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「なんと、まことですか?」
「うん。メディーテー様の本にそうあったの」
「おお……!」
どよめきが起きる、まあそりゃそうか。
これまで魔力風邪にかかる平民は切り捨て対象だったし、損害はないどころか貧民が篩いにかけられるくらいの感覚だったと思う。
少しひどい言い方かもしれないけど、それがこの世界における貧富の差だ。
弱者は淘汰されていくし、増え続けても全員を救えるわけでもない。
そしてもし自然に魔力風邪から生き残ったとしても、特殊な魔力を身につけたかどうかなんて誰もわからないのだ。
だって〝特殊〟だし、平民はそこまで魔力を持っていないから魔力の取扱についてそう学ぶ機会もないというのだから!
稀に下位貴族が嫁いだ先で隔世遺伝的に魔力の多い子供が生まれた場合もあるけど、貧民でもない限りはそれ相応に学び舎なり家庭教師なりを見つけて対処するのが一般的らしい。
(でも、その魔力風邪が〝才能〟という価値の示し方になったら)
たとえば、家族のうち一人が魔力風邪にかかり生き残り、特別な才を開花させたら。
その人がそれを活かして、家族を養うことができたら?
貧民から脱する可能性が生まれて、貧民街も改善されるのではないか?
「長期的な話になりますな」
「そうだね、でも何もやらないよりずっといいと思うの。もしこれが成功の種になるなら、国家としても才能を未発見のまま終わらせないで済むってことでしょう?」
「さようですな」
雑草と思われていた草から作る薬。
貧民の救済。
上手く行かなきゃ皇女様の独り善がりな慈善(笑)ってされる可能性もある。
だって特殊な魔力とは書かれていたけど、それが有用かどうかなんて誰にもわからないもの。
そもそも〝特殊〟って本には書かれていたけど、それ以上の情報はなかったし……どう特殊なのか、魔力の特性調査で判断できるものなのか?
そういったことも調べなくちゃならない。
やることが多くてめげそうだなって、医務局長と話していて思わずにはいられない。
でも、折角偶然見つけたこの情報。
どうせなら人命救助でレアな人材ゲットになったら、人道的にも国家的にもプラスになるんじゃないのかな? と思った次第。
「……まずはオルクス兄様とアル兄様に相談かなあ。医務局長には悪いのだけど、このレシピで薬を量産するとしてどのくらいの予算が必要になるのか試算して書き起こしてもらっていい?」
「承知いたしました」
魔力の計測に関しては魔道具を使うのが一般的だから、アル兄様に相談するのは当然だ。
そしてちょうど王都の貧民街についてオルクス兄様が頭を悩ませていたことを思い出したのだから、きっと相談したらいい知恵を貸してくれるに違いない!
「……よーし! やるぞー!!」
たまたま使い方を試すついでで調べた結果がまさかこんなに有用な情報に繋がるとは思わなかったけど、これでいい人材も育てば奇跡を起こせない聖女でもちゃんと役に立つって証明になるんじゃないかな?
そしたら今後、聖女って呼ばれる人たちの立場ももっともっと良くなるかもしれない。
といっても、これから先を見据えた長期計画である以上は結果が出るのはもっと先の話。
でも私は若いのだ、
これからこれからあ!




