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末っ子皇女は幸せな結婚がお望みです!  作者: 玉響なつめ
第二十二章 三つ巴ならぬ四つ巴、いや五つ巴?

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224 サルトス編②

 ピクニック先に選んだのは、お花も咲いている原っぱだった。

 今日は私がいるから貸し切り状態だけど、普段はこの農園を訪れる人たちに開放されているエリアだという。


 少し離れたところで放牧されている馬や牛たちも見えるし、大変長閑な光景が広がっているピクニックに最適な場所で人気も高いそう。

 それも頷けるなあー!

 真夏だったら死ぬほど暑いだろうけど、それでも吹き抜ける風の気持ちよさよ……!


「はい、サルトス様。どのサンドイッチから召し上がりますか?」


 私が作ったとかは言わない。

 まあ基本的に料理長が用意してくれた具材を挟むの手伝っただけだし……。

 切ってくれたのはデリアだし、詰めるのも手伝ってもらっちゃったし……。


 でもまあいいんだよ!

 アイデアだけは入れさせてもらったし!!


 コロッケサンドをね……庶民的だって言われてもいい。

 私はこれが前世好きだったんだよ……。


「こうして外で食事も楽しいね」


 サルトス様がそっと目を細めて笑う。

 その姿はどこか安堵しているようでもあって、やっぱり彼はエルフとして自然と共に生きる暮らしを送っていた分、城の中での生活を窮屈に感じていたんじゃなかろうかと心配になってしまった。


 でもそんな私をよそに、サルトス様はサンドイッチを大きな口で頬張った。

 咀嚼して、呑み込んで、次のサンドイッチを手に取る。


「……アリアノット姫が作ってくれたんでしょ?」


「えっ? う、うん。挟んだだけ、だけど……」


「すっごく美味しいよ」


 なんだその色気! 今ここでそれ必要かな!?

 いやデートだからこそ必要か!!


「……城でも二人で会う時間はもらってたけど、こういうのっていいね。僕はこっちの方がいいな」


「え?」


「二人きりで、秘密を共有しているみたいな気分になる」


 少しだけ照れた様子を見せるサルトス様。

 えっ、なんだこれすごい……なんだろう、反応が乙女だね!

 いや勿論私もキュンキュンしていて人のことは言えないんだけどさ!!


 恥ずかしさから思わず俯いちゃったけど、ちらっと見たサルトス様もちょっとだけ顔が赤かったからさらっとすごいこと言っておきながら向こうももしかしたら頑張っていたのかもしれないって思った。

 そう思ったら、もっと照れくさかった。


 んもー、なにこれ!


 で、お昼を食べた後はただ馬を眺めたり、おこぼれを期待してやって来たアヒルたちがパンくずを狙って突っ込んできたり、近くに咲いていた綺麗な花を見ていたらサルトス様が花冠を作ってくれたり。


 私も作り替えしたけど、出来映えに差が……!

 くそう、次は負けない。


(……そっか、次もデートできるんだ)


 ふと、そんなことを思ったら胸が温かくなった。

 きっと私は、私が自分で思っていたよりも、サルトス様との関係を大事に想っていたんだなと気づく。


 私の視線に気がついて、サルトス様は柔らかな笑みを浮かべてくれた。

 いつだってサルトス様は私と目を合わせたなと思うと、笑顔を見せてくれるんだよね。


 その日、私たちは夕暮れの時間までたくさん遊んだ。


「……楽しかったね、アリアノット姫」


「はい!」


「また一緒に出かけてくれる? ……次は僕が考えるから」


「も、勿論です……!」


「良かった」


 夕日を背景に嬉しそうに笑ってくれたその笑顔が、すごくかっこよく見えたなんてことは内緒だ。

 

 そしてサルトス様が作ってくれた花冠は、ドライフラワーになって私の部屋に飾られることになったのだった。

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