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『僕のペットは魔獣らしい。ついでに畑も作ってます』  作者: キトン


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第26話 人間組の死闘。暗殺者の分析、姫騎士の盾、そして勇者の『クワ』

少しだけ時間を遡る。


島の中央で、タロウは巨大な岩にクワを振り上げた。

岩竜の巨大な瞳が、ゆっくりと開いた。


(……何奴だ。我が眠りを妨げる愚かな人間め。伝説の剣すら弾くこのSランクの絶対防御『鋼鉄の岩鱗』ごと、喰らってくれるわ!)


岩竜が本能のままに咆哮を上げようとした、その時。


「ちょっとゴツゴツしてて邪魔だな……そぉい!」


ガゴォォォォォォォォォンッ!!!


タロウが満面の笑みで振り下ろした『ただのクワ』が、超硬度の岩鱗をまるで柔らかい豆腐のように綺麗に削り飛ばした。


『……ッ!?(痛っ……いや、痛くない!? 俺の最強の鱗が、綺麗にトリミング(整地)された!?)』


(あ、これダメだ。この人間、バケモノだ。逆らったら絶対に削り殺される!!)


岩竜は、生まれて初めて「家具になりたい」と思った。


本能で絶対的敗北を悟ったSランク魔獣は、一瞬で瞳を固く閉じ、呼吸を殺してピクリとも動かない『完璧な岩のテーブル』へと擬態した。


「おっ、すっごい綺麗に削れて平らになった! 最高のテーブル完成だ!」


タロウが岩竜の尻尾(椅子)に腰掛け、呑気に麦茶を飲み始めた頃。


北の森から、ボロボロになった『災厄の魔猿王』が涙目で広場へと飛び込んできた。


『ギィィィィッ!!(あいつらヤバい! ここなら安全なはず……ッ!?)』


しかし、広場の中央を見た魔猿王は完全に硬直した。


そこには、島の実質的な支配者であるはずの『Sランク・大地の岩竜』が、ただの人間タロウのティーテーブルにされ、「助けて」と言わんばかりに冷や汗を流して震えていたのだ。


魔猿王は理解した。この島の食物連鎖の頂点は、あの人間だと。


『…………(この島、もう終わってる)』


魔猿王はそのあまりにも理不尽な光景に泡を吹き、その場で気絶した。


「あれ、なんかデカい猿が出てきて急に寝ちゃったぞ?」


タロウが首を傾げていると、その後ろから慌てた様子のアレン、セシリア、クロエが駆け込んできた。


「タロウ! 災厄級の猿がそっちに逃げて……って、えええ!?」


「おーい! みんな無事だった? こっちも最高のテーブルが完成したよ!」


「……(冷や汗)……タロウさん。そのテーブル、かすかに呼吸してるんだけど……。それ、Sランクの『大地の岩竜』じゃない……?」


クロエが引きつった声で指摘するが、タロウは「え? ただの岩だよ?」と笑うだけだった。


「……師匠、家具もSランクで作るんですね」


アレンが遠い目で悟りを開いていると、そこへ南の森からポチ、ピーちゃん、ナスビのペット軍団が、涙目のボス魔獣たちに大量の『高級魔獣肉』を運ばせて帰還する。


「おっ、お肉も揃ったね! あれ、アレンたち、水場は見つからなかった?」


「災厄級と死闘をしてて、水探しどころじゃなかったのよ!!」


セシリアが叫ぶと、タロウは「じゃあウーちゃん、水お願いできる?」と腰のジョウロを揺らした。


ジョウロの中の水精霊王ウーちゃんが激しく揺れ、見えないドヤ顔を決める。


ズザァァァァァッ!!


放たれた清流が、巨大な高級肉を一瞬で完璧に血抜き洗浄する。さらに余った水が近くの致死量の毒沼に降り注ぐと、沼は一瞬で澄み切り、キラキラと輝く『極上の天然温泉』へと変わった。


「うわー! ウーちゃんの水と地熱で、最高の温泉になった! これでBBQの後に汗も流せるね!」


「私たちが命がけで探そうとした水場、ジョウロの一振りで解決したじゃないのよぉぉ!!(泣)」

絶望して泣き崩れるセシリアをよそに、タロウが無邪気に笑う。


(……この島で一番の『災厄』は、間違いなくこの農家だわ……)


かくして。王様から押し付けられたSランクの死の島は、わずか半日で『最強の家具』と『極上の温泉』が完備された、究極のキャンプ地へと生まれ変わったのだった。



今回もお付き合いいただきありがとうございます!

タロウの物語、楽しんでいただけているでしょうか?


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