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聖女5

「みなさーん!聞いてください!!」

城を出て街に出たはるなはそう叫んだ。

「聖女様?」

「なんで聖女様が?」

道行く人、行商人、衛兵達、その場にいる全員の目線がはるなに集まった。

「私に!力を貸してください!!」


「…以上が、今回の騒動の内容となります。」

たった数時間後、評議会の全員が頭を抱えていた。

評議会の協力を得られなかったはるなは街に出て、住民達に協力を呼びかけた。

「食料は一週間分以上、地図に通行証、その他遠征用の装備諸々、おや、カシュム種までありますね。聖女様は大変愛されてらっしゃる。」

リーランドが軽口混じりに報告する。

はるはは住民達から食料や旅に必要な装備を提供してもらっていた。

「住民達から強奪するとは…。」

「報告によりますと、住民達は自ら喜んで差し出した、と。」

「同じことだ!」

「…どうする?」

「聖女様を認めるか…拘束するか…。」

ちらりと評議員が俺の方を窺う。

はるなを拘束した場合、俺がどう思うか考えているんだろう。

「聖女様は犯罪行為は一切行っておりません。ここで拘束などすれば、市民がどう思うかは、わかっていただけると思いますが。」

なんと答えようか悩んでいるとリーランドが助け船を出してくれた。

「…しかし、聖女様の意見を認めるということは、結局聖女様一人で行かせるということだろう。」

「…。勇者様、お願いがあるのです。」


「というわけで、俺とキョウカも連れて行ってほしいんだけど。」

「ん…。まぁ別にいいわよ。」

「けっ。」

評議会の妥協案ということで、超人である俺とキョウカがはるなに同行することになった。

はるなはこれを承知してくれた。

「出発は明日…にしようと思っていたけれど、明後日に延ばすわ。準備しておいて。」

「けっ。要らねぇよ。」

「評議会が旅の準備はしてくれてるんだ。だから今からでも出発できるよ。」

「そう?なら予定通り明日の朝出発しましょう。」

はるなは実にテキパキと話を進めてくれる。

「けっ。聖女様はよぉ。移動のプランとかちゃんと考えてんのかぁ?ガキの遠足じゃねぇんだぞ?」

キョウカが絡む。こいつさっきからヤンキーみたいだな。

はるなは気にせずに地図を広げる。

「洋司がいるはずの城はここ。私達の所からは街道が通っているから、そこを通っていくわ。」

うん、確かに一番通りやすいし確実な道だろう。しかし、だからこそ問題がある。

「はるな、この道は敵が見張ってる可能性が高い。」

そう、相手は人間だ。その対策を、裏を取る動きをしなくてはならない。

「だから行くのよ。」

しかしはるなは全く動じなかった。

「私達は街道を途中で抜けて、こう通ってショートカットをする。ここはここは丘になってて、高低差があるから普通の人は通らないけど、馬車を押すわけでもなし超人の私達なら問題なく通れるわ。」

「それで裏をかいたつもりか?いいかぁ?アタシが敵ならここで待ち伏せをー

「ここで洋司と会うわ。」

はるなは地図にある何もないところに、指で円を描いた。

「あーはるな?色々わからないんだけど…。」

「洋司が周りを巻き込みたくないと考えているなら、この場所に来るわ。」

「けっ。聖女様は戦うつもりなのかよ。」

「もちろん違うわ。ただ、当然の備えよ。」


「はい、純一。できたわよ。」

「…。ありがとう。」

話し合いも終わった次の日、柳川の元へ出発した俺達。

一日歩いて行程は半分といったところ。だが、もしはるなの狙い通り道中で遭遇することになるなら明日には柳川と出会うことになる。

一日歩いたとはいえ、超人である俺達にそこまでの疲労はない。とはいえ、戦闘になるかもしれないのに徹夜で歩くのは危険ということで、日暮れと共に野営することになった。

キョウカはもちろん、俺も軍の訓練で一通りの野営はできるようになっている…のだが。

俺ははるなから受け取ったおかゆのような料理を受け取り一口食べる。野営で作ってるとは思えないほど美味い。

「美味しい。」

「でしょ。」

謙遜するでもなくニコニコと答えるはるな。

隣ではキョウカが舌打ちしつつ味わっている。

「ん。美味しい。やっばり具が多いと美味しいわね。」

はるなも自分の料理に舌鼓を打つ。

「はるな、慣れてるね。」

「一年前も料理は私の仕事だったもの。」

「そうなんだ?」

「あのときは大変だったわよ〜。食料はかつかつだったし、人数も多かったし。」

「100年前の勇者とその仲間達…か。」

「そうね…。ここではもう大昔のことなのよね。」

そう言ってはるなは夜空を見上げた。

「食べ物も星も、あの時とまるで変わらないのに。何もかも変わってしまったわ。」

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