剣士1
俺が召喚されてから初めての戦が決まった。
「敵国はアーバント国。
場所はセルレイン共和国領土西のシャナル平野。
開戦はこれより2週間後となります。」
評議会に呼び出された俺、矢那さん、リーランドは評議員から開戦の通達ん受けた。
「アーバントはここより西の、つまり帝国との間にある小国の一つね。」
「どうして、共和国が宣戦布告されるんです?周りの小国は帝国を逃れて共和国に合流してきてるって。」
俺の質問に評議員の顔が少し険しくなる。
「恐らく勇者様の存在を恐れた帝国が唆したのでしょう。威力偵察しつつ、アーバントとセルレインの戦力が削れる一石二鳥の手として。」
評議員の答えに納得する。顔が険しくもなるはずだ。敵は本来なら味方だって言うんだから。
「なんとか戦闘を回避できないんですか?」
「それは難しいでしょう。宣戦布告が成されたということは、人同士で言うなら剣を振りかぶっているのと同じです。こんな状態で和平交渉などすればそのまま斬り殺されますよ。」
「まるで理不尽なことに巻き込まれてるかの様な口ぶりね。」
矢那さんが冷めた口ぶりで言う。
呼び出されてから一言も口を開かなかった彼女の初めての発言だった。
まぁ…わかってたことだ。召喚されてから、彼女はずっと人同士の戦いを止めるように訴えていたのだから。
その気持ちはわかるし、立派だとも思う。でもー
「実際その通りですよ、聖女様。勝手に我が国を脅威とみなし、こうして他国をけしかけてーー
「理不尽っていうのは、言葉も許さず、抵抗の暇も与えず全員殺す。そういうのを言うのよ。覚えておきなさい。」
評議員の発言を遮った矢那さんの語気はひどく静かだった。
だが、そこに込められた、ひどく冷たい感情に俺達は二の句を継げなくなる。
…でも、それじゃいけないんだ。
俺はーー彼女の隣に立つと決めたんだから。
「じゃあ、どうするの?殺す気で来る敵兵士を、矢那さんはどうするって言うの?」
「何もしないわ。何もね。」
矢那さんの答えは…やっぱり理想論だ。
「すみません、聖女様。口を挟ませて頂きます。
それは出来ません。私には、国を、民を護る責務があります。
そのために必要であれば血に染まる覚悟はできております。」
矢那さんの答えにリーランドが答える。
「俺も…俺も戦うよ。」
「真田君…あなたはー
「矢那さんは卑怯だよ。理想論ばかり口にして。現実に敵がいるんだ。戦わないと、守れないじゃないか。」
言ってしまった。今までは我慢してたのに。で、でもいつか言わなくちゃいけないことだったんだ。
「真田君…。」
「や、矢那さん…。俺はー
言いかけたところで矢那さんは部屋から出ていった。
俺は…。
俺は、何て声をかけるつもりだったんだろう。




