第77話 リアの決意③
「ただ……。」
そこまで言うとリアの視線が膝元へ落ち、しばらくそのまま動かなかった。
「私一人ではあの大軍に勝てる術が見つけられません……。」
小さく息を呑み、膝の上に置いていた両手を握る。
指先に力を込めたままゆっくり顔を上げると、リアは正面にいるマーベリックを見た。
「マーベリックさん。お願いです。ハーベイの街を守るために――」
言葉を続けようとしたところへ、マーベリックの声が重なる。
「そのために俺がいる。」
「わしもおる!」
間を置かず隣からウェンティの声まで重なり、マーベリックはそちらへ目を向けると、わずかに目を細めた。
「そうだな。」
「では……。」
リアが顔を上げると、マーベリックはその視線を受けたまま、
「ああ。俺達もハーベイの街を守りたい。」
握っていたリアの指からゆっくり力が抜けていく。
「ありがとうございます。」
そう答えたところで頭に手が乗り、そのまま髪の上を撫でられた。
「リア。よく言ったの。マーベリックに作戦は任せておけば大丈夫じゃ!」
すぐ隣からウェンティがさらに顔を近づけ、
「わしもおる!」
「ウェンティ……はい。」
リアがうなづくと、ウェンティの手が頭から離れていった。
そのやり取りを見ていたエディが大きく息を吐き、膝へ視線を落とす。
「リア。すまない……俺達はただ……守ってもらうだけで……。」
俯いたまま拳を握るエディへ、リアは顔を向けた。
「エディ。それは違います。」
「違う?」
顔を上げたエディと目が合い、リアはうなづく。
「はい。エディは……この街が好きですか?」
「ああ。当たり前だ。」
返ってきた言葉を聞きながら、リアは隣に座るターニャへも視線を移した。
「私もです。ハーベイに住む人達はみんな同じ気持ちです。」
少し間を置き、二人を見ながら続ける。
「私も……エディやターニャに助けられてますから。」
その言葉にターニャがハッと顔を上げる。
(私は……。)
「俺達が同じで助けてる……?」
エディが聞き返すと、リアはもう一度うなづいた。
「エディは街の人のために水を汲みに荒野を走ってくれました。」
「……。」
エディからターニャへゆっくり視線を移し、リアはそこで少し言葉を止める。
「ターニャも……みんなに優しく接して……私を心配してくれてた……。」
「リア……。」
ターニャの目に涙が滲んでいくのを見ながら、リアは小さく息を吸った。
「だから……同じです。」
そのまま二人からマーベリックへと視線を戻す。
「街を守るために……私は蒼雷を撃ちます。」




