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勇者6

「えーっと。それはなんでですか?」

おずおずと質問すると、リーランド騎士長とアーガス教授の二人は、バカを見るような目でこちらを見てくる。

「アホか貴様は。本気なんか出してしまったら訓練にならんじゃろ。」

「そもそも死人が出てしまいますから。」

いや、何を言ってるんだこの二人は。そりゃ元いた世界ならともかく、みんながみんな化け物なんだからそんなの気にする必要ー

「真田君、勘違いしてるみたいだけど、この世界で魔力が使える人間はごく少数よ。」

「え?!そうなの?!」

「ええ、さっきの岩を砕くのができる人で大体1000人に一人ぐらいかしら。」

矢那さんの発言にアーガス教授が「まぁそんなもんじゃの。」と同意する。

「で、でも。俺、もっと力出せそうだけど。」

岩を何の抵抗も感じずに砕いた感触を思い出しながら聞くと

「だ・か・ら。あなたが本気を出したら周りが死ぬんでしょ。」

「勇者様と聖女様は誠に類稀なる力をお持ちです。その力に匹敵する者はこの国には、あるいはこの世界には存在しないかもしれません。私はこの国最強と謳われ騎士長を命じられておりますが、お二人には到底及ばないでしょう。」

え…そうなの?

「じゃ、じゃあ…こんな修行みたいなことする意味ってあるの?」

「はぁ…。それはー

「それは半分正解です。」

矢那さんが何か言いかけたのを遮ってリーランド騎士長はそう言った。

「はっきり言って、同格の相手でもない限り技術の差というのは問題になりません。

例えば、私と一般将兵が戦えば百人を相手にしても問題にならないでしょう。」

まぁ、そうなのだろう。素手の人間と戦車で戦うようなものだ。

「そして、私と勇者様が戦えば、良くて3撃で私がやられてしまうでしょうね。」

そ、そんなにすごいのか俺は。

「逆に言えば、訓練を積んだ私と訓練を積んでいない勇者様であれば、力の差を覆して、2撃までは凌げるということでもあります。」

なるほど。先天的な才能の差が大きいとはいえ、後から積む訓練だって無視できない戦力アップなわけだ。

「さらに言えば、もし勇者様が自らに匹敵する力を持つ敵と出会ったとき、勝負を分けるのは技術の差です。」

「よ、よくわかりました。」

なんか浅はかだった自分が恥ずかしい。

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