聖剣5
大方の予想に反して、しかし予感通りに柳川が現れた。
破壊された大門から突撃してくるのは、囮の役割からか。
ともかく、はるなを守らなくてはならない。
「はるな、下がって!」
一応声をかけつつ、俺は同じく突撃のような速度で柳川に迫る。
戦略的に言えば、柳川の勝利ははるなを倒すことでしか得られない。
俺と一騎打ちをする事自体柳川は嫌なはずだ。
だと言うのに、柳川の動きは変わらない。増援の気配もない。
村瀬会長やかんなちゃんはいない?
そんなはずはない。おそらく伏兵として構えているのだろう。
だが、はるなに攻撃を続けられたら砦は落ちる。今手札を温存する余裕があるのか?
戦況に関する考えを立てながらも意識を柳川に集中させていく。
膨大な魔力とそれによる運動エネルギーを感じる。
今まではそんなことを考える余裕すらなかったが、今は違う。
いける、聖剣を持っている今なら。
突進してくる柳川を正面から受け止める。
と言ってももちろん体をぶつけるわけじゃない。
二人が手に持つ剣が衝突し、持ち主の勢いを殺し合う。
相変わらず柳川の剣は重く、硬い。だが。
互いに押し付け合い、均衡を保っていた剣が、柳川の側に傾く。
そこに何一つ理由はない。
ただ、力が強いほうが押し勝つという当然の物理法則だ。
そう、これまで決して押し勝つことのできなかった柳川を、俺は今圧倒している。
耐えきれなくなった柳川が、今度は後ろに飛び退くことで逃れる。
だが、あまりにも遅い。
俺は飛び退く柳川を追いかけ追撃の一撃を放つ。
そんなに力を込めていない牽制の一撃だ。
それでも柳川は大きく吹き飛び、地面転がってから何とか立ち上がった。
「終わりだな、柳川。降伏しろ。」




