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みんなにも勿論、話をしたよ。
兄様たちに話を通してからになっちゃったけど……。
かなり衝動的な行動を取ったことは認める。
でもあの時はすぐに医務局長に相談しなきゃってそればっかりが頭にあってさ……って言い訳にしかならないかあ。
オルクス兄様からも『彼らがそれで拗ねたらどうするんだ?』ってお説教されちゃったし。
うん、反省しております。
でも彼らはそんな私を許してくれて、むしろ私らしいって笑ってくれたよ!
優しいね、私の婚約者候補たちは……!
(でもそれって私が猪突猛進タイプだって思われているってことでは……? いやいや、気にしたら負けだよね!!)
特に、フォルティス様とユベールは市井の……それも貧民街の人のためになるって言葉にとても感銘を受けてくれたみたいで、すごく褒められてちょっと背中がムズムズした。
ピエタス様は『聖女としてすでに民のことを考えているなんてすごいです!』って言ってくれたし、サルトス様も『雑草が薬になるなんて、きっとこれを育てることが今後人々の雇用に繋がると思うよ』ってさらに先を見据えたことまで言ってくれて思わずなるほどって思っちゃった。
まだまだ私には先を見通せるだけの知恵はないらしい……。
くそう。
とにかく現段階で有用性はオルクス兄様も理解してくれて、医務局長に薬を作らせて患者を選定した上で治験を進める方向にまとまっている。
その結果をアル兄様が魔道具で検査した上で特殊な魔力が芽生えているかどうかチェックできたら、本格的に事業として動くことになるのだろう。
そしてその事業についての計画を私と、みんなとで考えて、オルクス兄様に提出した後に父様の認可をいただくのだ。
「じゃ、じゃあもう一度情報をまとめましょう。こ、今回の主役となるや、薬草は、生命力が強く、て、帝国の国内の、ど、どこでも見かける雑草です」
「事業として成立した後も安定した生産は見込める……というか、草むしり感覚でも手に入るんじゃないか? 量によって金銭を渡す形でもいい気はする。町にそういった依頼をする業者もいるんだろう? 珍しい薬草を採ってくるとか、そういう……」
「だからといって乱獲になって絶滅……なんてオチを迎えたら笑えないだろう。それに、薬になったからといって効能を高める品種改良や、その他の病気に効くかどうかも試していくことを考えれば専門の畑を作る方がいいと思う」
「そうだね、育ち方で効能が違うかどうかの確認もしなくちゃいけないと思うし……各地での差も確認した上で、一定の品質を保つ方が薬としては役に立つんじゃないかな」
わーあ、みんな考えてるなあ……。
私なんて雑草が薬になった!
元気になった人が才能あるから雇用に繋がるよやったね!
くらいの感覚だったんだけどな……。
(でも確かに、畑となれば人が必要だから雇用が生まれるよね。それこそ逞しい植物のようだから、素人から始めてもらってもなんとかなりそうだし……)
魔力暴走から救われた人の全員が特別な能力を得るわけじゃない。
そうでない人も、その畑で雇用さえできれば貧民街の人たちが減っていくんじゃないだろうか。
それは甘い考えかもしれないけど、理想はある程度高くあった方が目指しやすいと思う。
低く設定するとすぐクリアしちゃうから、ちょっとだけ難しくね!
高く設定するといつまでも追いつかなくてしんどくなっちゃうから、ほどほどって大事だよ!!
前世でそう思ったんだから間違いない。
最初からハードルを高くしてはいけないのだ。
「じゃあ、まずは植物学の教授に話を聞いてみようよ。雑草って一口に言っても図鑑に載ってる情報があるわけだし……私たちが知らないこともあるかもよ?」
「魔力風邪の特効薬だってことみたいに?」
「そう!」
「じゃあ植物関連なら僕が聞いてこようかな。今後図鑑に書き足すことも含めて、相談してくるよ」
「サルトス様、ありがとう!」
まあ貧民が切り捨てられるのは、弱肉強食の定めみたいなところはどうしたってあると思うんだよね。
前世だって、お金持ちの方が余裕はあった。
私も一人暮らししてお給料をもらった時に〝自分のお金〟ってものでほしかった物が買えるという体験があって、始めて余裕ってものを理解できた気がするもん。
あ、いや、決して食うに困った生活をしていたとかそんなんじゃないので比べるなよ! って言われたらその通りなんだけど……ううん、大変センシティブー!
「治験の協力者を募って選定するのに一週間くらいは必要だって言っていたし、医務局長もレシピを元に作るなら新薬開発じゃないから少量ならそこまでかかんないそう。安全性の確認にどのくらいかかるかはわからないから、そっから投薬計画とかを立てるってオルクス兄様が言ってた」
「で、では、ぼ、ぼくが、時々、医務局をた、訪ねて、みます!」
ピエタス様がにっこり笑って言ってくれた。
最近すごく生き生きしてるね?
いや楽しそうなんでいいけど……私のせいで忙しくしているからネガティブになる暇がないのかもしれない。
「それとアル兄様がなんだか心当たりがあるって言って、検査用の魔道具を作るって言ってくれたけど……いつもみたいに閉じこもって夢中にならないかが心配よね」
「それはおれが気にかけておく」
フォルティス様がうんと頷いてくれた。
いまだに先祖返りのアル兄様は、みんなから敬遠されがちだから助かるう。
柴犬可愛いやろがい!!
「あとは……えっと、後は?」
「もし特殊な魔力を得た人がいたとして、その人をどう有効活用するかのシミュレーションが必要じゃないのか? 雇うにしたって教育が必要だ。魔力のコントロールだけじゃない、教養も必要だろう」
「そっか……そうだよね」
「だから俺が参考になりそうな予算案とかについて、オルフェウスに問い合わせてみるよ。魔力の問題ならあっちの方が詳しいから」
「ありがとう、ユベール……」
たまには王族の権力を活用するって笑ったユベール。
きっとユベールから連絡が来たら、ツンデレな皇太子殿下が大喜びするね! きっと!!




