第23話 リーシアの武勇談 その2
「そこで3人目の騎士様がその手を挙げました。3人目の騎士様は素手での立ち合いを望まれ、私と素手で腕比べをすることとなりました」
「くだんの騎士はあまり馴染みのない構えでして、まずその時点で大いに戸惑いました。両拳を顔の両脇に立てて防御にし、足は多少の前後はあるものの並足で、ぴょんぴょんと跳ねて拍子をとっているというものです」
「対する私の構えは四六式というもので、こう、右前に構えます。そしてシュッシュッと速い突きが繰り返されました。」
「最初はここ、右眉の辺りです。が、その一拍もしないうちに左頬を打ち抜かれ、これは相当きました。目の前がチカチカして、火打石で焚かれたようでした」
ごくりと、一同が唾を飲む音がリーシアにも聞こえた。
「反射的に右腕を引いて顔を守りましたが、これによって更なる攻撃を受けることが偶然とは言えできたんです。そしてそのまま、左の肘を相手の肋に打ち込むことに成功したんです。これで一旦距離を取ることに成功しました」
「それでもあの軽い左突きは手こずりました。こう、こちらが出ようとするとガツン、ガツンと当てられ、出鼻が挫かれます。これが結構効きまして、頭がクラクラしました。」
「そ、それで・・・」とはヨエル公。
「そのままでは私は一方的に殴られて、そのまま倒されて終わっていたでしょう。ですが私は八極拳の斧刃脚を使いました。」
「斧刃脚?」
「斧刃脚というのはこう脚の土踏まずの部分で相手の脛や足の甲を蹴り、そのまま踏みつけて相手の前進を食い止める蹴り技です。これで、相手の出鼻を挫きました。斧刃脚はそういう使い勝手のいい技なんです」
「でも、そういう蹴り技は午前の練習ではしていませんでしたね」
「いいえ。実は実演していたんです。二つ目の套路、つまり連続練習ですが、この套路の出だしの肘打ち技で、こう、踏み込みましたね。これが実は斧刃脚なんです。」
「あ!」
実演しながら説明すると、ヨエル公は目を見開く。
「八極拳に限らず、武術の型、套路というのはこのように変化できるようにできているのです。そしてこの斧刃脚で相手棋士の出鼻を挫き、状態が泳ぐように前に出た相手騎士の顔面に正面から掌打を叩き込みました。これでなんとか勝ちを拾ったのですが、相手騎士を倒した私も限界となって、そのまま倒れてしまいました」
「壮絶ですな・・・」




