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奴隷8

「断る!聖女を偽り我が国を陥れようとする魔女め!我が国の力を思い知るがいい!」

降伏勧告は一瞬で却下された。

当然の帰結だ。

スピオレはルンデル国にとって主要産業であり、それを放棄しろなどともはや無条件降伏と変わり無い。

「やっぱりこうなったか。」

「当たり前だろ。」

「よし!じゃあ先鋒は俺が行く。降伏したくなるまで叩いてくるよ。」

現在、セルレイン軍とルンデル軍は睨み合いをしている状況だ。

矢那さんだけが敵陣に赴き、降伏の勧告をした。結果は散々だったが。

矢那さんが戻り次第軍がぶつかることになる。

俺は今回その先鋒を取る。

超人の使い方としては下策だが、セルレイン軍の数は今回かなり少ない。手札を一枚使ってでも押したいところなのだ。

それにこちらにはキョウカがいる。もし敵の超人が来てもキョウカに任せることができるのだ。

二人いる超人で俺が先鋒を務めるのは術式を使えるからだ。

エクスプロージョンのように複数をまとめて攻撃できる能力はキョウカのアインハルト流剣術には無い。

あいつはとことんタイマン主義だからなぁ。

曰くアインハルト流剣術も多数を標的にした技はあるそうなのだが、キョウカは使えないらしい。


ま、ともかく今回は開幕から暴れられるってことだ。

ルンデルは降伏しなかったが、それはこちらの戦力を過小評価しているからだ。

勇者である俺の力を見せつけることができれば降伏以外の道はなくなる。

「さて…。」

敵は既に陣を動かし始めている。きれいに横に大きく広がって行く様はさすが軍隊といったところか。

薄く横に広がった陣は間違いなく超人対策だろう。一人で暴れるつもりの俺としては敵は固まってくれた方が戦いやすい。

つまり、ルンデルもこちらの戦略は予想済みってことだ。

だが、欠点もある。広がった陣はそれだけ薄く、脆い。

容易に突破できるし分断も可能だ。

つまり、超人である俺を警戒するあまり、三千のセルレイン兵士との戦いが不利になっている。

どちらが正解かは難しいところだが、当然勝つつもりの俺としてはありがたい。兵士への負担が減ればそれだけ死傷者も減るということだ。なら、あとは俺が頑張るだけで済む。

逆に敵が玉砕覚悟で突っ込んできたりすると、俺では対応しきれなかった。

「おい、さっさと聖女様を戻せ。陣形が変わったら敵は待ってくれねぇぞ。」

キョウカの声が飛ぶ。見ると矢那さんは戻るどころか必死に説得を続けているようだ。気持ちはわからないでもないが、陣形まで動かしている敵にあまりにも悠長だ。

「不味いな。」

キョウカの言う通り敵陣が整ったら真っ先に攻撃されるだろう。孤立している超人なんて叩いておきたい標的の筆頭だ。

今攻撃されないのは、それをしたら戦端が開かれるとわかっているからだ。陣形移動の間はそれは避けたいのだろう。

しかし、それも時間の問題でしかない。

「矢那さん!」

叫ぶ。しかし、遅かった。矢那さんに向けて無数の矢と術式による攻撃が放たれた。

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