女神3
「ははは。滑稽だよな。」
自分は勇者では無かった。いや、勇者でないことなど最初から知っていた。
それでも周りから持ち上げられ、戦って勝つうちに、自分は勇者なのだと、この世界を平和にする存在なのだと思い込んでいた。
自分は道化であり、悪者だった…。
「さて…。」
そんな俺をエリス様は優しく見つめる。あるいは愚か者を嘲笑っているのかもしれない。そんな卑屈な想像さえも出てくる。
それに比べて…はるなと柳川は…。はるなと柳川は…?
「柳川は…俺を倒すつもりなのか?」
俺という悪者を倒すために再び勇者として立ち上がったのか?
だとしてらはるなは?なんではるなは柳川と敵対する?
少なくとも俺やセルレイン共和国に協力する必要は無いはずだ。
「…勇者の証明。それが洋司様に必要なことなのです。」
勇者の…証明?
「だって…そんなの、明らかじゃないか。世界を救ったんだろ?」
「救われたのですか?」
「は?いや、エリス様はが言ったんでしょ。柳川が百年前魔王を倒して世界を救ったって。」
「勇者様、一つ質問です。救うとはなんですか?」
「なにを。」
「死者を減らすことですか?」
「まぁ…。それもあるんじゃないか?」
「だとしたら洋司様は世界を救ったとは思えないでしょうね。」
「なんで、魔物がいなくなって、死者は減ったんだろ!?」
「百年前、世界にはたったの2億人しかいませんでした。年間で魔物に殺される人間の数はおよそ2千万人。そして今この世界には15億の人間がいます。そして、戦死する人間の数はおよそ、1億です。死者数に着目すると、昔より今のほうが死んでいますね。」
「なんだよ…それ…。」
「勇者様。改めて質問をさせていただきます。
魔王を倒し、魔物がいなくなった結果、この世界は人間同士の争いを始めています。その死者数はかつて魔物との戦いをはるかに上回ります。
この現状を見ても、この世界は救われたと、そう言えますか?」




