剣士5
「予備の隊を右翼に。中央は敵の進撃の勢いを止めろ!突破してきた敵部隊を囲い込むんだ!」
リーランドの支持でフィルレインの隊列が大きく動く。
リーランドの策は押し込まれた右翼側を押し返すのではなく、突っ込んできた敵を中央の部隊で蓋をして囲い込むこと。
常識的に考えて、先に述べた、乱戦を嫌うフィルレインがとるべき作戦ではない。
だがー
「なんとしてもアインハルトを釘付けにするんだ!」
超人が絡むと常識なんてものは吹き飛ぶ。
「リーランド、行くよ!」
敵の超人が出てきたのなら俺の出番だ。
「まだです!勇者様!敵が消耗するまで待ってください!」
しかし、リーランドの制止が入る。
ああ、そうだ。作戦はまだ終わっていない。俺の出番は、味方が最大限アインハルトを消耗させた後にある。
だがー
「リーランドまだか!?」
包囲されている敵部隊の動きが激しい。どんどんと右翼を食い破っているのがわかる。
一体、一体何人死んでるんだ?
「まだです!」
敵に腕を一振りさせて疲れさせるために、術式一つ打って消耗させるために、一歩歩かせるために
一体何人犠牲にするんだ?
俺の召喚に居合わせた兵士も、
俺の術式にどよめいた兵士も、
いつか俺がリーランドに勝てると励ました兵士も、
俺がアインハルトに勝つのを信じて戦場に飛び込んだ兵士も、
兵士が、味方が、人が、
「ファイアボール!」
大きな光を伴って、火球がアインハルトを含めた敵軍に放たれる。
「勇者様!?」
リーランドの驚きを、無視して俺は敵陣に飛び掛かる。
兵士の海を飛び越えて最前線のど真ん中に着地する。
突然の出来事に多くの兵士が、驚き動きを止める。
いや、もしかするとたった一人、剣を振るうのを止めたソイツに釣られたのかもしれない。
「ようやくのご登場かい。」
鋳物では決して作れない艷やかな刃面を持つ片刃剣、
所謂刀、日本刀にしか見えないそれを肩に担いで、ソイツは、彼女は言った。
「アインハルトの剣士、キョウカ・アインハルトだ。楽しませてくれよ。」




