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風は巡り、再び戻る。~風に導かれた出会い~  作者: Masa&G
第1章 ハーベイの魔道士編
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第25話 同行者

ウェンティの頬に風が触れ、その流れに合わせて前髪がゆるく揺れる。 目を閉じたまま、わずかに口元を緩める。


「いい風じゃ……。」


正面に立つマーベリックの手元から、途切れず風が送り出されている。 その風に身体を預けるように、その場に腰を落としたまま動かない。


「3回目だぞ?これ。」


呆れた声に、ウェンティは目を閉じたまま口を開く。


「わしの乾かし係なのじゃから文句を言うな。」


風の当たり方を確かめるように、わずかに肩を揺らしながら。


「乾いたか?」


「ん……もう少し。」


小さく息を吐き、両手をゆっくりと広げる。 それを見たマーベリックが、大きく息を吐き出す。


静かな風の音の中で、ウェンティがぽつりと口を開く。


「エディはどこにいるんじゃろうな?」


「ん?漁の手伝いとか言ってたから今頃は船の上じゃないのか?」


その言葉に、耳の奥で低く重なる音が広がる。


ザアァァ――……


遠くから届くその音に、ウェンティの意識がわずかにそちらへ向く。


「あの海の乗り物か…一度乗ってみたいの。」


にやりと口元を歪める。


「……海に落ちる気満々なのか?」


その一言で、ぱちりと目を開く。


「決めつけるな!好きで転んだり落ちたりするかっ!」


「悪かった。」


マーベリックが細く笑う。


「もう乾いたろ?」


ウェンティは自分の服へ視線を落とし、指先で軽く触れる。


「うむ。すまぬな。マーベリック。」


頷き返すマーベリックを横目に、ゆっくりと立ち上がる。 足元の感覚を確かめながら一歩踏み出し、そのまま身体の向きを海のほうへ向けると、服についた砂を払う。


ザアァァ――……


頬を撫でる風に髪が流れ、そのまま片手で押さえながら、視線を遠くへ伸ばす。


「なぁ…マーベリック。」


「ん?」


「あの先には何があるんだろうな……。」


目に映る水平線の向こうを探るように、わずかに目を細める。 その横に並ぶように、マーベリックも立ち上がる気配がする。


「俺にもわからない。もしかしたら先にここと同じく大陸があるかも知れない。」


ザアァァ――……


同じ音が、さっきよりも少し近く感じる。


「……わしはここが気に入った。」


そのまま振り向き、笑顔でマーベリックを見る。


「それはよかった。」


腕を組む気配が伝わる。


「じゃあ人探しはやめるか?」


その言葉で、表情がすっと消える。


「それはできん。探さねばならんからな……。」


(絶対に探さねばならんのだ……。)


――


コンコン――


扉を叩く音が、静かな室内に響く。


「はーい。」


奥から声を返しながら、ターニャは足を運ぶ。 扉に近づくにつれて、外の気配がわずかに伝わってくる。


(マーベリックさん達かな?)


ガチャ――


取っ手に手をかけ、そのまま開けると、視界に入ったのは見慣れた顔だった。


「リア……。」


白髪と青い魔道士服。 静かに立つその姿が、扉の向こうにある。


リアは軽く会釈をし、そのまま口を開く。


「ダンゲル様からの言付けです。」


視線をまっすぐ向けたまま、淡々と続ける。


「昨日馬車に乗っていたお二方と話がしたいと。こちらにいると聞きました。」


「あ…うん。マーベリックさんとウェンティのことだよね?」


「名前までは把握していません。」


短く返され、ターニャは一瞬言葉を探す。


「うん……。今ね、海に行ってるの。」


扉に手を添えたまま、少し身体を預けるようにして答える。


「そうですか。なら帰ってきたら伝えてください。」


視線を外さないまま、リアが続ける。


「本日、17時にダンゲル様が面会したいと。」


「場所はダンゲル様の屋敷。時間になりましたら私が迎えに来ます。」


「……うん。わかった。」


リアの目を見たまま、小さく頷く。 その視線に、どこか落ち着かないものを感じる。


「ではお願いします。」


軽く会釈し、背を向ける。


「あ、リア!」


その背に声をかけると、足が止まり、ゆっくりと振り返る。


「何ですか?」


目が合う。 言葉が出かかり――止まる。


「…ごめん…何でもない……。」


視線を落とし、うつむく。


小さく息を吐く気配。


「ではお願いします。」


それだけ残し、リアは歩き出す。


去っていく背中を見つめたまま、ターニャの胸の奥に、言葉にならないものが残る。


(リア……。)

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