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聖女1

柳川への奇襲はすぐさま行われることになった。

宣戦布告が成されたとはいえ、こちらから先行攻撃を仕掛けることについて、思うところがないわけではない…。

が、柳川はかなり強力な超人だ。しかもレーゼル王国自体もかなりの軍隊を持っている。

柳川にレーゼルの兵士が組み合わさってしまうと手の打ちようが無くなる。なんとしても、連携を取る前に叩かなくてはならない。

それがセルレインの考えだ。

「なんだけどなぁ…。」

いつもの芝生に寝転びながら青い空を見る。

いまいちやる気が出ない。

帝国に唆されたアーバント、スピオレを奴隷として売っていたルンデルに比べると、レーゼル王国にはあまり敵意が沸かない。

柳川にしたって、スピオレを救いたいと言っていたし、今思えば俺達は手加減をされていた。

卑怯な手を使ってまで倒さなければならないという気持ちにはなれないのだ。

「一体何をしているのですかあなたは。」

芝生にエリが現れて、俺に呆れた目線を投げかける。

どうでもいいけど、そんなとこに立つとパンツが…こほん。

「サボりだよ。」

一応紳士としてエリから目線を逸しながら答える。

「そうでしたか、あまりに堂々となされているので、何かの訓練かと思いました。」

「そういうエリは…はるなの所?」

「ええ。アリスに国語と歴史を教えるのは私の役割ですので。…それとー」

「わかってるよ。はるなのことお願い。」

はるなの部屋への引きこもりは徐々に悪化している。

アリスがお手伝いとして、物を運ぶことができるようになってから、はるなはほとんど部屋から出なくなった。今では来客対応もほとんどアリスが対応している。

はるなが直接会うのは俺とエリぐらいのものだ。

「はるな、どんどんやつれていってます。」

「無理ないよ。部屋から出てないんだし。」

「…なんとかできないのですか?」

「…隠し玉ならあるよ。」

エリが意外そうな顔でこちらを見る。そんな答え予想してなかったのだろう。

「柳川が敵だって伝える。」

「…それは…おいそれと使えませんね。」

「わかってくれてありがとう。」

柳川とはるなは知り合いだ。どちらも付属中学だったからそのはずだ。

それに…もしかしたら、柳川は前の勇者かもしれない。

もしそうだったらはるなとは浅からぬ仲だろう。

だが…だかこそ…はるながどうなるかわからない。

この世界の人が争ってるのを見て怒るはるな

人が死ぬのを見て涙を流すはるな

過去の仲間たちの伝説が改変されたことを知って引きこもったはるな

じゃあ、柳川が敵にいることを知ったはるなは?

わからない、悪化する可能性を考えると言い出せない。

「では、私はこれで。今のことは黙っておきます。」

「…いや、俺も行くよ。」

「良いのですか?」

「どうせサボってるだけだよ。イマイチやる気出なくて。」

はるなの顔を見れば、やる気も上がるんだろうか。

多分、そんなことはないんだろうな。

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