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風は巡り、再び戻る。~風に導かれた出会い~  作者: Masa&G
第1章 ハーベイの魔道士編
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第42話 真珠の装飾品

同時刻――


海沿いを歩きながら、ウェンティがくるりと振り返った。


「なぁ、ターニャ。今日の夕飯は何にするんじゃ?」


後ろを歩くターニャが少しだけ視線を上げる。


「今日は……そうだなぁ……。」


顎に人差し指を当てたまま考え込み、


「今日は新鮮なお魚手に入ったから、焼いて甘めな味付け……。」


少し間を置いて続けた。


「あとは小さく切って揚げる!」


「二つもあるのか!今から楽しみじゃ!」


思わず声を弾ませるウェンティを見て、ターニャの口元も緩む。


「ふふふっ。楽しみにしてて。」


そのまま歩いていると、ふいにウェンティの足が止まった。


「ん?」


何かを見つけたように目を細める。


「ターニャ。あれはなんの出店じゃ?」


指差した先には、色とりどりの装飾品が並ぶ店が見えた。


「あれは装飾品のお店かな。服に付けたり、首から下げたり。見に行く?」


「見に行く!」


言い終わるより先にウェンティが駆け出した。


店先には貝殻や真珠を使った装飾品が並び、その奥には珊瑚で作られた小さな置物も見える。


「ほぅ……みんなキラキラ光っとる……。」


ウェンティは端から端まで目を動かしながら見て回る。


その様子を後ろから眺めていたターニャが、そっと近づいた。


「どれか1つ買って上げるよ。」


耳元で聞こえた言葉にウェンティが振り返る。


「いいのか?」


ターニャがうなづくと、ウェンティの目がさらに輝いた。


あちらこちらへ視線を向けながら品物を見て回る。


(ふふふっ。なんかいいな……こういうの。)


その背中を見ながら、ターニャは小さく息を吐いた。


「これ、キレイじゃの。」


伸ばした手に、別の手が重なった。


「あ、ごめん!」


ウェンティが隣を見ると、同じ品を取ろうとしていた女性が笑っていた。


「お主もこれが欲しいのか?」


「あはは。いいよ。大丈夫。」


そう言いながらウェンティの手元へ目を向ける。


「それにあなたのほうがコレ…似合うと思うし。」


「似合う……。」


ウェンティが真珠のネックレスを見つめていると、後ろから声が飛んできた。


「アリーシャ。もういいかい?」


女性が振り返る。


「もうちょい見て回りたい。クリフトは先に帰っていいよ。」


少し離れた場所で男が肩をすくめた。


「じゃあ、そうさせてもらうよ。」


軽く手を振り、そのまま人混みの中へ消えていく。


その背中を見送りながら、アリーシャが小さく呟いた。


「男の人はなんでこういう買い物付き合い悪いのかなぁ……。」


そしてウェンティへ顔を向ける。


「ねぇ?」


「マーベリックは付き合ってくれるぞ?」


「マーベリック?……ああ……クリフトが付き合い悪いのか……。」


アリーシャは少しだけ空を見上げ、


「ふふふっ。ごめんね、変なこと聞いて。」


「じゃあね。」


手を振りながら歩き出した。


ウェンティも同じように手を振り返す。


「なぁ……ターニャ。あやつは何を言いたかったのじゃ?」


「うーん……まぁ……いろいろあるのかな。」


困ったように笑ったあと、ターニャは去っていくアリーシャへもう一度目を向けた。


「しかしあの者は変わった格好しておったな。」


「頭にでっかい眼鏡つけておった。」


「セルディアから来てる人かな……。」


「セルディア?」


ウェンティが首を傾げる。


「ここから北にある海底鉱山都市のことだよ。」


「北に街があるのか……。」


ウェンティは小さく呟きながら、もう一度店先へ視線を戻した。


並んだ装飾品の中から一つを手に取る。


ターニャも隣へ並び、それを見つめる。


「これ、着けてみてもいいですか?」


「大丈夫ですよ。」


店主の返事を聞き、ターニャがうなづいた。


「ウェンティ、後ろ向いて。」


素直に背を向けたウェンティの後ろへ回り込み、首元へ真珠の装飾品を回す。


「ウェンティ、後ろ髪上げて。」


「これでよいか?」


髪を持ち上げた首筋へ手を伸ばし、金具を留めた。


「うん。」


最後に軽く位置を整える。


「よし。いいよ。髪下ろして。」


ウェンティが振り返った。


「どうじゃ?似合うか?」


満面な笑顔。


ターニャもつられるように笑う。


「うん。真珠とウェンティすごく合う!」


ウェンティは胸元へ手を添え、真珠をそっと指先でなぞった。


しばらく見つめたあと、


「マーベリックは気付いてくれるかの……」


と小さく聞く。


「うん。気付いてくれるよ。」


迷いなく返ってきた言葉に、ウェンティの視線が真珠へ落ちる。


「そうか……。」


指先でそっと真珠を撫でる。


揺れる光を見つめながら、ウェンティが顔を緩ませた。

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