聖剣7
「火竜!」
先手を取ったのは後ろのはるなだった。
天照ではなく、手のひらから炎の奔流を吐き出す。
柳川はそれを避け、迂回を…させない。俺が回り込む。
はるなの射線を遮らないように動きながら挟み込む。
一閃、十分に迎撃の構えの出来ていない柳川に力任せの一撃を叩き込む。
だが。柳川は的確に片側の剣でパリィしてきた。例の剣が爆発する力を使って威力を増強させ、迎え撃つのではなく弾いた。
同時に重心も落として、俺の剣を回避する。
「火竜。」
はるなが再び炎を放つ。だが今度のは柳川を狙ったものじゃない。
その後ろ、退路を断つ炎だ。
「サンキュー!はるな!」
振り下ろしの一撃、今度は柳川は逃げられない。
それでも。柳川は剣を正確に俺の剣の横腹に当ててそらす。
「ちっ!」
振り下ろした剣を斜めに切り上げる。
今度は動き始めに根本を剣で弾かれた。
斬る斬る斬る。
何度も何度も、聖剣の力を使った、パワーもスピードも、柳川にとって致命的なはずの一撃を、何撃も打ち込む。
なのに。柳川は、それを凌ぐ。回避し、弾き、一歩も下がらない。
汗を流し、息も上がっている。余裕などあるはずもない、柳川の顔には疲労が浮かんでいる。
しかし。依然として柳川はそこに立っていた。
どうして、こいつは倒れない。
剣を振るのをやめる。埒が明かない。
「時間稼ぎのつもりか?それとも何か奥の手でもあるのか?」
柳川は苦笑で答えた。
「そういうのがあればよかったんだがな。生憎と、時間稼ぎだ。」
癪に触る。
「援軍でも来るのか?」
「はるなが相手じゃ、何万呼ぼうと意味がない。撤退する時間を稼いでるだけだ。」
「そんなことをしても無駄だ。ここはセルレイン共和国が取る。」
「?ああ。いや、そうじゃないんだ。ただ…どうせ負けるのに死ぬことはないだろう?」
優しげに、笑う柳川。
なんだ、こいつ。なんでこいつは。
「火竜!」
そのとき、はるなの炎が柳川を焼いた。
「な!?」
驚きの声は柳川ではなく、俺だけのものだった。
柳川は、動揺なんてしていなかった。不意打ちではあっても警戒はしていた。
足元から生えた炎の竜、両手で顔を覆いながら回避する。
戦場で、立ったまま話なんてして、そんなの狙ってくれと言っているようなものだ。
それはわかる。でも、はるなーー




