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末っ子皇女は幸せな結婚がお望みです!  作者: 玉響なつめ
第二十三章 新たなる聖女、そのお披露目

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 陽の光を浴びるとまるで虹のような複雑な色味を見せる衣装に身を包んだ、可愛らしい皇女の姿に民衆は歓喜に沸いた。

 その脇を固める少年たちに守られる中で慈愛に満ちた表情を浮かべるその姿は、神々しく、神に認められその英知を地上に与える役割を担ったのだと囁かれるその御方こそ――


「やめやめやめ!? 新聞朗読するのやめよ!?」


「いいじゃありませんか。民衆の目にもよく見えたということは今回のお披露目(・・・・)が間違いなく成功であったことを示すのですから」


「そうは言うけどデリアこれは恥ずかしいよ!?」


「あらあら。エルヴェの朗読の質が良くなかったんですかね……」


「ちょっと聞き捨てなりませんよデリア先輩。俺の美声のどこがだめなんです?」


「誰が読み上げるかの問題じゃなくて、読み上げることの方を問題視してるんだけど……!?」


 そう、パレードは大成功に終わった。

 終わってくれて良かった、本当に成功で終わってくれて良かった!!


 もう奇跡なんて起こせるわけでもないので民衆から何か求められたらどうしようかって心臓バックバクだったわ。

 微笑んで座って手を振るだけでいいからねって言われてはいたし、ところどころ兄様たちが仕掛けをしておいてくれたのかなんか派手な演出もあったし……。


 正直なところ緊張しっぱなしで前ばっか見てたから他に記憶がないっていうか。


(……私、目立つことに慣れてなさ過ぎでは……?)


 それでよく聖女になろうって言えたな、過去の私よ。

 いやいや前世から考えても日陰の存在だったことは否めないし、今世も父様が顔とか全部隠しての公務を望んでたからそういう意味で目立ってはいたけど顔出しとはまたこう違うって言うか。


「……慣れなくちゃ」


 脱箱入り娘!

 そうだよ、これからは前に出て行かなくちゃいけない場面も増えることだろう。


 いちいち緊張して固まっていてはどうにもできないではないか。


「今後の公務は、ベールなしでやっていかないと……!」


 お披露目もしたから、以前のようにベール付きで公務なんか行ったら影武者寄越されたとか思われても困るしね。


 ベールを外すことで兄様たちに比べ地味だなとか言われることも覚悟の上で、今後は『聖女』として堂々としていかないといけないのだと自分でも決めたんだから。


「……あと、婚約者候補を連れて歩けば各派閥に対してもちゃんと交流が上手く行っているアピールになるかな」


「どうでしょうねえ、どっちかってーと進展がないって思われそうですけど。まあ聖女ってお立場が増えたので、利用できる幅が広がったと見ているかもしれませんよ」


「まあそれはそうなんだけど……それはそれで時間稼ぎができる」


「わあ、ひめさまってば悪いカオしてる~」


 彼らの将来のことを考えれば早めに結論を出すべきだとは思いつつ、今はあれこれ忙しすぎて自分の婚約については正直はっきりこう! とは言えないんだよね。


 いやまあ恋愛に対してはね?

 興味津々だし?


 なんだったらね、彼らとデートは楽しかったのでもっと行ってもいいかなって?

 ちょっとはね? 考えましたよ!


 だからそういう意味では私の情緒も無事に成長していると思うので、もうちょっとだけ待って欲しいのだ。

 なんたって私は十才の可憐な少女なのだから!


 ……でも私が五年待たせたら、年長組は二十才になっちゃうんだよな。

 少なくともあと二、三年の間には結論を出せるようがんばろ!!

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