第四十戦
「フゥ〜…… やっぱり、牧師様がいないだけで気楽で良いわ! 何本吸っても誰にも文句言われないし………… あっ、ヤバ! 依存しそう……」
「まだ、依存していなかったんですかシスター? もう二十本目ですよ。一体、あと何本ストックを隠しているのですか?」
礼拝堂の真ん中、ノワール大佐は、腕を組みシスターを見つめる。するとシスターは、静かに人差し指を一点に向けた。
「……懺悔室? それが、どうかしました?」
「あそこに隠してるのよ。あと千本はあるよ〜」
「懺悔室にですか…… 良くもまあ、そんな所に隠しましたね。懺悔の意味を知っているのですか? それに、懺悔室を宮殿の者が利用したら、どうするのですか?」
「ハ? この宮殿に、そんな人間がいると本気で思ってるの?」
シスターは、真剣な眼差しを向けた。
「…………いません。私の知る限りでは……」
大佐は、そう言うと沈み行く太陽を、じっと見つめた。その様子を眺めていたシスターの手元から吸殻が溢れ落ちる。
「で、いつまで、いるのかな〜 ノワール大佐? もうすぐ夜だけど、ほら早く帰りな? それとも…… 誘ってんの?」
タバコを手にしたまま、ジト目でこちらへ向かって来るシスターに大佐は、僅かな動揺も見せず、その頭を片手で受け止めた。
「シスター相手に、そんな事をする度胸など、私には、ありません」
「フーン…… シスターじゃなかったら良いんだ? じゃ辞めよっか、シスター? 脱いでも良いんだよ。そしたら分かりっこないよ?」
大佐は、思わずため息を吐いた。
「扉の鍵はありますか?」
「もちろん。全部、私が持ってるけど?」
「なら、礼拝堂の扉に鍵をかけておいて下さい。窓も全て」
「やっぱり誘ってんじゃん。悪い子だ〜」
大佐は、静かにポケットから一本のタバコを取り出すと、徐にライターで火をつけた。その様子に、シスターは、首を傾げる。
「先程、レナード中将から命令がありました。日が昇るまで、シスター・リリーと共に礼拝堂から離れるなと。そして、何人たりとも中へ入れるなと。レナード中将もまた、リアナ皇女と共に待機していることでしょう……」
「……どう言うこと? 何で、そんな事する必要があるの?」
シスターの質問に大佐は僅かな間を入れると、淡々と口から煙を吸い出し、天井を見上げる。
「これが、最後の一服にならないためにです。お互いに…………」
大佐は、そう言うと背負っていた銃を両手に構えた。じっと扉を見つめるその背中は、まるで何かに怯えているかのようだった。その様子にシスターは持っていたタバコを地面にぼそっと落とす。
「ところで、どうやって、そんなに用意したのですか」
「用意? 何のこと?」
「シスターが、千本もタバコを仕入れる事が出来るとは驚いたもので。良くもバレずに出来ましたね。どうやったのですか?」
大佐の言葉にシスターはニヤリと笑みを返した。
「内緒! 私…… 悪い女だから〜」
"トンッ トンッ"
突如、鳴り響く扉を叩く音。大佐は、扉に向け狙いを定める。そのすぐ、後ろで、シスターは椅子に腰掛ける。
「礼拝堂で殺生はダメだよ〜?」
「ええ…… 中へは、入れさせません。決して……」
ゲーム制作に力が入り過ぎて小説が疎かになっている。流石に気合い入れて連続投稿頑張ります!




