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末っ子皇女は幸せな結婚がお望みです!  作者: 玉響なつめ
第二十三章 新たなる聖女、そのお披露目

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「……なのになんで私はこんなにのんびりしてるのかなあ」


 来賓のリストのチェックとか、礼儀作法の再チェックとかないのか?

 普通こういうのって大忙しなんじゃないの? と思うんだけどさ……。


 そちらについては婚約者候補の四人が担当するとか言って私は完全蚊帳の外。

 いや、負担をかけないように配慮してもらっている、ってのが正しいんだけど。


 でもこう、仲間はずれ感が半端ないんだけど……!


(そもそも、私は本当の意味で聖女ではないしなあ)


 おこぼれで聖女にしてもらった感じだし、奇跡を起こせるわけじゃない。

 まあ、本物の寵児が傍にいたせいで酷い目に遭った補填と言われればその通りなので、ありがたく貴重な本はもらっておくし私がやりたいことのために聖女の名前を利用しても全然オッケーって言われたのは助かるんだけども。


(そういえばメディーテー様から授かった本、開いてないや……)


 必要なことに答えてくれる医術書とは聞いているけど、今知りたいこともないからか一度開いた時には何故か『背を伸ばすのに効くとされるストレッチ方法』が出てきた時はこれが私が望むもの……って遠い目をしてしまった。


 いやうん、みんな背が高いもんだから確かに気にしてはいたんだけどさ……。

 そういうデリケートな心理を見抜かれるのって地味に恥ずかしいんだ……はは。


 そういう意味でも私が〝これが必要だ〟って望めば出てくる可能性を考えて、本を取り出す。

 そして前世の知識からこの世界における〝風邪〟について調べたいと念じてからページを開くと案の定、ずらずらと出てきたではないか。


「うぇ……ちょ、難しい専門用語やめて……!」


 これは医者が読まないとわからないような用語がたくさんあるぞう!?


 私が思わず小さく不満を漏らすと、本がひとりでに震えたかと思うと、今度は絵本レベルになった。

 馬鹿にしてんのか!


 ほどよく訳せ、ほどよく!!


 そこまで理解力がないわけじゃないのよ、ただ専門用語減らすか注釈つけてって話なの。

 論文が見たいわけじゃなくて、対策とか傾向を知りたいの。


 お医者様に相談するにしたってこんな自分が理解できないものを説明なんてできないでしょうが。

 せめて高校生……いやうん、中学生……? くらいにレベルを落としてもらえると本当に助かります。


 しばらくもにょもにょと本が揺れていたけど、文字が教科書みたいな状態になった。

 図解まで入っている。


「おおお……!」


 すごい! これならわかる、わかるぞ!!

 さすが神様がくださった本だなあ。


「すごいねえ、ありがとう」


 ほんの端っこを撫でてお礼を言ったら、嬉しかったのかページが仄かにピンクに染まったんだけど……。


 この本って、もしや生き物なのかな……?


 でもまあ意思疎通ができる(?)ということもわかったし、私がきちんと具体的に要望を出せばそれなりに応えようと努力してくれるってこともわかっただけ大収穫である。


 そして風邪に関してはやはり衛生面でしっかりすることと、この世界では普通の風邪以外に魔力風邪ってものも存在するので、その見極めは初期段階ではとても難しい代わりに重症化前に見極められれば死傷者が減るとあった。


 なんでも魔力風邪はそれにかかると魔力が暴走して死に至る恐ろしい病なのだとか。

 ただ、体が丈夫な人や栄養状態が満ちている人はかかりにくい――つまり、貧困層に起きやすい病気なんだって。


 平民は元々そこまで魔力が高くないから、魔力暴走の危険は身近なものではないとも記載があった。


 そしてこの検査に、庭師がこの間大量に雑草として廃棄品として鶏の餌にしていた草を煎じた物が使われるって書いてあって「ぴゃー!?」って変な声が出てしまった。


 誰もいなくてよかった。

 いや、部屋の外にいたサールスとロッシが覗き込んできたので多分聞こえていた。恥。


 でも何もなかったように私は立ち上がって「医務官のところに! 行きます!!」と宣言したのだった。

 忘れろ!!

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