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二人目6

「よう。また会ったな…柳川。」

「ああ、久しぶり…と言うほどではないな。しかし、もう少し早く現れるかと思っていたんだがな。」

俺は戦闘用の魔鋼剣を抜き身で持っている。左右の腕には術式を放つための式具も装備している。その上着ているのは金属鎧を上回る高度を誇る魔力布だ。

つまり、完全装備なわけだが、対する柳川が気にしている素振りはない。

柳川は…着ている服はおそらく魔力布だと思うが、武器は持っているようには見えない。両腕も、見た限りでは式具を装備しているように見えない。

…戦うつもりはないということか?それとも。

「こんなところで何してるんだ?」

柳川は肩をすくめる。

「もうわかっているだろう?後ろにいるアレクトロスピオレを預からせてもらう。」

「アレクトロ…スピオレ?」

何か言いようは違うが、やはり狙いはスピオレか。

「スピオレ達を奪ってどうする気だ?」

質問すると柳川は少し苦い顔をした。

「それが悩みの種なんだが…まぁお前に対する答えとしては、救うの自体が目的だ。その後の事はなるようにする。」

「救う?ルンデルはもう滅ぼした。スピオレたちはセルレイン共和国で保護する。」

「冗談としても笑えないな。」

「何をー

「お喋りはもういいだろう。彼女達がこれ以上苦しむのを見逃す気は毛頭ない。」

「だから待てって。スピオレ達を助けたいのは俺たちも同じでー

「ジュンイチ、そろそろいいだろう。」

隣で黙っていたキョウカが口を挟む。

「どう見たって、問答無用って感じじゃねぇか。」

「いや、けど。」

確かに柳川には取り付く島もない。だが、あいつがさっきから言っているのはスピオレの救出。目的は俺達と同じはずなのだ。

「アインハルト…?」

キョウカの姿を見て柳川が呟く。どうやらアインハルト族のことを知っているらしい。

「ご存知じゃねぇか。なら、状況はわかるよな?そっちは一人、こっちは二人だ。」

「私が不利だと?」

「いやいや、そうは言わねぇよ。超人ってのは数じゃなくて質だからな。例えば歴戦のアインハルトとか、優秀な勇者様なんかが相手になると、そのへんの超人が10人いようと相手にならないわけだし?」

相手を煽りながらキョウカは歩いて距離を詰める。間違いなくヤる気だ。

「話が早いのは助かるな。こちらもあまりダラダラとはしていられないからな。」

柳川も腰を落として、臨戦態勢の構えを取る。

だが、俺は知っている。それが遅すぎることを。

キョウカは絶妙に会話のタイミングを図りながら距離を前に詰めた。

その距離はおよそ10メートル、普通に考えれば遠すぎるが、超人にとっては少し短いとさえ言える。そして、アインハルトにとって、そこは既に射程圏内だ。

柳川が、腰から何か棒状の物を取り出した。それから、氷が伸びて刃の形を取る。

迎撃の構え、だが、やはり遅すぎる。

剣を取り出すその一瞬、キョウカへの警戒は弱まらざるを得ない。その一瞬をキョウカは見逃さない。

密かにとっていた突撃の構えを解き放ち、柳川との距離を詰める。そして、そのままに必殺の一撃を放とうとする。

「キョウカ!?」

「アインハルト流ー」

迎撃しようとしたのか、柳川は前に出た。だが、あまりに無謀、おそらく知りもしないのだろう、キョウカの放つ一撃の恐ろしさを。

「抜とーっ!」

だが、キョウカひ抜刀術を放つことなく、舌打ち一つを残して後ろに下がってしまった。

「良かった、流石にいきなり抜刀術打ったりしないよな。」

「構えろジュンイチ!こいつはやべぇ!」

俺の軽口をキョウカはしかし、怒声で警戒を促してくる。

その声に反射的に俺のテンションも戦闘用に切り替わる。だが、何がそこまでさせたのか。

「あんにゃろう!知ってやがる!」

「何を?」

「アインハルト流抜刀術の構え、足取りを!どうしたら邪魔できるまでもな!」

は?なんだそれ?まさか、柳川のあの前進か?あれが抜刀術の邪魔をしたのか?

「てめぇ!なんでアインハルト流を知ってやがる?!」

問い詰められる柳川は涼しい顔で肩を竦める。

答える気はないらしい。

「ジュンイチ手伝え!こいつやべぇぞ。」

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