第52話 アリーシャとクリフト③
ブロロロ――……
荒野に二台の魔鉱三輪の音が響く。
(たしかこの辺り……。)
「クリフト!周りよく見て。多分このへん。」
クリフトは片手を上げて応えた。
ブロロ……ブロロロ……
速度を落としながら肩越しに振り返り、ハーベイの街との距離を測る。
(あそこからだから……。)
周囲へ視線を巡らせた瞬間、
「クリフトー!」
東を指差す。
ブロロロ――……
二台は砂煙を引きながら進路を変え、そのまま東へ走った。
しばらく進んだところで、前方の地面に目が止まる。
「ん?」
砂の色がわずかに黒い。
アリーシャは目を細めた。
「あれだ!」
クリフトへ手を振る。
「見つけた!」
ブロロロ――……
二台はその場所へ向かい、
ド、ド、ド、ド――……
カチッ
ヒュウゥゥ――ン…………
動力を落とすと同時に飛び降りる。
ザッ、ザッ、ザッ――
砂を踏みしめながら近寄り、足元を見た。
「ここだ。」
「クリフトー!私が採取するから周り警戒お願い!」
クリフトは片手を上げ、そのまま周囲へ視線を巡らせる。
(さってと……どんな感じかなぁ……。)
しゃがみ込みながら革手袋を外し、地面へ触れる。
ひんやりとした感触が指先に残った。
(……少し冷たい……やっぱり地下水が上がってきてるんだ。)
砂をすくい上げ、そのまま指先でほぐすとさらさらと崩れた砂が手のひらを流れ落ちる。
(水分がまだある。)
鼻先へ近づける。
(……臭いはなし。)
立ち上がりながら周囲へ目を向けると、少し離れた場所ではクリフトが魔鉱三輪に跨ったまま辺りを警戒していた。
ヒュオォォォ――……
吹き抜けた風に砂が舞い上がり、頬をかすめた砂の感触に、アリーシャはふと耳を澄ませた。
「…………。」
ザッ……
ザッ……
両手で砂をかき分けると、掘るたびに指先へ伝わる湿り気が増していく。
ザッ……
ザッ……
ヒュ――――イッ!!
指笛が響く。
反射的に顔を上げると、クリフトが南前方を指差していた。
その先を見ると、前方にうっすらと黒い影が二つ。
(来た……。)
ザッ、ザッ、ザッ――
掘る手が速まり、額に汗が滲み、砂が指に絡みつく。
ヒュイ!ヒュ――イッ!
再び指笛。
(早く出ろ!)
歯を食いしばりながら掘り進める。
ザッ、ザッ、ザッ――
「きた!」
指先にひんやりした感触が触れ、穴の底から滲み出した水を水筒で受けながら体を起こす。
カポン!
蓋を閉めたその先――
黒影の顔が間近に迫り、砂まみれの手を振りながら駆け出す。
ピュ――イッ!
短く指笛を吹き、そのまま勢いよく魔鉱三輪へ飛び乗った。
ヒュン………ヒュン……ヒュンヒュン――
ブオォン!
操縦桿を捻る。
ブロロロォォォ――!!
砂を蹴り上げながら、一気に加速した。




