剣士7
「はっはっはぁっ…。」
斬られた。刀でスッパリと。
「うわぁっ!」
恐怖で剣を振るう。キョウカは難なく飛び退きそれを避ける。
左手で斬られた胸を触る。痛みの感触がほとんどない。アドレナリンが出て感覚が麻痺してるのだろうか?血はどれだけ出てる?俺はー
「え?」
手には一筋の血が付いている、が、それだけだ。手が真っ赤に染まるのを想像していただけに呆気ない。
少し冷静になって、自分の傷口を確かめる。確かに薄い切り傷があるが、全く大したことはない。タンスの角に小指をぶつけるほうが大事と思えるほどの傷だ。
「ちっ。硬ってぇな。まともに入ってソレかよ。」
キョウカがボヤく。どうやら手心を加えてくれたわけじゃないらしい。
「はっ。ははっ。そっか…。斬られるのは初めてだったけど、こういうことか。」
超人の能力はあらゆる意味で強化されている。皮膚の強さも例外じゃない。同じ超人の刀でさえも弾けるということ。
これなら、勝てる。
「おいおい、勇者様。なんか勘違いしてねぇか?」
だが、キョウカはまだ余裕を崩さない。自分の攻撃をあっさり無効化されたというのに。
「勘違い?君の攻撃は俺には効かないんだ。もう決着はついたようなものだと思うけど。」
「けっ、これだから。まぁまだ剣を握りたての勇者様にはわかんねぇか。」
言いながらキョウカは刀を鞘に収め、そのまま構える。
「見せてやるよ勇者様。アインハルトの奥義を。」
キョウカが刀を鞘に収めたまま踏み出す。しかし、その右手は刀の柄を握ったままだ。
そして、間合いを詰めた瞬間、彼女は、呟くように宣言した。
「アインハルト流、抜刀術。」




