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聖女8

「さて、降伏してくれるかしら?村瀬会長、かんなちゃん。」

はるなが告げる。柳川が抜けているのは未だに地面に倒れているからか。

しかし、かんなは無言で新たな矢を弓に番える。

「かんなさん、ここは一旦引くべきではないですか?」

それを見て村瀬会長…今は会長じゃないか。しなのさんが言う。

「はるなお姉ちゃん、しなのさん。降伏も撤退もできません。ここでセルレインに敗北したらレーゼルは滅びます。だから私達は勝たなくてはなりません。」

「かんなちゃん、私はー

「少し私達を舐めすぎたね、お姉ちゃん。」

力強く、かんなが矢を放った。今までよりも断然速い矢だった。

何かを感じ取ったはるなは初めて大きく身体をそらし、回避する姿勢を取ろうとする。そしてー

「っつ!」

矢ははるなを傷つけた。腕にほんの少し切り傷をつけただけだったが、それでも初めてはるなを傷つけた。

「いけるよ、お兄ちゃん。」

かんなの宣言に、地に付していた柳川が立ち上がる。

「ああ。」

あれだけ天照の攻撃を受けてまだ立てるのか。

「盛り上がってるとこ悪ぃが、アタシらのこと忘れてねぇよな?」

ついに沈黙を貫いていたキョウカが前に出てそう言った。

俺も当然剣を構えている。

「柳川、諦めろ。これ以上はるなには近づけさせない。」

「…。」

柳川は一瞬だけ後ろに、かんなに目配せをして、それから俺を見据えた。

「私の相手をするには少しばかり役者不足じゃないか?」

「このっ!」

「バカっ!」

柳川の挑発に、剣を持つ手に力を入れた瞬間、柳川が駆け出した。

キョウカは俺を叱りつけながら同様に前に出た。

狙い通りに俺の虚を突いた柳川をキョウカが牽制する。

「アインハルト流。」

当然のようにキョウカは刀を鞘に収めたまま、柳川をその間合いに入れようとする。

文字通り必殺の構えを前に、柳川は止まらざるを得ない。

「ちっ!」

だが、足を止めたのはキョウカの方だった。

眼前に迫る矢を軽く避けながら、しかし柳川への進撃は止まる。

後方から放たれたかんなからの援護を、柳川は当然のように、キョウカに斬りかかった。

先の急停止で、キョウカの足は明らかに抜刀術を放てる体制ではない。

しかし、キョウカは鞘から剣を抜き柳川の剣を受け止めた。

「くそっ!」

柳川の重い一撃にキョウカの身体が沈む。

「キョウカ!」

まずい、あのままじゃキョウカは落とされる。

「ファイアボーっ!」

キョウカを助けるため、左手の式具を発動させようとした瞬間、殺気めいたものを感じ、とっさに左腕を反らす。

数瞬も空けずに矢が左腕のあった空間を通り過ぎる。

「後光!」

天照の光が柳川とキョウカを包む。

「純一、キョウカ!あなた達はかんなちゃんを止めて!」

「でも、はるなー」

「あの子が一番やばいの!早く!」

有無を言わせぬはるなの指示に、仕方なく遠くのかんな、そしてしなのさんを見る。

「行くぞ、純一!」

キョウカが後光の中から出てくる。当然のように焼けたりはしていない。

どうやらはるなの天照は完全に敵味方を区別できるらしい。

柳川は…光に包まれてるせいで、見えない。

「このっ…しつこいっ!」

が、はるなが焦っているのと後光の光を解いていないあたり、踏ん張っているのだろう。

「わかった!今は向こうを抑える!」


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