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2人目10

結局、三部隊に別れたスピオレ達は全員行方不明となった。

キョウカが言った通り、柳川が全員連れ去ったのだろう。

そしてー

「レーゼル王国より宣戦布告が成されました。」

「お題目は、人を奴隷として扱う非人道的な国家を許しておけぬ、だそうだ。」

何人かの評議員が笑う。だが、その笑いはすぐに沈黙に変わる。

やがておずおずと一人が呟いた。

「で、戦力差は。」

「我が国は…三万が限界と言ったところでしょうか。」

「少なすぎる!もっとなんとかならんのか!」

「アーバントにルンデル、被害が少なかったとはいえ二回も戦をした後だぞ。三万でさえ相当無理をしてー

「連中の軍を使えばよかろう!この際練度や忠誠心などと言っている場合ではない!」

「無駄だ。それでどれだけ数が増える?いいとこ五万と言ったところだろう。」

再び静寂が場を支配する。

今度はリーランドが口を開いた。

「レーゼル王国はおよそ十万、数による不利は避けられないでしょう。。」

「リーランド!貴様何を呑気な!」

「問題は!かの国いるであろう超人、ヤナガワが勇者様とキョウカ・アインハルトを持ってしても敵わなかったという点でありましょう。」

何度目かの静寂が訪れる。

だが、今度は不満げな雰囲気もある。

「なぜ他の国に勇者様と同じ世界の人間がいるのだ。」

「いや、それより、勇者様よりも強いとはどういうことなのだ。」

「そこに関しては、そもそもーだ。」

評議員達の視線が俺に向く。

「何度か話してると思うけど、俺は百年前に世界を救った勇者じゃない。俺が自分を勇者だって名乗るのは、皆がそう言ってくれたからだ。」

そう答えるしかない。疑いを晴らすすべなど存在しないのだ。

「それは違います。勇者様。」

なのに、リーランドが異を唱えた。

「勇者様…ジュンイチ殿は我らのために尽くし、そして今日まで我らの期待に応えてきてくれました。

兵士たちは勇者様を信頼し、勇者様と共に戦えることを喜んでおります。

ジュンイチ殿は間違いなくこの国の勇者様なのです。例え他により強い超人がいるからと言って、それは翻りません。」

力強くリーランドが宣言する。

その言葉に俺は…。

「……。やはり…あれをー。」

「候、それは…。」

「時期尚早ですな…。向こうの動きもわからぬうちは。」

なんだ?評議員達が話している。

「ならば、せめて聖女様に動いてもらうのは?」

「それこそ、無理というものでしょう。」

評議員たちの間に乾いた笑いが起きる。今までのはるなの動きを見ていれば、戦いに参加する訳がないことは分かりきっている。

「大体、聖女様に戦う力はないでしょう。」

「戦場に出てただ泣いているばかりではなぁ。」

「そのぐらいに。」

「むっ。そうだな。」

「ともかく、ヤナガワなる超人を有するレーゼル王国とまともにやりあえば勝ち目はありません。」

「何か奇策があると?」

「柳川はスピオレ襲撃に来てたんだ。開戦も控えてるのに本国に一度戻ってるとは考え難い。」

「近くにいる…と?」

「この周囲でレーゼルの人間が隠れるとすれば…ここしかありませんな。」

「そこに奇襲をかけます。敵の準備が整う前に、二万の兵士でヤナガワを包囲し、打倒します。」

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