第51話 アリーシャとクリフト②
ガラガラガラ――
アリーシャは小屋の扉を開けると、そのまま魔鉱三輪へ歩み寄り、上に置いてあった革手袋をはめた。
「水は採取するからね。」
「行くなら全部1回で済ませたいから。」
言いながら跨る。
「了解。」
後ろでクリフトも静かに跨った。
アリーシャは起動ボタンを押したまま待つ。
ヒュン……ヒュン……ヒュン……ヒュン――
足元から伝わる振動と共に駆動音が徐々に高まり、
ブオォン!
一度大きく吹き上がった。
ド、ド、ド、ド――
操縦桿を軽く回す。
ブオォン!ブオォン!!
ド、ド、ド、ド――
中心で青白く光る駆動魔鉱石を横目で確認しながら口を開く。
「駆動魔鉱石異常なし……クリフト!そっちは?」
「こっちも問題ない。」
「じゃあ、行きますか!」
アリーシャは頭に着けていたゴーグルを目元まで下ろした。
ガチャン――
足で留め具を外し、操縦桿を回す。
ブロロロ――……
ゆっくりと魔鉱三輪が前へ動き出した。
小屋の裏を抜け、そのまま南側の門へ向かう。
門の前まで来ると、防人が二人こちらへ歩み寄ってきた。
「どちらへ?」
「南東の方向に水源らしき場所を見つけました。確認、調査したいので開門お願いします。」
防人達が顔を見合わせる。
「ダンゲルさんに報告はしていない。気温が上がると水源が消えるかもしれない。急を要する。」
クリフトが横から静かに言った。
アリーシャはちらりとクリフトを見てから頷く。
「責任は私達で持ちます。」
防人達も小さく頷いた。
「わかりました。今開けます。」
その返事を聞き、アリーシャはクリフトへ向かって片目を閉じる。
クリフトの口元がわずかに緩んだ。
ガチャン!
ゴゴ……ゴゴゴ――
重い音を響かせながら門がゆっくりと開いていく。
「どうぞ!お願いします。」
ブロロロ――
アリーシャは軽く手を振り、そのまま荒野へ飛び出した。
門を抜けた瞬間、後方に砂煙が舞い上がる。
操縦桿をさらに回すと、
ヒュイィィーン――
高い駆動音が風の中へ伸びていった。
クリフトも横へ並ぶ。
「アリーシャ!言い忘れた。魔光弾の残弾は?」
「6!」
「了解。」
(僕も6発。まぁ、今回は大丈夫だろ。)
アリーシャが少し前へ出る。
クリフトは砂煙を避けるように位置をずらし、後方へ回った。
二台の魔鉱三輪は砂煙を引きながら荒野を駆けていく。
アリーシャは西の空へ目を向けた。
(思ったより風が強い……。)
ゴーグル越しに差し込む陽射しへ目を細めながら、手を上げて西の空を指差す。
クリフトも視線を向けた。
(急がなきゃ!)
アリーシャが操縦桿をさらに回すと、クリフトも遅れることなく追従した。
二台の後方に伸びた砂煙は横風にさらわれ、そのまま東へ流れていく――




