第24話 リーシアの武勇談 その3
「それ以降の話については、後で同輩の騎士に聞いた伝聞しかありません。同輩の騎士はたんぽ槍で相手の騎士を散々に突き、叩きのめしたそうです。」
ほうっとみんながため息をついて納得する。だから
「ですから私はその騎士に、倒した騎士に謝るように言いました。ただ同輩は謝らなかったので、散々に叩きのめしました。」
ヨエル公も奥方も思い切り引けてしまっている。
「そ、それはなぜ・・・」
「簡単な話です。同輩は、彼の対戦相手となった騎士を侮りました。私たちが騎士に叙任されたら沓を並べて戦場に立つ、同じ騎士に対して全力を出さずに対戦し、小馬鹿にしたからです。敬意を持って対すべき先輩騎士に対して、ああいう態度はよくありません」
「私の個人的な感覚では、先任騎士は敬意を払うべきです。これまで戦線を支えてくれていた騎士たちは蔑ろにしていい人たちではありません。それと同時に、戦争になった時に一緒に戦う騎士たちから恨まれていれば、戦場で陥れられることもあり得ます。偽情報をつかまされて敵中で孤立させられたり、補給物資が回ってこないことだってあるでしょう。こんなことになっては、いくら私が武勇に秀でたとしても、武名を天下に轟かせることはできません」
「なるほど」
「そうして私は同輩を叩きのめしてから、先任騎士のところに引きずっていき、謝らせました。もちろん形だけの謝罪ではありません。同輩を説得して、なぜ謝るのかをわかってもらいました」
「そうして無事、私たちはミュルクヴィズで騎士の叙任を受けて、騎士となることができたのです」
気がつくと窓の外は暗くなりつつあって、お城の使用人が窓を閉じていっている。
「ああ、こんなに遅くなってしまいましたね。長々とつまらない話をしてすみません」と謙遜しておく。
「いえいえ。面白いお話をありがとう。」とヨエル公。
「続きは夕食の後にでもしましょう」
「ご馳走になります」
そういって、皆で夕食のテーブルに移動する。同じ大広間にはあるのだが、それまで昼食をとっていたテーブルとは違うものだ。
流石にまた新たに豚が潰されることはない。昨日の夕食に出された豚が再び火を入れられ、テーブルの真ん中に置かれる。
ヨエル公に切り分けられた肉を皆でいただいた。




