第四十二戦
ふと…… 目が覚めた。明るい…… 朝かな? 窓から暖かい太陽の日差しが溢れる。もう、誰もいない、私の部屋…… 生きてる…………
"トンッ トンッ"
誰かが、扉を叩く。姫は、ゆっくりと身体を起こし、視線を向けた。
「リアナ皇女? ルカです。朝になりましたので、お迎えに参りました」
「そう…………」
姫は、そう呟くと首を傾げた。
「レナードは? まだ、来てないのかしら?」
「ああ…… その件なんですけど。ちょっと問題が発生してしまって。私も、探してはみたんですが、朝からノワール大佐とレナード中将の居場所が分からなくて…… 今は、海軍の方々が一生懸命に探しているところなんですよね」
「何それ…… まさか、逃げたんじゃないでしょうね? ハァ…… 最悪…… 朝から、なんなのよ。今行くは、詳しく…………」
視界に入った一枚の紙切れ。扉の、すぐ下に置かれた謎の紙切れ。何あれ…… 昨日は、無かったはずよ。扉の隙間から差し込まれたの? 誰が……?
「リアナ皇女? どうかされましたか? 大丈夫ですか?」
姫の足が、紙切れ一枚に立ち止まる。恐る恐る、手を差し出すと、姫は辺りを見渡しながら、それを拾い上げた。
『"ノワールが殺された"』
文の最初に書かれていた言葉。僅かな、姫は自身の心拍数が上がるのを実感した。そして、その口調から、この紙切れがレナード中将からである事を理解する。
『早朝、外から皇帝の使者が伝言を伝えに来た。その内容は、教皇が失墜しコンクラーベが始まったとの知らせだ。それと同時に海軍が動き出した。皇帝は勝利した。自身の最大の足枷であった教皇を討ちとった』
それは、まるで手紙のように丁寧に丁寧に書かれていた。教皇を討ちとったって、なんで、そんな事を?
「リアナ皇女? あの、ちゃんと生きてますか?」
「ええ…… 生きてるわよ。生きた心地はしないけどね。まだ、目覚めが悪いから少し横になるわ。ちょっと待ってなさい」
「ええ………… 私も、眠たいのに…………」
姫は、そんなの気にしまいと続きを読み進める。
『皇帝は、神を越えてしまった。もはや、陛下を諭し断罪出来る者はいなくなった。皇帝は、後継者を残す必要すらなくなった。リアナ皇女。均衡が崩れた。私が、殺されれば次は貴方です。私が死ねば外の陸軍達へ内情を報告出来る者はいなくなる。裏を返せば、私が死んだと分かるまでは、奴らは貴方に手を出せない。下に私の潜伏先と作戦を記載しました。他の誰にも見せないで下さい。全て、敵です』
そう…… 姫は、天井を見上げる。




