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カラザイ城の戦い⑦

 ギヨウ達が城壁脳へと登り、戦った時間は短い。

 仲間が梯子を登る時間の間だけである。

 それでも、囲まれ、梯子を守るために移動も出来ないような状態での戦いは、ギヨウ達からすればとても長く感じたのである。


「くそっ!なんだこいつら、どれだけ粘るんだ」


 そして、敵が二人の強さに唸りを上げた、その時であった。


「待たせたね!」


 その頼もしい声と共に、ギラグの戦士レシヘストが城壁へと辿り着くと、すぐさまその手に持った手斧で近くの敵を兜ごとかち割ったのである。


「ッ!」


 敵は断末魔を上げる事すらできず絶命する。


「レシヘスト!」


 ギヨウが嬉しそうにその名を呼んだ。

 今、この場で最も頼もしい仲間が来てくれたからである。

 実際に、敵は頭をかち割られた仲間と、発達した筋肉を持つレシヘストを見て、恐れおののいていたのだ。


「随分とボロボロだね隊長。もう疲れたかい?」


 レシヘストは、敵の大軍を前に軽口を叩きながら楽しそうに笑った。


「馬鹿言うな、まだまだ余裕だよ」

「気を抜くな来るぞ」


 敵兵は、レシヘストの派手な出現に怯んでいたが、すぐに態勢を立て直すべく敵指揮官が叫んだ。


「怯むな!しょ、所詮は、お、女だ!一人増えたところで……」


 だが、敵部隊の指揮官は、レシヘストに続き、アカツキ隊がどんどんと登って来ているところを見てしまったのだ。


「いくぞ!」


 そこを起点に、続々とアカツキ隊は城壁を登っていき、城壁を制圧していく。


「おお!どこぞの部隊かわからないが、次々に城壁へと登っていくぞ!」

「我々も、あの部隊に続け!」


 それに、東側で戦っている全ての部隊は気付く。

 その中には当然、セロガ隊も、オルファ隊もあったのだ。


「セロガ様!先を越されたのはしゃくですが、我々も続きましょう」


 副長のゴウグがセロガへと進言した。


「いや……一旦下がるぞ!馬を用意する!」


 セロガ隊は騎馬隊であるが、攻城戦に騎馬は不要である。

 そのため、馬は本陣へと置いてきているのであった。


「は?……いえ、承知いたしました!馬を取りに戻るぞ!」


 ゴウグが叫び、セロガ隊は言う通りに動く。


「む?」


 しかし、そのセロガ隊と同じ動きをしている部隊があった。

 オルファ隊である。


 オルファ隊隊長、セニオガネスもそれに気が付く。


「同じことを考えている奴がいるみたいだな。あれは……セロガ隊って言ったか?」


 二つの隊は、手早く本陣へと戻ると、騎馬に乗り込み、再び戦場へと駆けていった。


 そのころ、城壁の上へと登ったアカツキ隊は、敵を倒し続け、


「邪魔だ!」

「ぐわあっ!」


 ついには、敵部隊の隊長をギヨウが討ち取っていた。


「下だ!門を開けるぞ!」

「任せろ!」


 ギヨウの指示で、シンザやダンレンが敵を倒しながら階段を降りていく。

 勢いづいたアカツキ隊を、敵は止める事は出来ず、アカツキ隊はついには城門の裏へと辿り着く。

 城門を開ける仕組みは、その一角にある、回転式の仕掛けである。


「うおおお」

「おもてえ」


 しかし、シンザ達はその仕掛けを動かすのに手間取ってしまう。


「なにやってんだ」

「だってよぉ」

「回すぞ!」


 ギヨウがそれに加わり、ギヨウの怪力により、仕掛けは動いていく。

 そしてついに、城門は――開いたのである。


「よし!」

「ん?」


 その開いた城門に飛び込んできた部隊があり、ギヨウ達の横を颯爽と駆け抜けていく。

 それは、言うまでもなく、セロガ隊とオルファ隊であった。

 

 セロガは、ギヨウとすれ違った際に、一瞬ギヨウを一瞥したが、何も言わずに駆け抜けて行ってしまう。


 それに対して、セニオガネスはギヨウへと手を振りながら、


「悪いなギヨウ!」


 そう一言だけ言って、やはり駆け抜けて行ったのだった。


「あ、あいつら!」


 ギヨウが驚いている間にも、次々に二つの騎馬隊は城内へと侵入していく。


「俺達も行くぞ!」


 ギヨウが急いで指示を出し、アカツキ隊も城内への攻撃を開始する。

 しかし、先に入って行った騎馬隊と比べれば、致命的な遅れであることは間違いないのである。


 東側の城門が落ちたことにより、フェズ軍は次々に城内へと入って行き、城内を蹂躙していった。

 そして、数日間苦戦したのが嘘のように、カラザイ城はあっさり落城したのである。

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