表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/49

第15話 ハーベイの魔道士③

同時刻、馬車内――


外壁の上に浮かぶ青白い光を、揺れる視界の端で捉えた瞬間、背筋にざらりとした感覚が走る。


「蒼雷が来るぞ!ちゃんと掴まってろよ!」


荷台の板に手を叩きつけるように掴み直し、揺れに合わせて体を沈める。隣でウェンティも同じように力を込め、指先が軋む。


ふと、外壁へ視線を引かれる。


(あの光…電撃か?)


滲むような青白い光の縁から、細い電流が空気を裂いて漏れ出し、肌に触れる前から刺すような気配を伝えてくる。


すぐ背後、黒影の荒い息遣いが耳のすぐ近くまで迫る。


「ウェンティ!低く屈め!感電する可能性がある!」


叫びと同時に体をさらに沈めると、ウェンティも慌てて身を折り、荷台に張り付くように伏せた。


光が一段と強まり、視界が白く弾ける。


次の瞬間、光の矢が一直線に走り――


ゴゴゴゴ――


腹の奥に響く低い振動とともに、閃光が馬車のすぐ脇をかすめていく。


バシュシュシュ!!


弾けた光が一瞬、馬車ごと包み込み、そのまま背後の黒影を貫き、跡形もなく消し飛ばした。


残った電流が、荷台の木板を這うように微かに走る。


「な、なんじゃ……光の塊が黒影を一撃で貫通した……。」


ウェンティの声が、まだ揺れの中でわずかに震える。


(間違いない…覚えてる…水で電流を作ることが出来るのは一人だけ……。)


喉の奥で息が止まり、知らず歯を食いしばる。


――


同時刻、ハーベイ外壁上――


ピシッ……ピシシッ……。


空気の表面を這う残り電流が、細く弾けながら周囲に散っていく。


「一体消滅。」


荒野から目を離さず、リアが短く告げる。


「よし。二撃目、出すぞ。」


その声に合わせるように、ダンゲルの腕に再び電流が集まり始め、空気がわずかに震える。


「はい。次は馬車の真後ろに位置するため、上方向から下に誘導します。」


淡々とした報告の中で、視線だけが正確に動きを追っている。


「同じく蒼雷出力30…距離850…速度57…。」


数値をなぞる声とともに、呼吸がゆっくりと整えられていく。


ダンゲルが腰を落とし、狙いを定めるように構えた瞬間、周囲の音がわずかに遠のく。


――


再び馬車内――


「さすがダンゲルさんだ!このまま二撃目が来るぞ!」


揺れに耐えながら顔を上げ、街へ伸びる一直線の道を見据える。


馬車は速度を緩めることなく、ただ前へと走り続ける。


再び、外壁の上に青白い光が灯り、次の瞬間には視界が弾けるほどの輝きへと膨れ上がる。


「体勢!低くしろ!頭上を通る!」


声に合わせて三人の体がさらに沈み、荷台に押し付けられる。


ゴゴゴゴ――


背後から迫る気配が、空気ごと押し潰すように近づいたその瞬間――


黒影が馬車へ飛びかかる軌道に、重なるようにして蒼雷が落ちる。


バシュシュシュ――


閃光がそのまま黒影を貫き、影は形を保つ間もなく霧散した。


「ひゅ~、ダンゲルさん遠慮なしだな。」


揺れの中で息を吐きながら、かすかに笑いが漏れる。


(あと一体…大型がが残ってる。)


胸の奥で感覚が引き締まり、視線が自然と後方へ向く。


(しかもこいつの動きは変だ…蒼雷の軌道を読みにきてる動きをしている。)


違和感が確信へと変わり、背中に冷たいものが走る。


ハーベイの街まであと700――

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ