奴隷7
「では、我がセルレイン共和国はルンデル国に宣戦布告を行います。」
セルレイン共和国の評議会の決定は速やかだった。
ルンデル国はスピオレを最大の売り物としている奴隷輸出国家だ。
スピオレは基本的にルンデルで産まれ、育てられ、出荷される。例外は出荷されたスピオレが子供を産んだ場合ぐらいだが、奴隷なんかと子作りする酔狂な輩はほとんどいない。
そのルンデル国を俺たちは叩き潰す。俺から評議会に頼んで承認をしてもらった。
「名目は、市民を誘拐しスピオレとして売り出す残虐非道な行為を咎めるため…としておりますが。」
「無論、これは建前でございます勇者様。ルンデルを落としたあとはすべてのスピオレを適切に保護いたします。」
奴隷として売られるスピオレの中には、普通の人…つまりスピオレ族ではない人間もいるらしい。
そうした残虐非道な行為をしているルンデルを止めると言うのが戦争の理由…にしている。
俺からすればスピオレを奴隷扱いすることだって残虐非道なんだけど、こればっかりは意識の違いだ。
とにかく、ルンデルを潰して、スピオレ達を救うんだ。
評議員達も、俺の熱意を汲んでくれてスピオレ救出に動き出してくれた。
ルンデルとの開戦は宣戦布告後速やかに行われた。
ルンデルからすれば寝耳に水だろうが、そこまで気にしてやる通りはない。
こちらの戦力は俺とキョウカ、それに三千の兵士だ。
セルレインの兵力としてはかなり少ないが、今回の派兵はスピード勝負、それに勝負を決める超人のツートップがいるのだから、戦力としては申し分ないレベルだろう。
そしてー
「…。」
今回は矢那さんも一緒だ。
普通の超人としてはもちろん、神聖術も加味すればかなりの戦力として期待できるだろう。なにせ魔王を討伐した聖女様なのだから。
不安なのはー
「いい?私の降伏勧告が終わるまで絶対に攻撃しないで。」
「それはわかったけど。」
「それで降伏する可能性なんかねぇぞ。」
矢那さんの発言に俺もキョウカも渋い顔をする。
矢那さんはここに至ってもまだ、戦うつもりは無いようだ。
「聖女様よぉ。降伏しなかったときはどうする気だ?」
「どうするってー
「諦めて帰るか?スピオレ達がイジメられてるのを見捨てて『私は手を汚したくないから諦めて』ってよ。」
「キョウカそんな言い方ー
「黙ってろジュンイチ。ここから先は戦争だ。殺し合いだ。自分の意地を通したきゃ相手を殺す覚悟が要る。それもねぇやつは邪魔なだけだ。」
矢那さんがついて来てから何かとキョウカは矢那さんに絡むようになっている。
「私はただ皆に傷ついてほしくないだけよ。」
「ガキみてぇなことをー
「子供でもなんでも、諦めるわけにはいかないの。」
矢那さんは胸に手を当てて言った。
「約束したんだから。」




