神官3
「あれ?」
治療を終えて部屋を出ると、待っているはずのリーランドがいなかった。
当然、道案内無しに俺が帰ることはできない。どころか今が教会のどの位置にあるかすら把握できていない。
「ふむ…。」
辺りを見渡すと、人が全く居ないわけではない。
とはいえ、みんな忙しそうに動き回っているし、勇者が迷子ですというのも情けない。
「となると…。」
いつまでも扉の前に立っているというのも間抜けだ。
であれば動く必要があるだろう。
こうして、俺は自由な散歩に繰り出した!
とりあえず階下に行き、外に出る。と言ってもさすがに教会の敷地内だ。
教会の外観は元の世界と同じような感じだ。あのステンドグラスなんかこの世界でどうやって作ってるんだろうか?
「う〜ん。」
微妙だ。確かに教会の建物は綺麗だし、植えてある花たちも凄い絵になっている。
だが、俺はそんな芸術に興味のある人間じゃないし、綺麗だと思ってもそれを見続けるのは飽きる。
やっぱり中に戻るか、そう思って適当な建物の中に入る。
「あれ、間違えたかな。」
適当な扉を開けて、それがさっきまで建物と違うことを察する。
いや、方向音痴というわけではないんだ、ただ覚えようとしていなかっただけで。
等と誰かに言い訳しながら中に入る。
所謂礼拝堂というやつだろうか、多くの長椅子が並ぶ先に神様の像があり…一人のシスターが祈りを捧げている。
神に向けて祈りを捧げるシスター、そこに陽の光が差し込んで、神聖な雰囲気を醸し出している。
まぁ、そうなるように建物作ってるんだろうな。
俺からしたらそれぐらいにしか思わなかった。
とはいえ、祈りの邪魔をするのもなんだろう。静かに出ていくべきか。
「どなたですか?」
しかし俺が出ていくよりも前にシスターは俺の存在に気がついたようだ。
「すみません。お祈りの邪魔をしてしまって。」
とりあえず謝る。まず謝る。
「構いませんよ。また後で我が神には祈りを捧げますから。」
言外に今回の祈りは無駄になったと言われて、肩をすくめる。
だが、シスターの方にそんな意図は無かったらしい。
特に何かの気負いを感じさせることなくこちらに振り返る。
天使がいた。
金髪に青い瞳、透き通るような白い肌をした、人がおよそ想像する天使像に最も近い存在だった。強いて言うならば背中に羽が生えていないことに文句を言いたくなるような、そんなとんでもない美少女だった。
「私はシスター、エリ・スチュワートです。」




