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婚約者候補たちと腕を組んでパーティーなんかに出ることは、それなりに慣れてきた。
正直、ちょっと前までは皇女って立場とイケメンな兄たちの顔面偏差値に圧倒される日々で意識が足りなかったわけだけど、エスコートを身内以外にされるのって本当に……本ッ当に!
照れくさいんだよなあああああ!!
身内でもこう言っちゃなんだけど、兄様たちがみんな年の離れた兄なもんだから安心感がパねえっていうか……。
それがいざね、同い年前後でその上かっこいい。
そんな将来の旦那様候補ってなると違うじゃん……?
いつかこの人と結婚してこうやって歩くのが当たり前のなるんだなあ……とか思っちゃうわけじゃん……。
(……表向きお澄まししてイケメンに傅かれて当然! って顔しろってパル兄様には言われたけどさあ……)
それもどうなんだ? 人として。
そう、人として。
いや聖女として……?
皇女としてはありなのか……!?
(それにしても覚える相手が多すぎるわ……)
どの派閥の貴族でつながりがどうの、その中でもあの貴族はどの宗教、そっちの貴族は宗教は形だけ……とかありすぎなのよ情報。
私が把握しなくても周りが全部やってくれるっちゃやってくれるんだけど……。
(それでいいのかって言われたらそうじゃないよねえ)
全部を自分がやる必要はないし、適材適所は基本中の基本。
私はお金を出して、方針を打ち出す。
そして人材と資材、環境を整える……。
「そこまでの段取りを周りに頼って、何かあったら責任を持つ、かあ……」
言うは簡単なんだよねえ。
でもその〝責任〟の二文字があまりにも私には大きすぎる。
勿論、その責任については色々考えた上で『皇女で聖女になる!』って宣言したから、今更って言われればその通りなんだけど。
「どうした? アリアノット姫」
「ううん、なんでもないですよフォルティス様」
慈善パーティーは決していい人の集まりではない。
巨額が動くのには理由があるのだ。
いい人の顔をしたい人、それを理由に事業に参入して技術を得たい人、単純に人とのつながりを作るための捨て金にしたい人……。
そこから私にとってよりよいお付き合いができる相手を見つけなくちゃならない。
(みんな何枚仮面を被っていることやら!)
私のしようとしていることは、この世界では破天荒な類いに当たる。
そのため、彼らもまた私を見定める。
単純な反発だってある。
たかが子供、たかが女、皇女として守られているだけ、傀儡……いろんな声が聞こえてくるよねー。
「さあ、今日はどんな人がいることやら……!!」
どうか面倒な人がいませんようにと思いつつ、私はフォルティス様のエスコートで会場に向かう。
「……今日一番話をしたいのは、メディーテー神殿の司祭長だ。本殿ではなくヴェイトスにある神殿からわざわざお越しで、人間族至上主義と言ってもいい。……おそらく、おれがエスコート役だから嫌味を言われるだろうがスルーしてくれ」
「……わかった」
「表向き、メディーテー神殿の人間とは交流する姿勢は崩せない。姫が聖女である以上、あちらも姫には失礼なことをしないはずだ」
「……うん。ごめんね、フォルティス様……」
ヴェイトス出身のピエタス様が適任ではって話も合ったんだけど、持ち回りでもあるし、逆にピエタス様がいるからヴェイトスに有利に話を進めようとすると思われても厄介だってことで、フォルティス様がエスコートをしてくれた。
でも嫌味を言われるのは、誰だって嫌だ。
それがどんなに丁寧な言葉でも、嫌味は嫌味だから。
思わず私が謝ると、フォルティス様は笑った。
「バカ言うな。これからも姫の隣に立つならば、この程度撥ね除けられなきゃだめだろう?」
ひぇ、私の婚約者(候補)がかっこいいよお……!!




