってほど初々しくはないけど、そこそこ意識して出かけたデートで見た映画にいきなり生々しいベッドシーンとかが大画面でババーンと出てきて気まずくなっちゃうあんな感じよ。


 お陰で他の婚約者候補たちにまで「二人とも、何かあったの?」って心配されたわ!!

 かといって勝手にあの恋人たちの話をするのも気が引けたので「庭園でちょっとした修羅場に遭遇して……」とだけ言っておいた。


 気の毒がられた。

 いやほんとそう。


(……フィーリアと、マシューか)


 なんとなく覚えてしまった。


 私はエルヴェにあの日の参加者にその名前で該当する二人を探してもらうことにする。

 これといって理由があるワケじゃなくて、なんていうか……なんでだろ?


 とにかく気になったのだ。


(次に同じ名前が参加者名簿にあったら、庭園にだけは行かないようにするためだよ、うん)


 その言い訳が苦しいって自分でもわかってるよ!

 ただまあ本当に悲劇の恋人なのかどうかをちょろっとだけね、確認してね。


 最終的に心中コースとかだったらやっぱり後味が悪いっていうかね?

 本人たちだけが盛り上がってるだけならいいけどね?


「人の恋路を邪魔すると悪鬼(オーガ)に心臓を抜かれて食われちゃいますよ」


「えっなにそれこっわ!?」


 人の恋路を邪魔するヤツは、までは一緒だけど残りが相当おかしいな!?


 とはいえ別の世界のはずなのに、似たような言葉があるって部分は共通しているんだなあ……ハハッ、おもしろーい。


「別に邪魔するつもりじゃないよ!?」


「ええ~ほんとに~? こんな面白そうなのに」


 思わず乾いた笑いが出たところでキッとエルヴェを睨めば、エルヴェは楽しそうに笑った。

 全くこの子は! 悪びれない!!


「面倒なカップルが近くにいて巻き込まれたら厄介でしょ」


「それはそうかも。えっなになに、そんな感じだったの?」


「なんか悲劇の恋人たちって感じだった」


 エルヴェは軽いノリで話せるのに秘密は守ってくれるからついペロッとしゃべれちゃうよね。

 いけないいけない、気をつけないと。


 とはいえ、厄介に巻き込まれるのも困るのは事実だ。

 二人が悲劇の恋人という環境に酔っているだけなら別にこっちを巻き込まない限り放置でいいと思う。


 さすがに心中コースだったらなんとかした方がいいかな……とは思うけどね!


 でも今回みたいにどこぞのチャリティーであの人たちが悲劇の恋人として逢瀬を重ねて面倒事を起こすようなら、事前に潰していかないとこちらの事業にも影響が出そうでしょ?


 聖女で皇女の初事業、ケチがついたら困るんだよお!

 利己的な理由でごめんね!!

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