勇者4
俺がどう質問しようか戸惑っていると、それでも矢那さんには伝わったらしい。
「ああ、今のでわかったのね。こんなにすぐ他人の魔力を感知できるなんて筋がいいのね。」
矢那さんに「手を出して」と促され、おずおずと手を差し出す。
その手を矢那さんは自らの手で包み込む。
岩を破壊したとは思えない柔らかい感触と暖かさが手から伝わってくる。
だがそんな幸せな感触を味わう前に彼女の手から力が溢れ出す。
「わかる?この力が魔力。岩を破壊して、前に私が火をつけたのもこの力。」
そういえば、召喚された日に矢那さんは俺に魔法を見せてくれたのだった。
あれもこの力から零れ落ちたものだったのか。原理はわからないが、妙に納得がいった。
(ああ、確かにこの力なら火がつくだろうな)と。
「感じて。あなたの中にも同じ力があるわ。」
そう言いながら彼女は目を閉じる。そして手から溢れる力、魔力に変化が生じる。
魔力が手から自分に流れるように、そして逆に引っ張るように。そんな緩急のついた魔力の流れが生まれる。
俺はその魔力の流れを追ううちに自然と目を閉じていた。
そして、その流れを追いかけるうちに気が付いた。
この流れは矢那さんの魔力だけではない。別の、俺の内側から流れている力もその流れに加わっていた。
矢那さんと同じような大きな魔力、それが自分の胸の中にあった。
「わかったよ。矢那さん。…これが俺の魔力…。」
矢那さんはニコリと微笑み、握ってくれていた手を離した。
そして促すように砕けた岩を指さした。
「やってみて。」
その声に応じて俺は岩の前に立つ。既に砕けた岩は俺の腰よりも下に破片が転がっているだけだ。
俺は瓦割りのような体制を取ってから一度目を瞑る。
(さっき矢那さんがやってくれたように、魔力を流して腕に。)
矢那さんに実演された魔力の流れを意識する。胸にあった大きな魔力に流れが生じ、腕に集まる。
いける。
「はぁ!」
拳を振り下ろす。拳は何の障害もないかのように岩を打ち砕きそのまま地面に衝突し
(あっ、やばっ!)
そのまま地面に1mほどのクレータを作った。




