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メディーテー神殿はメディーテー様の聖女として認められた私の味方か? と問われると、やはりそこは難しい問題だ。
敬虔な信徒である程に勿論、メディーテー様の恩寵を受ける私を神聖視する傾向にあるのはそうなんだけど……やっぱりね、そこはそれ。
人間が人間として、生きるためには横のつながりや利権問題ってのがどうしたって切り離せない部分である以上、あれこれあるのだ。
そして聖女が現れてしまうと当然ながら、神殿の上位にいる人たちにとって喜ばしくもあり、疎ましくもあるのだ。
これまで教会の偉い人からしてみれば、『教会の偉い人』ってだけで貴族たちがこぞって教えを請うたりするわけよ。
それは特権階級だからっていう大きな理由だよね。
神の前に人は平等かもしれないけど、それを教える神官たちにだって序列があり、人数はそれぞれに絞られるためにどうしたってそういう対応が出てくるのだ。
一般の、いわゆる平民の人たちが対応してもらうのはほぼ一般神官であり、たまに高位神官、祝祭の日なんかに司祭、大きな説法のある日に高位司祭ってな感じで上の位にある人ほど会えないもんである。
そこは貴族と構造が似ているかもね!
ただまあ、貴族はその血筋だけど神官たちは建前上、その信仰の深さってことになっているってのが大きな違いか。
(とはいえ、貴族出身で出家した人たちは貴族とのつながりも残っているからこそ特権階級のあれこれがどうしたって生まれるもので……)
献金その他、ただの神官に比べてあまりにもチカラってもんがある。
いや勿論貴族出身だからってそんな手段を使う神官ばかりじゃないよ!?
叔父様みたいな事情持ちや、敬虔な気持ちで出家した人だって大勢いるのでやはり十人十色、人間だもの!!
なので、慈善パーティーはそうした人たちが大勢集まるのだ。
貴族たちは本来の意味での慈善を行うための人もいれば、己の悪行を少しでも寄付という善行で補い神様へのご機嫌取りをしたいという人もいる。
高位司祭とのつながりという人脈を自慢したい人もいれば、そういう人を利用したい人だの……あれっ、なんか碌でもない人たちばっかりに聞こえるな?
心から信仰している人だっているよ! 多分!!
「……それにしたって人がいすぎだよね……」
慈善パーティーと聞いていたけど、人が多くて挨拶が絶えなくて、早々に私は疲れてしまった。
勿論全部に対して笑顔で対応したけどさ……。
フォルティス様がかなりガードしてくれたけど、それでも相当な数だったよ。
大国の皇女、かつ聖女。
そんな私とお近づきになりたいって人がどんだけいるのかって改めて思い知ったというか……中には私がこれからやろうとしている事業を聞きつけて乗っかろうって人もいたので、そういう意味でもこれからは人を見る目が試されそうだ。
今日は日中のパーティーなので広い庭で行われるスタイル。
綺麗な花々の垣根に隠れてしまえば休憩ができるようになっている。
なっている……のだが、同時にそれって恋人同士の秘密の逢瀬なんかにも使われるのが定石だと私も聞いたことがある。
人が多くて疲れた私をフォルティス様が連れ出してくれて、そこは大変ありがたかった。
ありがたかったけど、さあ。
二人して固まっちゃったよね。
「ああ……どうして私たちは敵対する家に生まれてしまったのでしょう」
「そんなに嘆かないでくれフィーリア。ぼくらがこの困難に立ち向かい結ばれれば、両家の蟠りだっていつかは溶けてなくなるさ」
「でも私のお父様の頑固さはあなたも知っているでしょう、マシュー! 四代に亘り不仲が続いているのよ……無理よ、絶対に認めてなんかくれないわ!!」
隠れてジュースを飲んでたら、なんか禁断の関係らしい声が聞こえてくるなんて思わないじゃん!?
わっと泣き出してしまった女性を宥める男性の声を聞きつつ、私とフォルティス様はいたたまれない気持ちになったのであった。




